情報 「摂食機能障害」子供たちに「食べるトレーニング」

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2021/08/19 13:14:42

【ブラックジャックを探せ】「摂食機能障害」治療の数少ない専門家 昭和大学歯学部教授・弘中祥司さん
健康な「歯」をいつまでも
2021.8.15


弘中祥司歯科医師 弘中祥司歯科医師

 おなかがすいたら何かを食べる-。そんな当たり前の行為ができない、というより「興味を持たない」子供がいることをご存じだろうか。

 未熟児や染色体異常、脳性まひなど、様々な障害によって「食べる」という行為ができない子供たちがいる。鼻からのチューブや胃瘻(ろう)からの経管栄養に頼ることになるのだが、それでは「おいしい」という感覚を知ることができない。

 そんな子供たちに「食べるトレーニング」を行い、正常な機能を獲得する取り組みをしているのが昭和大学歯学部の弘中祥司教授だ。

 「学生時代に障害者の歯科治療に接したことからこの分野に進みました。『おいしい』という感覚を知ってもらうにはどうすればいいのかを勉強したくて、北海道から東京に出てきてしまいました(笑)」

 食べることを拒否する認知症の高齢者がいる。見た目は似ているが、弘中教授は「症状の成り立ちが異なる」という。

 「高齢者は過去に『食べていた』という経験があるので、『おいしい』という感覚を知っている。だから自分の好きなものなら食べるんです。ところが生まれてすぐに経管栄養になってしまった子供は、食べた経験がないから“食べること”に興味を持てないし、そもそも食べ方を知らない。それだけに難度も高い」

 そんな子供が「おいしい」と感じる味は、それまで摂取してきた栄養成分によって異なる。

「経管栄養だと塩分や旨味成分が少ないので、塩味や、グルタミン酸などの旨味に興味を示す子がいる。お出汁やラーメンスープを口に入れて、初めて感じるおいしさに驚いて目をパチパチさせて喜ぶ子供もいる。やり甲斐を感じる瞬間です」

 専門家の数が絶対的に少ない領域だけに、摂食機能障害の子供を持つ親が、弘中教授を頼って全国からやって来る。こうした医療分野があることをぜひ記憶にとどめておきたい。 (長田昭二)

 ■弘中祥司(ひろなか・しょうじ) 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門教授。1967年、山口県生まれ。94年、北海道大学歯学部卒業。同大歯学部附属病院助手(咬合系歯科)、昭和大学歯学部口腔衛生学教室准教授を経て2013年から現職。現在、昭和大学口腔ケアセンター長を兼務。日本障害者歯科学会理事長・専門医指導医。国際障害者歯科学会元理事長。歯学博士。趣味は「料理と食べること」。https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210815/hea2108150001-n1.html

【追記:2021/08/19 13:17】
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摂食嚥下障害児とは、どんな子どもか

摂食嚥下障害とは?

口から食物を摂って、口の中で処理して、飲み込んで、食道から胃まで運ぶ体の機能を摂食嚥下機能と呼びます。正確には、食べる・飲み込む動作は咀嚼・嚥下動作ですが、食事には心理的な要素もとても大きいので、摂食嚥下機能と表すことが多いです。この機能が正しく行われるためには、さまざまな消化器官の連携が行われますが、その一部や全部が正しく機能しない状態を摂食嚥下障害と呼びます。

どんな子どもが対象か?

私たち成人が何気なく食べて・飲み込んでいるこの摂食嚥下機能は、生来もっている機能ではなく、哺乳・離乳食・幼児食と段階を経て学習する機能です。ですから、その学習過程で何らかの疾患や病気により学習困難が生じると、症状の程度の違いがあるにせよ、どの子どもさんでもなりうる障害と言えます。一般的には、表のような障害により、発症すると言われています。

分類 代表的な疾患
1 未熟性 (未熟児、低出生体重児、早産児) 超低出生体重児など
2 解剖学的な構造異常 (先天性・後天性) 唇顎口蓋裂、小顎症、 食道閉鎖症など
3 中枢神経、末梢神経、筋障害 脳性麻痺、筋ジストロフィー、 ミオパチーなど
4 咽頭・食道機能障害 アカラシア、食道炎など
5 全身状態 感染症、心疾患、呼吸器疾患など
6 精神・心理的問題 経管栄養依存症、反芻など
7 その他問題 口腔乾燥、口内炎など

【追記:2021/08/19 13:18】
どんなことに困っているのか?

私たちの外来を受診される理由の多くは、「噛まない」、「丸呑みする」、「舌が出る」といった口腔の機能的な問題から、「むせる」、「誤嚥する」、「チューブが外れない」、「口から食べない」などの嚥下機能や心理的な原因から来院されることが多いです。 ひと口に摂食嚥下障害と言っても前述しましたように、多くのプロセスを経て、安全に飲み込むのですが、その一つ一つを詳細に検討(検査)して私たちは判断しますが、乳幼児期はまた、食べる機能が発達する時期でもありますので、発達の段階のどの時期にいるかを見極めて、サポートしています。

そういう子どもが困っていたら、どんな場所に相談すべきか?

現在、我が国で摂食嚥下障害を取り扱っている医療機関はまだまだ十分とは言えません。その中でも、小児患者を取り扱っている医療機関はもっと少なくなります。基本的には、主治医に相談することが重要ですが、地域の保健所の保健師さんや療育施設に相談することも重要かと思います。 一人でも多くの子どもさんが、口から安全に、楽しく、美味しく食べられることを祈って、私たちもこれからもがんばります。 https://tsubamenokai.org/

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