情報 緊急事態宣言下の子ども 食事の質が低下…休校・給食中止が低所得ほ

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2021/08/27 15:23:15

8/27(金) 15:11配信

読売新聞(ヨミドクター)
田村専門委員の「まるごと医療」
 新型コロナウイルス感染症の流行は、緊急事態宣言下での休校・学校給食の中止などによって、子どもたちの食事の質にも大きな影響を与えていることが、国立成育医療研究センターと新潟県立大学の研究グループによる全国調査で明らかになった。

 所得レベルの低い家庭ほど、子どもの食事の質が低下する割合が高かった。流行が長引くことによって、健康への影響も懸念される。学術誌「Nutrients」(オンライン)に8月10日付で掲載された。

小5か中2のいる3000世帯にアンケート



 調査は2020年12月、全国8ブロックから無作為に抽出した50市区町村ごとに、小学5年生と中学2年生を30人ずつ無作為に抽出、計3000世帯に調査票を郵送した。

 1551世帯から回答があり、必要な内容が得られた1111世帯の回答について分析した。全国の代表性を持つように統計処理を行い、算出した。

 全国に緊急事態宣言が出された20年4~5月、宣言前の19年12月、宣言後の20年12月の三つの時点における食事の状況を尋ねた。世帯人員1人当たりの平均所得で、4段階のグループに分けて比較した。

「バランスの取れた食事」16~26ポイント減

(国立成育医療研究センター発表資料より)

 20年4~5月は全国に緊急事態宣言が拡大され、小中学校の多くが休校になり、給食も中止になった時期だ。設問では、「肉、魚、卵」と「野菜」を両方1日に2回以上含む「バランスの取れた食事」を子どもに取らせたかを尋ねた。

 前後の時期は給食で1日1回は取れていると想定し、家庭で1日1回以上取れたかを尋ねて「バランスの取れた食事」とみなし、緊急事態宣言中と比べた。

 その結果、「バランスの取れた食事」を取れていた子どもの割合は、世帯所得にかかわらず緊急事態宣言中は宣言前よりも低下していた。所得レベルが高いグループは75%(16ポイント減)だったのに対し、低いグループは62%(26ポイント減)と、所得が低いほど低下の度合いが大きかった。

 20年12月の調査時点では、ほぼ19年12月の宣言前と同程度に回復していた。

食事をつくる時間や心の余裕「増えた」との回答も
 調査ではまた、調査時点と宣言前を比べて、食事をつくる時間の余裕が増えたか減ったか、食事をつくる心の余裕が増えたか減ったか、食材を選んで買う経済的余裕が少なくなったかどうかについて尋ねた。

 所得レベルが高いグループは、食事をつくる時間の余裕や心の余裕が「増えた」という回答が、「減った」という回答よりも多かった。研究グループの同センター社会医学研究部部長の森崎菜穂さんは、「所得レベルの高い層では、在宅勤務が増えたことなどが関係しているかもしれない」と話す。

 一方、所得レベルの低いグループは、食事をつくる時間の余裕や心の余裕が「減った」との回答も、「増えた」と同程度かやや多くみられた。

 「食材を選んで買う経済的余裕が少なくなった」かの設問では、所得レベルが高いグループは3%、比較的高いグループは8%だったのに対し、比較的低いグループは17%、低いグループは33%と、くっきりと違いが表れた。

子どもの健康への影響懸念
 今回の調査結果について森崎さんは、「子どもの栄養摂取において、学校給食が重要な役割を果たしていることが、今回の調査でも改めて示された。経済的に厳しい家庭ほど大きな影響を受けており、流行が長引けばさらに深刻な状況が心配されることから、感染拡大の防止がまず何より重要だ。学校保健統計調査などでは、子どもの肥満や痩せが増えていることが報告されており、食事内容の低下が子どもの健康に及ぼす影響についても、今後、注意を払っていく必要がある」としている。

田村 良彦(たむら・よしひこ)

田村良彦

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。
https://news.yahoo.co.jp/articles/405f8bf448d81dd6be481e957d94424a8834aba5?page=1

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