情報 “生乳” 大量廃棄の可能性 業界団体が危機感強める

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2021/12/11 18:59:17

“生乳” 大量廃棄の可能性 業界団体が危機感強める
2021年12月11日 17時17分 新型コロナ 経済影響


この年末年始、牛乳や乳製品の原料となる生乳がかつてない規模で余り、廃棄される可能性があることが、業界団体が行った試算で分かりました。コロナ禍で落ち込んだ業務用のバターなどの需要が回復しない中、学校給食が休みになることなどが背景にあり、廃棄を避けようと、団体は牛乳の消費拡大などに力を入れています。

在庫量が過去最高水準まで増加
乳業メーカーや酪農家でつくる業界団体の「Jミルク」によりますと、生乳の生産量は、6年ほど前のバター不足などを受けて増産に取り組んできた効果がここ数年あらわれているほか、ことしは夏場の気温が低く、乳が出やすかったということで、今年度の生産量は昨年度より17万トン余り多くなる見通しです。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大以降、業務用のバターや脱脂粉乳の需要が落ち込んでいて、在庫の量は過去最高の水準まで増えているということです。

そのうえ年末年始は、学校給食が無くなるなどして牛乳の消費量が大きく落ち込むことから、この年末年始には、団体の試算で、5000トンの生乳が廃棄される可能性があるということです。

15年前の2006年に、牛乳の消費の低迷からおよそ900トンの生乳が廃棄されたことがありますが、仮に、これだけの量が廃棄されることになれば、過去に例のない事態ということです。

廃棄を避けようと、団体では、酪農家に対し年末年始に出荷を抑制するよう協力を求め、出荷を抑えた酪農家には助成金を出すことを決めたほか、牛乳の消費拡大に向けてPR活動などに力を入れています。

「Jミルク」の内橋政敏専務理事は、「仮に廃棄されることになれば、経済的な損失だけではなく、酪農家の間で将来への不安が高まり減産につながる可能性もある。1滴たりともむだにしないため必死に取り組んでいます」と話していました。

また全国の生産者団体などが加盟する「中央酪農会議」によりますと、生乳の廃棄という事態にならないよう、メーカーに対しては、年末年始も可能なかぎり工場を稼働するよう働きかけているということです。

一般的な牛乳より高温で殺菌処理することで常温で長く保存できる「ロングライフ牛乳」の製造を呼びかけていて、例年、年末年始は休業するというメーカーの中でも、今回は稼働するところもあるということです。

中央酪農会議の担当者は、「万が一、廃棄となれば生産者の意欲の低下につながり業界全体で取り組まなければならない危機的な状況だ。消費者にもこの状況を知ってもらい協力をお願いしたい」と話しています。

【追記:2021/12/11 19:00】
JA全農 消費拡大へ新商品開発
牛乳の消費拡大につなげようと、JA全農は牛乳をたっぷり使った新商品を開発しました。

それが、ひと缶275グラムのうち国産の牛乳を50%以上使ったボトル缶入りのミルクティー。牛乳の「濃さ」は一般的なミルクティーの5倍ほどだといいます。

今月から販売を始めると、SNS上では、「絶対おいしい」「牛乳好きにはたまらん」などと反響があり、売れ行きは好調だということです。

すでに12万本を販売しましたが、牛乳の需要が落ち込む年末年始にはさらに12万本を製造する予定です。

ただ、JA全農によりますと、これだけの量のミルクティーをつくっても使用する牛乳は40トンほどで、根本的な解決にはつながりません。

この商品の販売のねらいは、直接的な消費だけでなく、今の窮状を知ってもらうことで牛乳の消費拡大につなげることにもあるといいます。

ボトル缶にプリントされたQRコードからアクセスすると、年末年始は牛乳の需要が落ちることや、処理できない生乳が出れば国産の牛乳や乳製品が手に入りづらくなる可能性があることが紹介されているほか、牛乳を使った料理のレシピも見ることができます。

このミルクティーを開発したJA全農酪農部の牛塚耕治課長は、「酪農家が苦労してつくった牛乳を1滴たりともむだにしたくないというのが私たちの思いです。この状況を多くの人に知ってもらい、少しでも牛乳の消費拡大に貢献できれば」と話していました。

【追記:2021/12/11 19:00】
厳しい現状 取材のきっかけはある情報提供
今回、生乳をめぐる現状について取材を始めたのは、NHKの情報提供窓口、「ニュースポスト」に寄せられた投稿がきっかけでした。

情報を寄せてくれたのは、長野県南牧村の高見澤忠明さん(61)。およそ50頭の乳牛を飼育している酪農家です。先月下旬、地元のJAから年末年始の10日間、生乳の出荷抑制に協力してほしいと説明を受けたことから、酪農の厳しい状況を多くの人に知ってほしいと考えたといいます。

高見澤さんの悩みは出荷抑制だけではありません。ことし4月には、配合飼料の1トンあたりの価格が前の月と比べて上げ幅としては過去最高の6000円以上値上がりし、その後も価格は上昇を続け、これまでにおよそ1万円値上がりしたといいます。

また、原油高を背景に、ボイラーに使う灯油の価格も上がっていて、牛を飼育するためのコストは全体で、去年と比べておよそ2割増えているということです。

高見澤さんは、「小売店側が『牛乳が余っているなら価格を下げてほしい』と言っていると聞くこともあり、もし、そうなればコストが上がっているのに価格は下がり、さらなる打撃になる。出荷抑制についても、年末年始だけですむのかどうか、不安はつきない。できるだけ多くの人にこの現状を知ってもらい牛乳の消費が増えてほしい」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211211/k10013384611000.html?fbclid=IwAR3Z10cVv3jvw7GIxV5YSFKP5TtLx0nSe56SkFvtHhJp6Qkvpu6pT5pGQOI

【追記:2022/01/07 16:20】
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年末年始の生乳大量廃棄を回避 「協力の輪が広がった」と農相
1/7(金) 11:36配信
共同通信

記者会見する金子農相=7日午前、農水省

 金子原二郎農相は7日の閣議後の記者会見で、牛乳や乳製品の原料となる生乳が年末年始に大量廃棄される事態を回避したと発表した。新型コロナウイルス流行の影響で飲食店向けの需要が落ち込み、廃棄の懸念が出ていた。乳業業界のPRやコンビニ、スーパーの割引サービスによる消費拡大に加え、乳製品工場が稼働率を引き上げたことなどが追い風となった。


 金子氏は「牛乳の消費が伸びており、廃棄は現時点では生じていない。協力の輪が広がった」と述べた。

 ただ、学校給食向けの需要がない春休みなど、需給のバランス次第で廃棄の懸念はあるとし、消費拡大に向けた取り組みを続ける考えを示した。https://news.yahoo.co.jp/articles/89c2e789a6b01ba2660538845ad83e573b9cf316

【追記:2022/01/08 11:47】
「生乳廃棄」回避にめど 業界挙げての取り組み奏功 3月下旬不安視も
1/7(金) 9:55配信
日本農業新聞
 Jミルクは6日、年末年始に懸念されていた生乳廃棄を回避できる見通しとなったと明らかにした。新型コロナウイルス禍の消費低迷と生乳の増産基調を受け、全国で処理できない生乳が発生する可能性があった。酪農乳業界を挙げた取り組みが奏功し、応援消費も広がって、危機を乗り越えた。ただ、当面は需給状況に注視が必要な状況が続く。

 同日の乳業団体合同新年賀詞交歓会で川村和夫会長が報告した。

 Jミルクの10月時点での予測では、学校給食が停止して小売店が休業する年末年始に、約5000トンの処理不可能乳の発生が見込まれた。そこで緊急対策事業を措置し、一時的な出荷抑制と生乳利用拡大に取り組んだ。応援消費の広がりで飲用向けの処理が進んだことや、寒波で生産が抑えられたこともあり、「処理できない生乳を発生させずに、乳製品の製造を進めることができた」(同会長)。

 ただ、年間の生乳生産がピークに向かい、給食が再び止まる3月下旬には「年末年始以上に生乳の余剰感が強まる」(関係者)と不安視される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/70dddf15f29ffd006d7fe8ce9b3984aacca5969e

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