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2024.04.02

健康運動指導士とは?健康運動実践指導者との違いや資格の合格率、仕事内容を解説!

カバー画像:健康運動指導士とは?健康運動実践指導者との違いや資格の合格率、仕事内容を解説!

こんにちは、管理栄養士のなつめももこです。健康のためには食事、そして食事と同じくらい「運動」が大事!と考えますよね。

管理栄養士・栄養士として食事に関する知識はあるけれど、運動についてはわからない…。

そう考えたあなたは新たに「健康運動指導士」の資格取得にチャレンジしようとしているのではないでしょうか。

今回は健康運動指導士の取得方法や仕事内容について詳しくご紹介します。食事面だけでなく、運動面の指導もできる管理栄養士・栄養士を目指してみましょう

健康運動指導士とは?

健康運動指導士とは「個々人の心身の状態に応じた、安全で効果的な運動を実施するための運動プログラムの作成及び指導を行う者」と定義されています。
つまり、健康運動指導士は運動指導を行う専門家のことです。

健康運動指導士の養成は厚生大臣の認定事業として昭和63年からスタートし、平成18年度からは公益財団法人健康・体力づくり事業財団の事業として引き継がれています。

健康運動指導士は生涯にわたる国民の健康づくりのために
・生活習慣病の予防
・健康水準の保持、増進
に貢献しています。そして、近年は一次予防だけでなく、二次予防(早期発見・早期治療)のためにも健康運動指導士への期待が高まっています。

平成20年に始まった特定保健指導において運動・身体活動支援が積極的に進められています。そのため、健康運動指導士は特定保健指導を行う管理栄養士にとって身近な資格になってきています。

健康運動実践指導者とは何が違うの?

健康運動指導士と似ている資格に「健康運動実践指導者」があります。

「健康運動実践指導者」は名称に「運動実践」とつく通り、運動の実技・実践指導に長けている資格です。健康運動実践指導者が運動の見本を見せながら、健康づくりのための運動を指導します。

健康運動指導士と健康運動実践指導者はどちらも同じ財団が認定している資格で、どちらも「国民の健康づくりのため」に活動し、目的は同じです。

「健康運動指導士が健康づくりのためのプログラムを考え、健康運動実践指導者が具体的に運動の見本を見せる」

このような役割の違いにより、国民の健康をサポートしています。

特定保健指導が開始してから注目度がアップ

健康運動指導士の資格を管理栄養士・栄養士がどのように活かせるのか?と疑問に思いますよね。実は、健康運動指導士はスポーツ栄養の分野だけでなく特定保健指導でも役に立つ資格です。

特定保健指導

特定保健指導を実施する管理栄養士は、主に食事の面で指導やサポートを行います。しかし、健康のためには「食事」と同じくらい「運動」が重要です。

健康運動指導士の資格があると特定保健指導時に食事面だけでなく、運動面についてもサポートを行えます。食事面の知識とあわせて、より専門的に生活全般のアドバイスをできる点が健康運動指導士の資格を取るメリットです。

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団の公式ホームページにも、特定保健指導の実施にかかる運動指導担当者研修開催について案内されていますよ。
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▼公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
特定保健指導の実施にかかる運動指導担当者研修 開催のご案内
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食事の面だけでなく、運動面も踏まえて生活改善を提案するために、健康運動指導士の資格を取得してみてはいかがでしょうか。

健康運動指導士の資格を取得するメリットは?

健康運動指導士の資格を取得することにより、栄養面だけでなくより専門的に運動面からの指導も行えるようになります。体力向上や疾病予防・改善には食事だけでなく運動面の改善も必要です。

知識を得ることによりスポーツをする方だけでなく、生活改善が必要な疾病のある方に対しても栄養と運動両面から健康増進のサポートができる点が大きなメリットですね。

また、健康運動指導士の資格があることでスポーツ栄養の分野でも実践に活かしやすくなります。病院や福祉施設だけでなくスポーツジムやスポーツクラブなどにも活躍・就職の可能性を広げられる点も資格取得のメリットといえますね。

役割と仕事内容は?

健康運動指導士は生活習慣病予防や介護予防のために運動プログラムの作成や実践指導計画の調整を行います。

スポーツ施設、病院、福祉施設などで医療従事者と連携し、一人ひとりの健康状態に合わせて安全で効果的な運動を実施することが主な仕事内容です。
健康運動指導士の仕事の一例

・生活習慣の改善が必要な方との面談
・運動プログラムの作成
・運動が実施できているかの確認と指導
このように、生活習慣の改善が必要な方が行動を変えられるようにサポートすることが健康運動指導士の役割です。

管理栄養士・栄養士として健康運動指導士になる方は、スポーツジムでの栄養セミナー、病院での栄養指導や特定保健指導などで資格を活かせますよ。

健康運動指導士の資格取得方法

健康運動指導士になるにはどうしたらいいのでしょうか。資格を取得する方法をご紹介します。

引用元: 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

健康運動指導士の資格をとるには、上の図のように2つの方法があります。
1.健康運動指導士養成講習会を受講して修了する
2.健康運動指導士養成校を卒業する
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

健康運動指導士養成講習会を受講する場合

すでに大学を卒業、もしくは管理栄養士の資格をお持ちの方は講習会を受講して資格取得の認定試験に挑みましょう。

健康運動指導士養成講習会はあなたの保有資格や学歴により、取る単位数金額が異なります。
必要単位 対象となる保有資格や学歴
104単位 歯科医師、看護師、准看護師、助産師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師

いずれかの国家資格保有者 
かつ、4年制以上の大学卒業者
70単位 医師、保健師または管理栄養士の国家資格保有者
51単位 4年制の体育系大学卒業者および卒業見込みの者
40単位 健康運動実践指導者の称号を有する者

<日本スポーツ協会公認資格>
スポーツプログラマー、アスレティックトレーナー、フィットネストレーナーのいずれかの資格保有者

<日本フィットネス協会認定資格>
GFIエグザミナー、GFIディレクターのいずれかの資格保有者

それぞれ、保有している資格や学歴に合った講習会を受講後、修了書が授与され、認定試験を受けられます。なお、栄養士の方は、4年制の大学を卒業した方のみが受講可能です。

受講費用の目安

受験費用の目安は以下のとおりです。
料金(すべて税込) 補足情報
受講料 104単位コース 288,750円
70単位コース 213,950円
51単位コース 160,050円
40単位コース 133,650円
養成講習会の受講資格により単位数が異なる
テキスト料金含む

受験料 13,619円
初回登録料 24,200円 5年間有効
登録更新料 22,000円 所定の講習会等の受講必須
*公益財団法人健康・体力づくり事業財団「令和5年度健康運動指導士養成講習会開催要領」より

健康運動指導士養成校を卒業する場合

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が定める養成校のカリキュラムを修了すると、認定試験を受けられます。

健康運動指導士養成校は公益財団法人 健康・体力づくり事業財団の公式ホームページで確認してみましょう。

管理栄養士・栄養士の養成校で同時に受験資格を得られる学校もありますよ。
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▼公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
健康運動指導士養成校のご紹介
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健康運動指導士認定試験の難易度・合格率は?

令和5年の合格率は73.7%(再受験者を含めると72.3%)でした。7割の方が合格となった結果ですが、決して簡単なわけではありません。

すでに医療に関わる国家資格を取得している方やスポーツを専門として学んできた方が目指す資格なので、全体的にしっかりと試験対策された方が受験していると考えられます。出題範囲が広いので対策は必須ですよ。

認定試験を受験、合格後について

1)もしくは2)を修了後、認定試験を受験できます。認定試験は年に3回実施しており、CTB方式の筆記試験です(受験料は税込13,619円)。
*CTB方式とはコンピュータを使用した試験方式のこと

認定試験結果の詳しい内容はこちらもあわせてご覧ください。
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▼公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
第149回健康運動指導士認定試験結果
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そして、試験合格後は登録料に24,200円(税込)が必要になり、5年ごとの更新制です。更新料は22,000円(税込)かかります。

健康運動指導士はどこで活躍しているの?

健康運動指導士として登録している方は全国に18,283人(女性11,648人、男性6,635人)です(令和3年12月1日現在)。資格を活かし活躍されている方は、次のグラフのようにさまざまな職場で働いています。

引用元: 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

「運動」に直接結びつく「フィットネスクラブ」以外にも、管理栄養士・栄養士の主な職場である「病院」や「介護施設」の割合も大きいですね。

スポーツ栄養のジャンルで活躍する方はフィットネスクラブ、栄養指導で健康をサポートする方は病院など、管理栄養士・栄養士もそれぞれの職場で資格を活かせます。

健康運動指導士の年収はおよそ200万〜400万円ですが、勤務先の種類や他の資格の有無により金額が異なります。

まとめ

健康的に生活するためには、バランスのよい食生活と適度な運動が大事ですよね。管理栄養士・栄養士として「食事」だけでなく「運動」のサポートができると、より健康づくりに貢献できます。

スポーツジムや特定保健指導、行政栄養士など「健康づくり」に携わる仕事をしている方は健康運動指導士の資格を取得してみてはいかがでしょうか。

参考文献・サイト

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なつめ ももこ

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