保育園で働く管理栄養士・栄養士の役割とは?給料や仕事内容を解説!
保育園で働く管理栄養士・栄養士の役割、仕事内容
2007年、厚生労働省は「保育所における食育に関する指針」において、保育の現場で適切な食育を提供するべきという方針を打ち出しました。
保育園で働く管理栄養士・栄養士は、健康的な食事を提供しつつ、食事の大切さや楽しさを伝える役割を担っているのです。
そのため、子供でも食べやすい健康に良いメニューと、食に関する知識を分かりやすく伝えるための専門知識が必要となります。
給食関連業務
給食を提供するために、献立作成、食材発注、予算管理を担います。調理員と協力して調理、盛り付け、配膳、片付け、洗い物を行うこともあります。
企業の食堂や病院といった職場では、献立の種類や量が多く、それに応じて業務が手一杯になりがちです。こうした職場と比較すれば、保育園は食事を提供する人数が多すぎず、ある程度の余裕があります。
ただし、調理員を雇っていない保育園や職員が少ない保育園では、管理栄養士・栄養士だけで献立作成から調理、片付けまで全ての業務を行うことがあります。就職前に業務範囲を把握しておくと安心です。
食育関連業務
管理栄養士・栄養士は、子供達への食育をリードする存在です。保育園ではクラスごとに月1回ペースで食育の機会が設けられていることが多いです。
こうしたタイミングで、管理栄養士・栄養士が食育に関する紙芝居や絵本の読み聞かせ、オリジナルの講義、クッキーなどおやつの調理実習を行います。
旬の食材を使った料理や行事食を提供することも、豊かな食生活を伝えるために大切です。
保育園の仕事におけるやりがい
自分が作った給食を食べる子供たちの顔を見られるというのが一番のやりがいです。子供だからこそ素直なフィードバックが返ってくるという特徴もあります。「おいしい」という声はもちろん嬉しいものですが、「今日のおやつはいまいち」などの声があった時も、次へのモチベーションにしていけるとよいですね。
長期的に食事を提供することによって子供の成長を見ていけるので、子供好きな方に大変向いている職場です。
保育園における管理栄養士・栄養士の待遇、給料
保育園における管理栄養士・栄養士の待遇について、勤務時間、休日、給料、福利厚生といった点を見ていきます。
勤務時間と1日の流れ
保育園によって異なりますが、8:00〜17:00、9:00〜18:00など、8時間勤務、休憩1時間となることが多いです。1日のおおよそ流れは、以下の通りです。
- 9:00出勤、打ち合わせ、各種準備
- 10:00昼食の調理
- 12:00昼食の提供、片付け
- 13:00休憩
- 14:00おやつの調理
- 15:00おやつの提供、片付け
- 16:00洗い物、献立作成、食材の発注など各種事務作業
- 18:00退勤
業務の特性上、残業はあまりありません。延長保育の子供がいる場合は、一部の栄養士が勤務時間を1時間ずらすなどして対応することが多いです。
休日、長期休暇
休日や長期休暇に関しては、保育園の休園日に沿うことになります。そのため、日曜日、祝日は基本的にお休みです。
土曜日は子供の人数が減ることが多いので、管理栄養士・栄養士が複数人いる職場は数週間に1回などの頻度で出勤します。
GW、お盆、年末年始など保育園には休みの期間があるため、長期休暇は取りやすい傾向にあります。
給料
月収は、手当込みで15〜22万円ほどです。年1回数千円の昇給、ボーナスは年3ヶ月分ほど出ることが一般的です。
年収は、200万円台中盤から300万円台中盤くらいになるイメージです。
地域やそれぞれ保育園によって差がありますが、栄養士・管理栄養士の中でも給与はやや低い傾向にあります。
福利厚生
保育士の過酷な働き方が社会問題になり、保育園の労働環境が改善傾向にあります。これに応じて、管理栄養士・栄養士の待遇も良くなっているようです。
社会保険、住宅補助、交通費支給など基本的な福利厚生を整えている職場が多いです。
保育園で働く管理栄養士・栄養士に必要なスキルや経験
保育園は、食べやすくて健康に良いメニューと子供も理解できる食育を提供するための専門知識が必要となる職場です。
アレルギーへの対応
近年、食物アレルギーが増えているため、それぞれの子供に対応した献立を考えるための知識、それを担う責任もあります。
そのため、離乳食や幼児食に関する知識や調理経験があると採用に有利です。また、食育インストラクターなどの資格、子育てをした経験もアピールポイントになりえます。
他の職種の方とのコミュニケーション
保育園で働く管理栄養士・栄養士は、保育士、看護師、調理員と協力して、食事と食育を提供するポジションであるため、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
保育園では、職種ごとに業務内容の違うため、お互いのことが理解できず不満が募ってしまうということが生じがちです。少人数の職場だからこそ、人間関係をうまく築くことが大切になります。
子供への適切な対応
保育園で働く管理栄養士・栄養士は、子供と接する機会が多いのに、子供への接し方を勉強してきていない立場でもあります。
例えば、子供が食事を食べてくれない時にどのように声をかけるべきか、行動を促すか、といった工夫が必要です。
また、おやつを作る機会が多いので、お菓子作りに慣れておく、やりがいを持って取り組めるか確かめておくのも重要です。
保育園で働く48人の管理栄養士、栄養士にアンケートを行いました!
管理栄養士・栄養士のコミュニティサイト「エイチエ」の登録者で、保育園で働いている管理栄養士・栄養士の方々にアンケートを実施しました。
【調査概要】
- 調査時期:2020年5月
- 調査方法:管理栄養士・栄養士のコミュニティサイト「エイチエ」会員向けに実施
- 調査地域:全国
- 集計対象者:2020年5月のエイチエアンケートにて保育園で働いていると回答した管理栄養士・栄養士
【保育園で働いている管理栄養士・栄養士へのアンケート 質問項目】
- 管理栄養士ですか?栄養士ですか?
- あなたの年代を教えて下さい
- 管理栄養士・栄養士としての主な仕事内容を教えてください
- 管理栄養士・栄養士としての就業形態を教えてください
- 管理栄養士・栄養士としての収入を教えてください
- 今/直近の職場の良い部分(メリット)を教えて下さい
- 今/直近の職場の悪い部分(デメリット)を教えて下さい
【アンケート全体回答者属性】
- 有効回答数:362名の内、保育園で働いている48名)
- 管理栄養士:21名(43.8%)、栄養士:27名(56.3%)
- 20代:9名(18.8%)、30代:15名(31.3%)、40代:17名(35.4%)、50代:7名(14.6%)
保育園で働く管理栄養士・栄養士の仕事内容
保育園で働く管理栄養士・栄養士の業務として多いのは、調理業務、献立作成、食育の推進となりました。
実際の現場では、献立作成から調理までセットで任されることが多いと分かります。管理栄養士・栄養士としての基本的な業務が経験できる職場といってよいでしょう。
保育園で働く管理栄養士・栄養士の就業形態
約8割の方が、正社員の管理栄養士・栄養士として保育園に勤めていることが明らかになりました。
今回のアンケートでは、管理栄養士の資格がない栄養士の方が半数以上含まれていることを考えると、保育園はそういった方も正社員として就職しやすい職場と言えそうです。
ただし、保育園によっては管理栄養士の資格がないと、栄養士としての手当が下りないこともあるので注意しましょう。
保育園で働く管理栄養士・栄養士の収入
年収200万円以上400万円未満の方が、75.0%となっています。
前述したように管理栄養士・栄養士の中でも、保育士で働く方は年収がやや低い傾向にあります。
例えば、病院やクリニックで働く管理栄養士・栄養士の1割ほどは年収500万円以上です。高い年収を望む方は、そういった職場を選ぶようにしましょう
実際に働く人が語る管理栄養士・栄養士が保育園で働くメリット、デメリット
保育園で働くメリット、やりがい
保育園で働くメリットとして最も多く挙がったのが、定時で帰れるという点です。追加の業務が生じる可能性が低いため、規則的に働くことができます。
また、職員全員が子供のことを理解している職場だからこそ、子供の都合による休みや早退をしやすい、子育て世代が働きやすいといった意見も目立ちました。
今の職場への満足度が特に高い方は、子供や同僚、園長などの上司との関係も良い傾向にあるようです。
- 土日祝日休みで、定時で帰る事ができる
- コミュニケーションをしっかりとれる人たちが多く、人間関係が良い
- 子育てへの理解があり、融通が効く
- 園長が食育に理解があり、機会を与えてくれる
- 可愛い子供たちに囲まれて、楽しい
- 給食を食べる子ども達の様子を見れる
保育園で働くデメリット、大変さ
保育園で働くデメリットとして多かったのが、給与が低いこと、残業代が申請できないことでした。
職場の中で、管理栄養士・栄養士の立場が弱く、働きにくいといった声もあります。
そのほか、ほぼ調理しかできない、予想より業務量が多いなど、職場ごとの特徴による不満が挙がりました。職場選びの際には、どのような業務を任せてもらえるのかよく確認しましょう。
- 給料が安く、保育士に比べ、手当や待遇に差がある
- 残業不可なので、残る必要がある時も残業代が出ない
- 園長や主任が給食のことを理解してくれない
- 保育士から栄養士の立場が軽視されている
- 仕事が調理業務しかないので、栄養士として成長できない
- 1人で調理や事務をやっているので大変