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2023.10.31

【管理栄養士必見】栄養サポートチーム(NST)専門療法士とは?

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こんにちは、管理栄養士の渡部 早紗です!

管理栄養士の資格を持っている場合、栄養サポートチーム(NST)に興味がある人も多いのではないでしょうか?

また、NSTで活躍するために、『NST専門療法士』の資格が気になっている人もいるかもしれません。

でも、NST専門療法士の方が身近にいないと「どうやってなるの?」「私でも資格を取得できるのかな…?」と、調べたくなりますよね。

そこで今回は、NST専門療法士のなり方について調べてみました!

認定試験の難易度や気になる合格率についても調査しましたので、資格取得までの道のりがクリアになりますよ。

それでは、一緒にみていきましょう!

1.栄養サポートチーム(NST)とは?

養成課程で習っているかとは思いますが、まずは栄養サポートチーム(NST)について、解説していきますね。

栄養サポートチーム(NST)とは、多職種の医療スタッフが栄養状態の低い患者さんのために、栄養サポートを協力して行うチームのことです。

『Nutrition Support Team』の頭文字を取って、通称NSTと呼ばれ 、医師、管理栄養士、薬剤師、看護師、臨床検査技師、言語聴覚士、さらに医療ソーシャルワーカーなどの職種の方から成り立ちます。

実は、中心静脈栄養(TNP)が開発されたことがNSTの起源です!TNPの発展や普及によって、「医師をサポートする栄養管理専門の医療スタッフが必要だ!」となったことが始まりです。

歴史としては、1973年にアメリカで初めてNSTが誕生し、2001年には日本の経腸静脈栄養学会でNSTプロジェクトが立ち上がりました。

そんなNSTの目的は、患者さんにとって安全で有効な栄養管理を行うことで、疾病の治癒や合併症予防を目指すことです!

2.栄養サポートチーム(NST)専門療法士とは?

では、栄養サポートチーム専門療法士(以下NST専門療法士)についてみていきましょう。

NST専門療法士とは、NSTに関わる医療スタッフの専門性を高め、チームの中心となって活躍する優秀な人材を育てよう!という目的で始まった資格です。一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定しています。

NSTのメンバーは、必ずしもNST専門療法士である必要はありませんが、資格を取得することで、より質の高い栄養管理ができるようになるため、資格取得が推奨されています。

そんなNST専門療法士は、静脈栄養や経腸栄養を用いた臨床栄養に関する知識と技能を持っており、よりハイレベルな栄養療法を実現して、チームの一員として貢献することが求められます!

管理栄養士以外の専門職の方も、NST専門療法士の資格取得が可能です。特に薬剤師、看護師、管理栄養士の資格の方が大多数を占めています。

3.栄養サポートチーム(NST)専門療法士のなり方 -管理栄養士-

管理栄養士もその他の専門職も、NST専門療法士の資格取得の方法は同じです。以下の5つの条件を全て満たす必要があります…!
①認定対象となる国家資格を持っている
⇒管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師

②①の国家資格で5年以上、医療や福祉の施設で勤務し、栄養サポートの業務に携わる

③日本臨床栄養代謝学会が主催する学術集会やセミナーに参加し、30単位以上を取得する

④認定された施設で、合計40時間以上の実地修練をおこなう

⑤上記の①~④までの条件を全て満たした後、認定試験を受験し、合格する

このように、認定試験を受験するまでに、セミナー出席や実地修練などのハードルがあるのです…!

5年以上の実務経験が必須のため、今まで別の領域で働いていた人が急に「病院でNST専門療法士として働きたいな~」と思い立っても、すぐに資格が取れるわけではありません。

さらに、NST専門療法士の資格は、管理栄養士と異なり、5年ごとに更新する必要があり、研修を受ける必要があります。

ちなみに、受験料10,000円、認定料20,000円。更新料は10,000円です。

4.栄養サポートチーム(NST)専門療法士の合格率と難易度

NST専門療法士を目指したい!と思ったときに気になるのが、試験の合格率と難易度ですよね。

残念ながら、試験を主催する日本臨床栄養代謝学会において、毎年の受験者数や合格者数が明確に発表されておりません。ただし、合格者の受験番号から算出すると、例年60~70%が合格しているようです。

さらに、職種によって何人合格、といった割り振りがあるようではなく、管理栄養士の国家試験のように、正答率は60%以上が合格条件の一つのようです。 ちなみに、2020年度の試験では、新たに405人が認定されています。

気になる難易度ですが、出題範囲が生化学から経腸栄養法・静脈栄養法など幅広く、さらに計算問題も含まれるため、やや難しいようです。

とはいえ、栄養に関する資格なので、管理栄養士は他職種と比較して有利と言えますね。さらに、普段の業務で経腸栄養や静脈栄養に携わっている人も、勉強がスムーズです。ちなみに、NST専門療法士試験の過去問題集が発行されているので、受験する方は手に取ってみてくださいね。

よりハイレベルな知識と技術が求められる資格ですので、難易度はもちろん高め。しかし、資格を持つことで、もっと患者さんのお役に立てますよね。難しい試験ではあるものの、コツコツと勉強することで道が開けます!

5.取得のメリットとまとめ

今回は、NST専門療法士のなり方についてお伝えしました。

NST専門療法士の資格を取得することで、NSTの中心となって活動できることが魅力ですね。

また、NST加算の算定要件に、NST専門療法士の資格は必要ないものの、資格があることでNSTへの知識がある証明になるため、病院で重宝されるようになりますよ!

さらに、セミナー出席や実地修練によって知識と経験が豊富になるため、NST 内においても意見や提案に対してさらに信用度が増します!

ほかにも、管理栄養士×NST専門療法士として、キャリアアップや、場合によっては給料アップが望まれることもメリットの一つ。

そして何より、資格取得を目指すことで管理栄養士としての知識と技術が豊富になり、今以上に患者さんに貢献できますね。

「スキルアップしてNSTで活躍したい!」「専門性を高めて、もっと患者さんのサポートがしたい!」と思う方は、ぜひNST専門療法士の資格取得を目指してみましょう!

参考文献・サイト

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渡部 早紗

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