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妊娠期の鉄摂取は夕方よりも朝が最適
2026.05.29
広島大学は26日、同大学大学院医系科学研究科博士課程後期の李楠大学院生、田原優准教授、中国労災病院藤原久也労災疾病研究室室長らの研究グループが、妊娠期鉄欠乏モデルマウスを用いた実験により、妊娠期の鉄の摂取タイミングによる効果の違いを発見したと発表した。
鉄の摂取時間帯によって効果に大きな違い
広島大学は26日、同大学大学院医系科学研究科博士課程後期の李楠大学院生、田原優准教授、中国労災病院藤原久也労災疾病研究室室長らの研究グループが、妊娠期鉄欠乏モデルマウスを用いた実験により、妊娠期の鉄の摂取タイミングによる効果の違いを発見したと発表した。研究成果は4月24日付で「npi Science of Food」に掲載されている。
女性の貧血、中でも妊娠期の貧血は世界的な健康課題のひとつとして知られる。WHOによると、世界の妊娠女性の約36%が貧血状態であるとされ、この妊娠時貧血の主な原因は鉄欠乏性貧血となっている。
日本人の食事摂取基準によると、20~30代女性では鉄摂取推奨量が1日10~10.5mg、妊娠中期・後期では14.5mgとされているが、国民健康栄養調査では、20~30代の平均的日本人女性における鉄摂取量は1日あたり6~7mgと多くの人が不足状態にある。
妊娠期の鉄欠乏性貧血は、母体の体調低下はもちろん、早産や低出生体重児、脳発達遅延などのリスクをもたらすとされ、十分な注意が必要なものだ。体内では鉄の量は厳密に管理されており、とくに鉄が腸管から吸収された後は、肝臓からのヘプシジン分泌による腸管の鉄吸収抑制が発生する。
そのため鉄製剤の投与は1日2回よりも1日1回の方が効率が良いのではないかとも報告されている。一方で、ヘプシジンや腸管での吸収、肝臓での鉄貯蔵に関わる遺伝子には、日内リズムがあることも報告されており、研究グループはより効果的な鉄摂取タイミングというものがあるのではないかと考え、検討を進めたという。
女性の貧血、中でも妊娠期の貧血は世界的な健康課題のひとつとして知られる。WHOによると、世界の妊娠女性の約36%が貧血状態であるとされ、この妊娠時貧血の主な原因は鉄欠乏性貧血となっている。
日本人の食事摂取基準によると、20~30代女性では鉄摂取推奨量が1日10~10.5mg、妊娠中期・後期では14.5mgとされているが、国民健康栄養調査では、20~30代の平均的日本人女性における鉄摂取量は1日あたり6~7mgと多くの人が不足状態にある。
妊娠期の鉄欠乏性貧血は、母体の体調低下はもちろん、早産や低出生体重児、脳発達遅延などのリスクをもたらすとされ、十分な注意が必要なものだ。体内では鉄の量は厳密に管理されており、とくに鉄が腸管から吸収された後は、肝臓からのヘプシジン分泌による腸管の鉄吸収抑制が発生する。
そのため鉄製剤の投与は1日2回よりも1日1回の方が効率が良いのではないかとも報告されている。一方で、ヘプシジンや腸管での吸収、肝臓での鉄貯蔵に関わる遺伝子には、日内リズムがあることも報告されており、研究グループはより効果的な鉄摂取タイミングというものがあるのではないかと考え、検討を進めたという。
胎盤における概日時計が影響
研究グループは、鉄欠乏餌で飼育した妊娠マウスに対し、硫酸第一鉄を妊娠7日目~15日目まで、活動期始め(暗期開始のタイミングを「朝」と定義)、または活動期終わり(明期開始のタイミングを「夕方」と定義)に摂取させた。
その間、母体の体重増加を記録したほか、妊娠17日目の母体、胎児の生化学的データを取得したという。
すると、鉄欠乏により低下した母体体重は、活動期始めの鉄摂取でのみ有意に改善することが確認された。また、活動期始め(朝)の鉄摂取は、活動期終わり(夕方)摂取と比較し、胎児の死産を減少させていたほか、胎児の平均体重の増加、胎盤におけるフェリチン(鉄貯蔵量の指標)の増加につながっていた。
胎盤における鉄輸送関連遺伝子の発現も、活動期始めの鉄摂取で有意に高くなっていたという。これらから、鉄欠乏性の妊娠時貧血モデルマウスにおいて、活動期始め(朝)の鉄摂取が、活動期終わり(夕方)の鉄摂取よりも、退治への鉄輸送や発達に効果的な作用を及ぼすことが判明した。
続いて、腸内細菌叢についても比較検討を行ったところ、活動期終わりの鉄摂取は、腸内環境の乱れや炎症との関連が報告されているProteobacteria門の増加をもたらすことが分かった。さらに、鉄欠乏により、胎盤、胎児における鉄、フェリチン量、胎盤における鉄代謝関連遺伝子発現に、新しい日内リズムが出現することも判明した。
とくに胎盤、胎児における鉄、フェリチン量、胎盤のIrp2、Tfrなどの発現リズムは、活動期始めに高いピークを示しており、こちらに優位性があると考えられた。
主要な時計遺伝子であるClockの変異マウスを用い、妊娠時の胎盤における遺伝子発現を調べたところ、時計遺伝子やIrp2、Tfrの発現の日内リズムが消失することも確認できた。
よって研究グループでは、胎盤における概日時計が胎児への鉄輸送日内リズムを作り出している可能性が示唆されたとまとめている。
今回の研究結果は、妊娠期の場合、夕方よりも朝に鉄を摂取した方が効果的であることを動物実験によって示している。今後は人を対象とした臨床研究において、結果の検証を行うことが待たれる。
研究グループでは、今回の結果について、時間栄養学として、サプリメントなどの効果的摂取タイミングを提案するものになると考えている。時間栄養学とは、体内時計研究をベースにした、食・栄養の最適タイミングを考える新たな分野だ。
研究グループは今後もさまざまな栄養素、機能性食品成分などについて、効果的な摂取タイミングを研究、提案していきたいとした。
また、実際の臨床現場では、重度な貧血を伴う妊婦に対し、高用量の鉄製剤を処方することも多く、朝の鉄製剤摂取は日中の吐き気などの副作用により敬遠されるケースが少なくないという。
よって今後の研究では、高用量の鉄摂取において、消化管での炎症などにも注目しつつ、効果的処方タイミングを検討していきたいとした。さらに今回は妊娠かつ胎盤に着目した研究となったが、非妊娠時における貧血への対応についても、時間栄養学的研究を推進していきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
その間、母体の体重増加を記録したほか、妊娠17日目の母体、胎児の生化学的データを取得したという。
すると、鉄欠乏により低下した母体体重は、活動期始めの鉄摂取でのみ有意に改善することが確認された。また、活動期始め(朝)の鉄摂取は、活動期終わり(夕方)摂取と比較し、胎児の死産を減少させていたほか、胎児の平均体重の増加、胎盤におけるフェリチン(鉄貯蔵量の指標)の増加につながっていた。
胎盤における鉄輸送関連遺伝子の発現も、活動期始めの鉄摂取で有意に高くなっていたという。これらから、鉄欠乏性の妊娠時貧血モデルマウスにおいて、活動期始め(朝)の鉄摂取が、活動期終わり(夕方)の鉄摂取よりも、退治への鉄輸送や発達に効果的な作用を及ぼすことが判明した。
続いて、腸内細菌叢についても比較検討を行ったところ、活動期終わりの鉄摂取は、腸内環境の乱れや炎症との関連が報告されているProteobacteria門の増加をもたらすことが分かった。さらに、鉄欠乏により、胎盤、胎児における鉄、フェリチン量、胎盤における鉄代謝関連遺伝子発現に、新しい日内リズムが出現することも判明した。
とくに胎盤、胎児における鉄、フェリチン量、胎盤のIrp2、Tfrなどの発現リズムは、活動期始めに高いピークを示しており、こちらに優位性があると考えられた。
主要な時計遺伝子であるClockの変異マウスを用い、妊娠時の胎盤における遺伝子発現を調べたところ、時計遺伝子やIrp2、Tfrの発現の日内リズムが消失することも確認できた。
よって研究グループでは、胎盤における概日時計が胎児への鉄輸送日内リズムを作り出している可能性が示唆されたとまとめている。
今回の研究結果は、妊娠期の場合、夕方よりも朝に鉄を摂取した方が効果的であることを動物実験によって示している。今後は人を対象とした臨床研究において、結果の検証を行うことが待たれる。
研究グループでは、今回の結果について、時間栄養学として、サプリメントなどの効果的摂取タイミングを提案するものになると考えている。時間栄養学とは、体内時計研究をベースにした、食・栄養の最適タイミングを考える新たな分野だ。
研究グループは今後もさまざまな栄養素、機能性食品成分などについて、効果的な摂取タイミングを研究、提案していきたいとした。
また、実際の臨床現場では、重度な貧血を伴う妊婦に対し、高用量の鉄製剤を処方することも多く、朝の鉄製剤摂取は日中の吐き気などの副作用により敬遠されるケースが少なくないという。
よって今後の研究では、高用量の鉄摂取において、消化管での炎症などにも注目しつつ、効果的処方タイミングを検討していきたいとした。さらに今回は妊娠かつ胎盤に着目した研究となったが、非妊娠時における貧血への対応についても、時間栄養学的研究を推進していきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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