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2型糖尿病の脳のインスリン抵抗性は視床下部後核に局在
2026.06.15
学校法人順天堂は11日、同大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義准教授、田村好史教授、綿田裕孝主任教授、神経生理学の長田貴宏准教授、小西清貴主任教授らの研究グループが、高解像度機能的MRI(fMRI)と経鼻インスリン投与を組み合わせることにより、2型糖尿病での脳のインスリン反応について詳細な解析を実施、新たな知見を得たと発表した。
順天堂大の研究グループ、脳のインスリン反応を詳細解析
学校法人順天堂は11日、同大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義准教授、田村好史教授、綿田裕孝主任教授、神経生理学の長田貴宏准教授、小西清貴主任教授らの研究グループが、高解像度機能的MRI(fMRI)と経鼻インスリン投与を組み合わせることにより、2型糖尿病での脳のインスリン反応について詳細な解析を実施、新たな知見を得たと発表した。
これまで漠然としか捉えられていなかった「脳のインスリン抵抗性」が視床下部後核という特定の神経核に局在する可能性を見出している。この研究成果は6月8日付で「JCI Insight」オンライン版に掲載された。
2型糖尿病の場合、肝臓や骨格筋、脂肪組織など末梢組織におけるインスリン抵抗性が主な病態として知られている。一方、近年になって脳、とくに視床下部におけるインスリン作用が食欲やエネルギー消費、血糖恒常性の維持に重要であることが明らかになってきた。
実際、肥満や糖尿病の患者では、経鼻投与したインスリンに対する脳活動変化が低下することが報告されており、ここから「脳インスリン抵抗性」という概念も提唱されている。しかし、従来の脳画像研究では、視床下部全体を一領域として評価することがほとんどで、視床下部のどの神経核が糖尿病によって障害されているかは分かっていなかった。
視床下部には接触や体温調節、交感神経活動、エネルギー消費など異なる役割を有する複数の神経核が存在しており、糖尿病における脳インスリン抵抗性についてより深く理解するには、従来よりも高い空間分解能で神経核レベルでの解析が必要と考えられた。
そこで研究グループでは、fMRIを用い、2型糖尿病における脳インスリン応答を視床下部内の領域ごとに評価、さらに約1,600人の地域在住高齢者の構造MRI解析を組み合わせることによって、脳機能異常と脳構造変化との関連を検討することとした。
これまで漠然としか捉えられていなかった「脳のインスリン抵抗性」が視床下部後核という特定の神経核に局在する可能性を見出している。この研究成果は6月8日付で「JCI Insight」オンライン版に掲載された。
2型糖尿病の場合、肝臓や骨格筋、脂肪組織など末梢組織におけるインスリン抵抗性が主な病態として知られている。一方、近年になって脳、とくに視床下部におけるインスリン作用が食欲やエネルギー消費、血糖恒常性の維持に重要であることが明らかになってきた。
実際、肥満や糖尿病の患者では、経鼻投与したインスリンに対する脳活動変化が低下することが報告されており、ここから「脳インスリン抵抗性」という概念も提唱されている。しかし、従来の脳画像研究では、視床下部全体を一領域として評価することがほとんどで、視床下部のどの神経核が糖尿病によって障害されているかは分かっていなかった。
視床下部には接触や体温調節、交感神経活動、エネルギー消費など異なる役割を有する複数の神経核が存在しており、糖尿病における脳インスリン抵抗性についてより深く理解するには、従来よりも高い空間分解能で神経核レベルでの解析が必要と考えられた。
そこで研究グループでは、fMRIを用い、2型糖尿病における脳インスリン応答を視床下部内の領域ごとに評価、さらに約1,600人の地域在住高齢者の構造MRI解析を組み合わせることによって、脳機能異常と脳構造変化との関連を検討することとした。
食事療法や低栄養などとの関係にも今後は注目
まず、機能評価における研究で、40~64歳の日本人男性41人(2型糖尿病患者21人、健常対照者20人)を対象に、経鼻インスリン投与を併用したfMRIにより、脳のインスリン応答を評価した。
被験者には前夜から絶食してもらい、撮像中に鼻腔内へとインスリンを投与している。経鼻投与は血液脳関門を介さず、比較的直接に脳へとインスリンを到達させられるため、中枢神経におけるインスリン反応を評価する研究手法として用いられている。MRI撮像は投与前15分から投与後30分まで連続実施し、血液検査もあわせて実施、末梢代謝変化の確認を行った。
解析では、これまでの研究で定義してきた視床下部内の弓状核、背内側核、室傍核、腹内側核、後核、外側視床下部を対象に、時間経過に伴う信号変化を比較していった。
すると、健常群ではインスリン投与後、わずか5分で視床下部後核において明瞭な信号の低下が認められ、脳がインスリン刺激へと迅速に応答していたのに対し、2型糖尿病群ではこの反応が消失しており、同領域でインスリン感受性が低下していることが分かった。
他の視床下部領域では同様の変化は見られず、脳インスリン抵抗性がこの特定領域に局在する可能性が高いと考えられた。
被験者には前夜から絶食してもらい、撮像中に鼻腔内へとインスリンを投与している。経鼻投与は血液脳関門を介さず、比較的直接に脳へとインスリンを到達させられるため、中枢神経におけるインスリン反応を評価する研究手法として用いられている。MRI撮像は投与前15分から投与後30分まで連続実施し、血液検査もあわせて実施、末梢代謝変化の確認を行った。
解析では、これまでの研究で定義してきた視床下部内の弓状核、背内側核、室傍核、腹内側核、後核、外側視床下部を対象に、時間経過に伴う信号変化を比較していった。
すると、健常群ではインスリン投与後、わずか5分で視床下部後核において明瞭な信号の低下が認められ、脳がインスリン刺激へと迅速に応答していたのに対し、2型糖尿病群ではこの反応が消失しており、同領域でインスリン感受性が低下していることが分かった。
他の視床下部領域では同様の変化は見られず、脳インスリン抵抗性がこの特定領域に局在する可能性が高いと考えられた。
続いて構造評価としての研究では、文京ヘルススタディに参加した高齢者の1,609人(糖尿病群209人、非糖尿病群1,400人)の脳MRIデータを解析し、視床下部の灰白質容積を比較した。
その結果、糖尿病群では視床下部全体で灰白質容積の低下が確認され、とくに後部視床下部では最も顕著な容積低下が見られた。中年層を対象とする先の研究では構造変化が認められなかった一方、機能異常は既に出現していたため、糖尿病の場合、まず脳のインスリン応答異常が生じ、その後長期の代謝負荷によって構造変化も進行する可能性が強く示唆されるところとなった。
その結果、糖尿病群では視床下部全体で灰白質容積の低下が確認され、とくに後部視床下部では最も顕著な容積低下が見られた。中年層を対象とする先の研究では構造変化が認められなかった一方、機能異常は既に出現していたため、糖尿病の場合、まず脳のインスリン応答異常が生じ、その後長期の代謝負荷によって構造変化も進行する可能性が強く示唆されるところとなった。
研究グループでは、今回の研究は横断研究であり、脳機能異常が糖尿病の原因なのか、あるいは糖尿病の進行によって生じる変化なのかが明らかでないとし、今後、食事療法や運動療法、糖尿病治療薬などの介入によって後部視床下部のインスリン応答が改善するかを検証する介入研究などから、脳インスリン抵抗性が可逆的病態であるかを明らかにしていきたいとした。
また、視床下部は血糖調節のみならず、食欲やエネルギー代謝の制御にも深く関与しているため、糖尿病領域を超えた応用可能性についても見据えている。
とくに高齢期では、加齢に伴う食欲低下や低栄養がフレイルや要介護状態を招く重要要因として知られており、脳のインスリン感受性低下がこれらの背景機序のひとつである可能性も否定できない。よって今後は高齢者における食欲低下や低栄養状態と視床下部機能との関連を明らかにし、健康寿命延伸につながる予防法や介入法の開発も目指したい方針とした。
あわせて昨今問題となっている若年女性のやせについても、脳インスリン作用の観点から、新しい理解が得られる可能性がある。過度なやせや慢性的エネルギー不足は、将来的な糖代謝異常や代謝適応異常と関連する可能性も指摘されている。
今後、若年女性を対象とし、栄養状態や体組成と脳インスリン感受性との関連を検討し、適切な食習慣や代謝の健康を維持するための新たな予防戦略の構築につなげていきたいともした。
(画像はプレスリリースより)
また、視床下部は血糖調節のみならず、食欲やエネルギー代謝の制御にも深く関与しているため、糖尿病領域を超えた応用可能性についても見据えている。
とくに高齢期では、加齢に伴う食欲低下や低栄養がフレイルや要介護状態を招く重要要因として知られており、脳のインスリン感受性低下がこれらの背景機序のひとつである可能性も否定できない。よって今後は高齢者における食欲低下や低栄養状態と視床下部機能との関連を明らかにし、健康寿命延伸につながる予防法や介入法の開発も目指したい方針とした。
あわせて昨今問題となっている若年女性のやせについても、脳インスリン作用の観点から、新しい理解が得られる可能性がある。過度なやせや慢性的エネルギー不足は、将来的な糖代謝異常や代謝適応異常と関連する可能性も指摘されている。
今後、若年女性を対象とし、栄養状態や体組成と脳インスリン感受性との関連を検討し、適切な食習慣や代謝の健康を維持するための新たな予防戦略の構築につなげていきたいともした。
(画像はプレスリリースより)
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