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北海道大学、インド産雑穀ミレットの有益脂質を明らかに
2026.06.12
北海道大学は8日、同大学大学院保健科学研究院のボメ ゴウダ シッダバサーブ ゴウダ准教授、惠淑萍教授らの研究グループが、インド産の食用ミレットを対象に、非標的型LC/MSによる包括的脂質解析を実施、生理活性脂質である脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)の同定に成功、ミレットの機能性食品としての新たな可能性を明らかにしたと発表した。
生理活性脂質FAHFAsの同定に成功
北海道大学は8日、同大学大学院保健科学研究院のボメ ゴウダ シッダバサーブ ゴウダ准教授、惠淑萍教授らの研究グループが、インド産の食用ミレットを対象に、非標的型LC/MSによる包括的脂質解析を実施、生理活性脂質である脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)の同定に成功、ミレットの機能性食品としての新たな可能性を明らかにしたと発表した。
この研究成果は、3月7日付で、「Food Chemistry」誌にオンライン掲載された。
ミレットは、ヒエ、アワ、キビ、ソルガムなどを含む小粒穀物の総称で、アジアやアフリカ地域において重要な主食資源となっている。これら作物は乾燥や高温などの過酷な環境条件下でも栽培可能であるため、持続可能な農業や食料安全保障の観点から、昨今再評価が進んでいるという。
さらにミレットは食物繊維、ポリフェノール、ミネラル、ビタミンを豊富に含んだ低グリセミック指数(GI)食品であり、糖尿病や肥満、心血管疾患などの生活習慣病予防に貢献する可能性が報告されてきている。
一方で、このミレットに含まれる脂質成分に関連した研究は、主に総脂質量や脂肪酸組成の解析にとどまったもので、脂質分子レベルでの包括的な解析は未だ進んでいない。とくに脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)は、抗炎症作用、抗糖尿病作用、インスリン感受性の改善といった生理機能を有する新規脂質分子群として注目されているが、食品中での分布や存在量に関する知見はまだまだ限られたものしかない。
こうした背景から、ミレット中の脂質オミクス解析を通じ、未知の機能性脂質の探索とその栄養学的意義の解明が強く求められていると判断、研究グループはその達成を試みた。
この研究成果は、3月7日付で、「Food Chemistry」誌にオンライン掲載された。
ミレットは、ヒエ、アワ、キビ、ソルガムなどを含む小粒穀物の総称で、アジアやアフリカ地域において重要な主食資源となっている。これら作物は乾燥や高温などの過酷な環境条件下でも栽培可能であるため、持続可能な農業や食料安全保障の観点から、昨今再評価が進んでいるという。
さらにミレットは食物繊維、ポリフェノール、ミネラル、ビタミンを豊富に含んだ低グリセミック指数(GI)食品であり、糖尿病や肥満、心血管疾患などの生活習慣病予防に貢献する可能性が報告されてきている。
一方で、このミレットに含まれる脂質成分に関連した研究は、主に総脂質量や脂肪酸組成の解析にとどまったもので、脂質分子レベルでの包括的な解析は未だ進んでいない。とくに脂肪酸エステル型ヒドロキシ脂肪酸(FAHFAs)は、抗炎症作用、抗糖尿病作用、インスリン感受性の改善といった生理機能を有する新規脂質分子群として注目されているが、食品中での分布や存在量に関する知見はまだまだ限られたものしかない。
こうした背景から、ミレット中の脂質オミクス解析を通じ、未知の機能性脂質の探索とその栄養学的意義の解明が強く求められていると判断、研究グループはその達成を試みた。
食品加工プロセスが与える影響なども今後検討へ
研究グループは、インドのIndian Institute of Millets Researchからミレット穀粒試料を入手、Barnyard、Browntop、Kodo、Finger、Little、Foxtailの6種、計59品種を解析対象とした。
脂質抽出は修正版Bligh-Dyer法を用いて行い、オレイン酸-d9とEquiSPLASH Lipidomixを添加した。非標的型脂質プロファイリングは、高性能液体クロマトグラフィーと線形トラップ四重極Orbitrap高分解能質量分析計を組み合わせ、正イオンモードと負イオンモードの両条件による測定を行っている。クロマトグラフィー分離にはAtlantis T3 C18カラムを用いた。
これらで得られた質量分析データに対し、MS-DIALソフトウェアを用いてデータ処理と脂質アノテーションを実施、さらにXcaliburソフトを用い、データ統合と高分解能スペクトル解析を行った。脂質濃度は抽出時に添加した内部標準を基準として半定量化し、試料量によって正規化している。
さらに潜在的脂質バイオマーカーを特定するため、統計解析を包括的に実施した。
その結果、脂質オミクス解析により、6種類のインド産ミレットから合計219種類の脂質分子が同定された。疎化部分最小二乗判別分析を用い、脂質プロファイルを解析すると、各ミレット種は明確にクラスタリングされ、種に特異的な特徴が示されたという。結果としてホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、セラミド(Cer)が種間差の主要因として機能していることも明らかになった。
とくにFingerとFoxtailでは、PSとPEが豊富であった一方、BarnyardとKodoではこれらの脂質量が低く、脂質生合成パターンの違いを反映していると考えられた。
総脂質含量についての検討では、ミレット種によって差異が認められ、Foxtailが最も高く8.41%、Fingerが最も低く3.22%だった。脂質クラス別の解析結果では、GlycerolipidsがBarnyard、Browntop、Kodo、Foxtailで優勢であった一方、遊離脂肪酸はFingerやLittleで相対的に多く検出された。
さらに56種類の脂肪酸を検出、Littleではω-3やω-6脂肪酸が最も豊富であることを突き止めた。研究グループでは、これらの結果から、栄養学的指標においてはFoxtailとLittleが中でも健康的脂質組成を有していると結論づけている。
脂質抽出は修正版Bligh-Dyer法を用いて行い、オレイン酸-d9とEquiSPLASH Lipidomixを添加した。非標的型脂質プロファイリングは、高性能液体クロマトグラフィーと線形トラップ四重極Orbitrap高分解能質量分析計を組み合わせ、正イオンモードと負イオンモードの両条件による測定を行っている。クロマトグラフィー分離にはAtlantis T3 C18カラムを用いた。
これらで得られた質量分析データに対し、MS-DIALソフトウェアを用いてデータ処理と脂質アノテーションを実施、さらにXcaliburソフトを用い、データ統合と高分解能スペクトル解析を行った。脂質濃度は抽出時に添加した内部標準を基準として半定量化し、試料量によって正規化している。
さらに潜在的脂質バイオマーカーを特定するため、統計解析を包括的に実施した。
その結果、脂質オミクス解析により、6種類のインド産ミレットから合計219種類の脂質分子が同定された。疎化部分最小二乗判別分析を用い、脂質プロファイルを解析すると、各ミレット種は明確にクラスタリングされ、種に特異的な特徴が示されたという。結果としてホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、セラミド(Cer)が種間差の主要因として機能していることも明らかになった。
とくにFingerとFoxtailでは、PSとPEが豊富であった一方、BarnyardとKodoではこれらの脂質量が低く、脂質生合成パターンの違いを反映していると考えられた。
総脂質含量についての検討では、ミレット種によって差異が認められ、Foxtailが最も高く8.41%、Fingerが最も低く3.22%だった。脂質クラス別の解析結果では、GlycerolipidsがBarnyard、Browntop、Kodo、Foxtailで優勢であった一方、遊離脂肪酸はFingerやLittleで相対的に多く検出された。
さらに56種類の脂肪酸を検出、Littleではω-3やω-6脂肪酸が最も豊富であることを突き止めた。研究グループでは、これらの結果から、栄養学的指標においてはFoxtailとLittleが中でも健康的脂質組成を有していると結論づけている。
ミレット中における生理活性脂質の存在に関する検討では、5種類のFAHFA分子をミレット中で初めて仮同定した。これら分子はMS/MSフラグメンテーション解析とDMED誘導体化によって検証されたもので、ここからミレットは生理活性を有するFAHFAの潜在的食品供給源であることが判明している。
研究グループでは、今後について、今回同定されたFAHFAs及びその他機能性脂質について、その生理活性と作用機序を明らかにするため、さらに細胞レベルや動物モデルを用いた、in vitro/in vivo研究を進める必要があるとした。とくに抗炎症作用やインスリン感受性改善効果に関する詳細な検証が重要視されている。
また、日本においては健康志向の高まりが見られることから、ミレット由来の脂質を活用した新規食品素材やサプリメントの開発が有望であると見られている。食品加工プロセスとしての発酵や加熱、粉砕などが脂質組成に与える影響について検討することで、機能性成分を保持・強化した製品設計が可能になるものとも見込まれた。
加えて農業分野では、機能性脂質を高含有するミレット種の選抜や育種、栽培条件の最適化を通じ、栄養価の高い作物の開発が進むと考えられている。総じて今回の研究はミレットの新たな価値創出に寄与し、持続可能な食料システムや、人々の健康増進に貢献する基盤的知見を提供するものとされた。
(画像はプレスリリースより)
研究グループでは、今後について、今回同定されたFAHFAs及びその他機能性脂質について、その生理活性と作用機序を明らかにするため、さらに細胞レベルや動物モデルを用いた、in vitro/in vivo研究を進める必要があるとした。とくに抗炎症作用やインスリン感受性改善効果に関する詳細な検証が重要視されている。
また、日本においては健康志向の高まりが見られることから、ミレット由来の脂質を活用した新規食品素材やサプリメントの開発が有望であると見られている。食品加工プロセスとしての発酵や加熱、粉砕などが脂質組成に与える影響について検討することで、機能性成分を保持・強化した製品設計が可能になるものとも見込まれた。
加えて農業分野では、機能性脂質を高含有するミレット種の選抜や育種、栽培条件の最適化を通じ、栄養価の高い作物の開発が進むと考えられている。総じて今回の研究はミレットの新たな価値創出に寄与し、持続可能な食料システムや、人々の健康増進に貢献する基盤的知見を提供するものとされた。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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