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少量で油を固めるオレオゲル、硬さの仕組みが判明
2026.07.07
広島大学は7月1日、同大学大学院統合生命科学研究科三上春菜氏、小泉晴比古准教授、上野聡教授、公益社団法人高輝度光科学研究センター関口博史主幹研究員の共同研究グループが、注目される食品素材「ひまわりワックス」を用いた植物油を固体状にするオレオゲル形成について、どのように硬さが決まるのか、物理的メカニズムを明らかにしたことを発表した。
健康的で美味しい代替油脂の食感設計や代替肉への応用で期待
広島大学は7月1日、同大学大学院統合生命科学研究科三上春菜氏、小泉晴比古准教授、上野聡教授、公益社団法人高輝度光科学研究センター関口博史主幹研究員の共同研究グループが、注目される食品素材「ひまわりワックス」を用いた植物油を固体状にするオレオゲル形成について、どのように硬さが決まるのか、物理的メカニズムを明らかにしたことを発表した。
この研究成果は6月17日付で国際学術誌「Food Chemistry」に掲載されている。
昨今の食品業界では、健康への悪影響が懸念される飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む動物性油脂の代替として、液体の植物油を固体状に構造化する「オレオゲル」の研究が世界的に進められ、注目を集めるところとなっている。
中でも「ひまわりワックス(SFW)」のような植物由来ワックスは、低コストで入手しやすい上、少量の添加で油を強固に固める力に優れ、安定したネットワークを形成・保持できるため、健康的な代替油脂としての実用性が評価されている。
これまでの研究で、製造時の冷却速度がゲルの硬さ(貯蔵弾性率)に影響を与えることが判明し、冷却を遅くするとゲルが柔らかくなることは報告されていた。しかし、なぜ結晶のネットワーク構造が変化し、硬さが変わるのか、結晶学的原因については未解明のままだった。
さらに結晶のサイズだけでなく、結晶内部のひずみや、分子が層状に重なる「ラメラ周期」の分布がマクロな食感とどう関わっているのかを明らかにすることは、大きな課題となっていた。
この研究成果は6月17日付で国際学術誌「Food Chemistry」に掲載されている。
昨今の食品業界では、健康への悪影響が懸念される飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む動物性油脂の代替として、液体の植物油を固体状に構造化する「オレオゲル」の研究が世界的に進められ、注目を集めるところとなっている。
中でも「ひまわりワックス(SFW)」のような植物由来ワックスは、低コストで入手しやすい上、少量の添加で油を強固に固める力に優れ、安定したネットワークを形成・保持できるため、健康的な代替油脂としての実用性が評価されている。
これまでの研究で、製造時の冷却速度がゲルの硬さ(貯蔵弾性率)に影響を与えることが判明し、冷却を遅くするとゲルが柔らかくなることは報告されていた。しかし、なぜ結晶のネットワーク構造が変化し、硬さが変わるのか、結晶学的原因については未解明のままだった。
さらに結晶のサイズだけでなく、結晶内部のひずみや、分子が層状に重なる「ラメラ周期」の分布がマクロな食感とどう関わっているのかを明らかにすることは、大きな課題となっていた。
冷やし方や混ぜ方を変えることで結晶並びの調整が可能に
研究グループは、強力な放射光X線解析(SAXD/WAXD)測定を用いることにより、ひまわりワックス由来のゲル内部に、分子の並び方は同一ながら、層状の繰り返し間隔(ラメラ周期)がわずかに異なる、長い周期と短い周期のものがあり、その分析を進めたところ、ゲルの硬さはこの2つの成分の比率によって決定されていること、総結晶量や分子パッキングの変化ではなく、構造の分布そのものが物理的特性を支配していることを突き止めた。
とくに重要なポイントは、それぞれの結晶成分がもつ内部状態の違いだ。結晶学的解析により、短い周期の成分には、長い周期の成分よりも多くのひずみが蓄積されており、結晶の欠陥を示す「転位密度」が著しく高いことが明らかになった。
この欠陥の多い成分がゲル内に増えるほど、結晶ネットワーク全体の機械的堅牢性が損なわれ、ゲルは柔らかくなったという。
加えて、製造プロセスにおける冷却速度の調整や、かきまぜ(せん断)の付加が、これら2つの成分の比率を操作する強力な手段となることも実証できた。
例えば急速な冷却や攪拌を行うと、柔らかさの原因となる短い周期の成分が減少して構造が均一化され、ゲルの弾性は大幅に硬くなる。SPring-8によるリアルタイム計測では、この構造のずれが結晶化のごく初期段階から生じていると確認され、製造条件の最適化が理想的な食感(テクスチャー)の設計に直結することを示すこともできた。
研究グループでは、今回明らかになったラメラ周期の再分配というメカニズムを用いることにより、これまで経験則によっていたオレオゲルの硬さを、結晶構造レベルから自在に、また精密に制御することが可能になるとしている。
今後はこの技術を、植物ベースの代替肉開発へと応用することで、動物性油脂の代わりに、この手法で硬さを最適化したオレオゲルを用い、従来の代替肉では再現困難だった肉本来のジューシーさや、満足感ある食感を創出できると考えられている。
グループはひまわりワックス以外の植物性ワックスへの展開も進め、飽和脂肪酸を抑え健康面への配慮を高めつつ、美味しさも失わない、持続可能な次世代食品の実現に寄与していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
とくに重要なポイントは、それぞれの結晶成分がもつ内部状態の違いだ。結晶学的解析により、短い周期の成分には、長い周期の成分よりも多くのひずみが蓄積されており、結晶の欠陥を示す「転位密度」が著しく高いことが明らかになった。
この欠陥の多い成分がゲル内に増えるほど、結晶ネットワーク全体の機械的堅牢性が損なわれ、ゲルは柔らかくなったという。
加えて、製造プロセスにおける冷却速度の調整や、かきまぜ(せん断)の付加が、これら2つの成分の比率を操作する強力な手段となることも実証できた。
例えば急速な冷却や攪拌を行うと、柔らかさの原因となる短い周期の成分が減少して構造が均一化され、ゲルの弾性は大幅に硬くなる。SPring-8によるリアルタイム計測では、この構造のずれが結晶化のごく初期段階から生じていると確認され、製造条件の最適化が理想的な食感(テクスチャー)の設計に直結することを示すこともできた。
研究グループでは、今回明らかになったラメラ周期の再分配というメカニズムを用いることにより、これまで経験則によっていたオレオゲルの硬さを、結晶構造レベルから自在に、また精密に制御することが可能になるとしている。
今後はこの技術を、植物ベースの代替肉開発へと応用することで、動物性油脂の代わりに、この手法で硬さを最適化したオレオゲルを用い、従来の代替肉では再現困難だった肉本来のジューシーさや、満足感ある食感を創出できると考えられている。
グループはひまわりワックス以外の植物性ワックスへの展開も進め、飽和脂肪酸を抑え健康面への配慮を高めつつ、美味しさも失わない、持続可能な次世代食品の実現に寄与していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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