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順天堂大ら、腸内細菌が食物繊維で腸粘膜の修復を促すことを発見
2026.10.27
順天堂大学は21日、同大学医学部消化器内科学講座の小田倉里奈非常勤助手、石川大教授、慶應義塾大学薬学部の関夏実助教、北里大学薬学部微生物学教室の金倫基教授らを中心とした研究グループが、海藻由来の食物繊維であるアルギン酸の、傷害を受けた腸粘膜修復を促す新たな仕組みを解明したと発表した。
鍵を握るタウリンの新たな役割を解明
順天堂大学は21日、同大学医学部消化器内科学講座の小田倉里奈非常勤助手、石川大教授、慶應義塾大学薬学部の関夏実助教、北里大学薬学部微生物学教室の金倫基教授らを中心とした研究グループが、海藻由来の食物繊維であるアルギン酸の、傷害を受けた腸粘膜修復を促す新たな仕組みを解明したと発表した。
腸内細菌叢移植療法の臨床研究でも証明しており、今後は食事による腸内細菌機能の制御が炎症性腸疾患などの予防及び治療につながる可能性があることなどから、注目を集めている。
なおこの研究成果はGastroenterology誌オンライン版に10月21日付で掲載されている。
ヒトの腸内には約40兆個の細菌が生息し、そのバランスの乱れは様々な病気と関連していることが分かっている。順天堂大学では腸粘膜に炎症が起こる指定難病の潰瘍性大腸炎に対し、健常者の便に含まれる腸内細菌を移植する「腸内細菌生物叢移植(FMT)」の研究を進めてきた。一方、食物繊維は腸内細菌の働きに影響を与えるものの、それが傷ついた腸粘膜の修復にどうつながるかは、十分に分かっていなかった。
そこで、研究グループはまず、海藻由来の食物繊維であるアルギン酸が腸内細菌を介して腸粘膜の修復を促す仕組みをマウス大腸炎モデルで検討した。さらに臨床研究として、腸内細菌叢移植(FMT)後の潰瘍性大腸炎患者を対象に、アルギン酸の効果と安全性を調べる無作為化プラセボ対照試験も実施している。
対象者は2020年9月から2022年9月にかけて登録された、活動期の潰瘍性大腸炎患者53人と、厳格な基準で選定した健康なドナー19人となっている。
マウス実験では、アルギン酸が腸内細菌やタウリンに及ぼす影響と、腸粘膜の修復に関わる仕組みを調べた。するとアルギン酸が特定の腸内細菌を増やし、これらを介してタウリンを増加させ、腸粘膜の修復を促すことが分かった。
またタウリンによって発現が誘導される遺伝子Cyp2c55が、この作用に重要であることを突き止めた。これにより食物繊維と腸内細菌、タウリン、腸上皮という新しい粘膜修復の経路を見出すことに成功した。
腸内細菌叢移植療法の臨床研究でも証明しており、今後は食事による腸内細菌機能の制御が炎症性腸疾患などの予防及び治療につながる可能性があることなどから、注目を集めている。
なおこの研究成果はGastroenterology誌オンライン版に10月21日付で掲載されている。
ヒトの腸内には約40兆個の細菌が生息し、そのバランスの乱れは様々な病気と関連していることが分かっている。順天堂大学では腸粘膜に炎症が起こる指定難病の潰瘍性大腸炎に対し、健常者の便に含まれる腸内細菌を移植する「腸内細菌生物叢移植(FMT)」の研究を進めてきた。一方、食物繊維は腸内細菌の働きに影響を与えるものの、それが傷ついた腸粘膜の修復にどうつながるかは、十分に分かっていなかった。
そこで、研究グループはまず、海藻由来の食物繊維であるアルギン酸が腸内細菌を介して腸粘膜の修復を促す仕組みをマウス大腸炎モデルで検討した。さらに臨床研究として、腸内細菌叢移植(FMT)後の潰瘍性大腸炎患者を対象に、アルギン酸の効果と安全性を調べる無作為化プラセボ対照試験も実施している。
対象者は2020年9月から2022年9月にかけて登録された、活動期の潰瘍性大腸炎患者53人と、厳格な基準で選定した健康なドナー19人となっている。
マウス実験では、アルギン酸が腸内細菌やタウリンに及ぼす影響と、腸粘膜の修復に関わる仕組みを調べた。するとアルギン酸が特定の腸内細菌を増やし、これらを介してタウリンを増加させ、腸粘膜の修復を促すことが分かった。
またタウリンによって発現が誘導される遺伝子Cyp2c55が、この作用に重要であることを突き止めた。これにより食物繊維と腸内細菌、タウリン、腸上皮という新しい粘膜修復の経路を見出すことに成功した。
FMTと食事を組み合わせた新しい治療法に期待
臨床試験では、患者が3種類の抗菌薬を2週間内服したのち、ドナーの便から調製した腸内細菌を含む溶液を大腸内視鏡を用いて投与、その後、患者を無作為に2群に分け、FMTの翌日からアルギン酸を含む飲料か、有効成分を含まないプラセボ飲料かを1日2回、8週間摂取してもらった。
臨床試験はプラセボ群23人、アルギン酸群25人の合計48人が完遂し、症状の改善を示す臨床的有効率と、症状が落ち着いた状態を示す寛解率は、それぞれプラセボ群で78.3%と43.5%、アルギン酸群では68.0%と43.2%だった。
両群で改善がみられたものの、主要評価項目では両群間に統計学的有意な差は認められず、アルギン酸の追加による臨床的効果は確認できなかったという。
一方、便中のタウリンや大腸粘膜の遺伝子CYP2C18の発現などにおいて、マウスで見出し経路と整合する生物学的変化が確認できた。有害事象としては肝機能障害、消化器症状、倦怠感、蕁麻疹がみられたものの重篤なものはなく、両群間にその有意な差もみられていない。
臨床試験はプラセボ群23人、アルギン酸群25人の合計48人が完遂し、症状の改善を示す臨床的有効率と、症状が落ち着いた状態を示す寛解率は、それぞれプラセボ群で78.3%と43.5%、アルギン酸群では68.0%と43.2%だった。
両群で改善がみられたものの、主要評価項目では両群間に統計学的有意な差は認められず、アルギン酸の追加による臨床的効果は確認できなかったという。
一方、便中のタウリンや大腸粘膜の遺伝子CYP2C18の発現などにおいて、マウスで見出し経路と整合する生物学的変化が確認できた。有害事象としては肝機能障害、消化器症状、倦怠感、蕁麻疹がみられたものの重篤なものはなく、両群間にその有意な差もみられていない。
これらから研究グループでは、食物繊維であるアルギン酸が腸内細菌叢の構成と代謝機能を変化させ、タウリンを介して腸粘膜の修復を促進する新たな仕組みが明らかになったとした。
今後はこの経路についてさらに詳しく解析を進め、腸内細菌の代謝機能を用いて腸粘膜の修復を促す、新しい予防・治療戦略につなげることを目指すという。
また、FMT後の潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験では、アルギン酸投与による有意な改善はみられなかった一方で、糞便中タウリンや大腸粘膜のCYP2C18発現などで、基礎研究に置いて見出された経路と整合する生物学的変化がみられ、今後はこの経路がヒトにおいてどういった条件で機能するのか、また腸内細菌叢やタウリンなどを指標としてこの経路が働きやすい患者を層別化できるのかを含め、臨床的意義を検証していきたいとした。
今回の研究を通して示された、食事によって腸内細菌の代謝機能を変化させ、その代謝物を介して宿主の組織修復を制御するという発想は、アルギン酸や潰瘍性大腸炎に限らず、様々な食事成分や疾患に展開できる可能性もあるという。
将来的にはこの研究を基盤とし、腸内細菌の種類だけでなく、機能を食事によって制御する、新しいマイクロバイオーム研究と疾患制御戦略の確立につなげていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
今後はこの経路についてさらに詳しく解析を進め、腸内細菌の代謝機能を用いて腸粘膜の修復を促す、新しい予防・治療戦略につなげることを目指すという。
また、FMT後の潰瘍性大腸炎患者を対象とした臨床試験では、アルギン酸投与による有意な改善はみられなかった一方で、糞便中タウリンや大腸粘膜のCYP2C18発現などで、基礎研究に置いて見出された経路と整合する生物学的変化がみられ、今後はこの経路がヒトにおいてどういった条件で機能するのか、また腸内細菌叢やタウリンなどを指標としてこの経路が働きやすい患者を層別化できるのかを含め、臨床的意義を検証していきたいとした。
今回の研究を通して示された、食事によって腸内細菌の代謝機能を変化させ、その代謝物を介して宿主の組織修復を制御するという発想は、アルギン酸や潰瘍性大腸炎に限らず、様々な食事成分や疾患に展開できる可能性もあるという。
将来的にはこの研究を基盤とし、腸内細菌の種類だけでなく、機能を食事によって制御する、新しいマイクロバイオーム研究と疾患制御戦略の確立につなげていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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