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大阪大ら、日本人大腸がんの主要原因を腸内細菌において発見
2026.08.17
大阪大学は10日、同大学大学院医学研究科の谷内田真一教授と東京大学医科学研究所の柴田龍弘教授らの研究グループが、特殊な大腸菌の産生する毒素によってDNAが傷つけられた特徴的瘢痕を確認、日本人大腸がんの多くにおいて、この毒素が発症に関与していることを突き止めたと発表した。
不明だった大腸がんの増加の仕組みを腸内細菌に見出す
大阪大学は10日、同大学大学院医学研究科の谷内田真一教授と東京大学医科学研究所の柴田龍弘教授らの研究グループが、特殊な大腸菌の産生する毒素によってDNAが傷つけられた特徴的瘢痕を確認、日本人大腸がんの多くにおいて、この毒素が発症に関与していることを突き止めたと発表した。
研究成果は英国科学誌「Nature Genetics」に8月10日付で公開されている。
大腸がんは日本で急速に増加しているがんのひとつで、現在は罹患数第1位、死亡数第2位を占める主要がんになっている。これまではその原因として、食生活の欧米化や生活習慣の変化が指摘されてきていたが、なぜ欧米諸国よりも発症頻度が高いのかなど、その分子レベルでの詳細な仕組みは分かっていなかった。
近年、腸内細菌が健康や病気に深く関わることが注目されているが、その中で一部の大腸菌が「コリバクチン」という毒素を産生し、細胞のDNAを傷つけることが報告されるようになったという。
研究成果は英国科学誌「Nature Genetics」に8月10日付で公開されている。
大腸がんは日本で急速に増加しているがんのひとつで、現在は罹患数第1位、死亡数第2位を占める主要がんになっている。これまではその原因として、食生活の欧米化や生活習慣の変化が指摘されてきていたが、なぜ欧米諸国よりも発症頻度が高いのかなど、その分子レベルでの詳細な仕組みは分かっていなかった。
近年、腸内細菌が健康や病気に深く関わることが注目されているが、その中で一部の大腸菌が「コリバクチン」という毒素を産生し、細胞のDNAを傷つけることが報告されるようになったという。
2025年には、柴田教授らが約1,000例の大腸がんを対象とする大陸横断国際共同研究をNatureに報告、コリバクチンによって生じたと考えられる特徴的なDNA損傷パターンが明らかにされた。この研究では日本からも28例が解析対象に含まれ、欧米を含む他国ではコリバクチンの関連変異シグネチャーが大腸がんの5~20%程度に認められていたのに対し、日本の症例では約半数とより高い頻度で確認されていた。
しかし、症例数も限られていたため、この結果をより大規模な日本人集団で検証することが課題となっていた。そこで研究グループは今回、国立がん研究センター中央病院、大阪大学医学部附属病院の大腸がん患者200例を対象に大規模全ゲノム解析を実施、日本人大腸がんにおけるコリバクチン産生大腸菌の関与を詳細に検討した。
しかし、症例数も限られていたため、この結果をより大規模な日本人集団で検証することが課題となっていた。そこで研究グループは今回、国立がん研究センター中央病院、大阪大学医学部附属病院の大腸がん患者200例を対象に大規模全ゲノム解析を実施、日本人大腸がんにおけるコリバクチン産生大腸菌の関与を詳細に検討した。
若年発症ケースでは約7割に変異痕跡を発見
全ゲノム解析を実行したところ、日本人大腸がんの約半数において、細菌毒素コリバクチンによって生じた特徴的なDNAの傷跡(コリバクチン関連変異シグネチャー)が確認され、コリバクチン産生大腸菌が日本人大腸がんの発がんに深く関与していることが示唆された。
コリバクチン関連変異は、APC、BRAF、TP53といった大腸がんの発生・進展に関係するドライバー遺伝子に変異を起こしており、とりわけ大腸がん発生の最も早期に異常が起こるAPC遺伝子にも変異を起こしていることから、大腸がんの発生初期段階から関係していることが判明した。
コリバクチン関連変異は、APC、BRAF、TP53といった大腸がんの発生・進展に関係するドライバー遺伝子に変異を起こしており、とりわけ大腸がん発生の最も早期に異常が起こるAPC遺伝子にも変異を起こしていることから、大腸がんの発生初期段階から関係していることが判明した。
さらにコリバクチン関連変異シグネチャーを有する大腸がんでは、発がん最初期に生じる遺伝子変異が10歳未満というごく幼少期にすでに獲得されている可能性が示された。幼少期からの腸内細菌との相互作用が、その後数十年をかけて大腸がん発症につながる可能性を示している。
また、40歳未満で発症した若年発症大腸がんでは、全体よりもさらに高い約70%でコリバクチン関連変異シグネチャーが確認された。一方年齢が高くなるにつれて、その割合は徐々に低下していたという。
加えてこの変異シグネチャーは1965年以降に出生した世代で高頻度に認められており、近年世界的に増加している若年発症大腸がんとの関連が強く示唆される結果となった。
研究グループではさらに、腸内細菌叢を網羅的に調べるメタゲノム解析とAI解析により、腸内フローラの特長に基づいて大腸がんを4つのサブタイプに分類できることも明らかにした。
一方で、今回注目したコリバクチン産生大腸菌は便中には存在量が少ないため、便中細菌を調べるメタゲノム解析では検出が難しく、4つのサブタイプを特徴づける代表的な細菌には含まれなかった。
しかし、コリバクチンによる変異シグネチャーをもつ大腸がんは、「サブタイプ3」としたグループに多く認められる傾向があったという。このサブタイプでは、大腸がんとの関連でよく知られている細菌のF. nucleatumが少ないことも分かった。
これはこれまで注目されてきたF. nucleatumを中心とする発がん経路とは異なる、新たな腸内細菌による発がん経路の存在を示唆しているとみられる。
これらの結果から研究グループでは、大腸がんは単一原因で発症する疾患ではなく、コリバクチン産生大腸菌が関与するタイプや、それ以外の腸内細菌や要因が関与するタイプなど、複数の異なる発がん経路がある可能性が高いとした。
今回の研究は、大腸がんが遺伝や生活習慣だけでなく、幼少期からの腸内細菌との長期的相互作用によって形成される可能性を示した重要な知見を含んでいる。
今後はコリバクチン産生大腸菌の検出や除菌、便検査による発症リスク評価など、胃がんにおけるピロリ菌のような対象として、新規予防法や早期発見法の開発につながっていくことが期待される。
(画像はプレスリリースより)
加えてこの変異シグネチャーは1965年以降に出生した世代で高頻度に認められており、近年世界的に増加している若年発症大腸がんとの関連が強く示唆される結果となった。
研究グループではさらに、腸内細菌叢を網羅的に調べるメタゲノム解析とAI解析により、腸内フローラの特長に基づいて大腸がんを4つのサブタイプに分類できることも明らかにした。
一方で、今回注目したコリバクチン産生大腸菌は便中には存在量が少ないため、便中細菌を調べるメタゲノム解析では検出が難しく、4つのサブタイプを特徴づける代表的な細菌には含まれなかった。
しかし、コリバクチンによる変異シグネチャーをもつ大腸がんは、「サブタイプ3」としたグループに多く認められる傾向があったという。このサブタイプでは、大腸がんとの関連でよく知られている細菌のF. nucleatumが少ないことも分かった。
これはこれまで注目されてきたF. nucleatumを中心とする発がん経路とは異なる、新たな腸内細菌による発がん経路の存在を示唆しているとみられる。
これらの結果から研究グループでは、大腸がんは単一原因で発症する疾患ではなく、コリバクチン産生大腸菌が関与するタイプや、それ以外の腸内細菌や要因が関与するタイプなど、複数の異なる発がん経路がある可能性が高いとした。
今回の研究は、大腸がんが遺伝や生活習慣だけでなく、幼少期からの腸内細菌との長期的相互作用によって形成される可能性を示した重要な知見を含んでいる。
今後はコリバクチン産生大腸菌の検出や除菌、便検査による発症リスク評価など、胃がんにおけるピロリ菌のような対象として、新規予防法や早期発見法の開発につながっていくことが期待される。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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