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雑穀の分泌する硝化抑制物質を同定、新規BNI天然物質の発見で新食品機能性開発にも期待
2026.05.11
立研究開発法人国際農林水産業研究センター(以下、国際農研)は8日、農研機構、東京科学大学、同大学認定ベンチャーのテクモフ株式会社との共同研究により、雑穀シコクビエの根から分泌される、生物的硝化抑制(BNI)物質を世界で初めて同定し、その化学構造を解明することに成功したと発表した。
シコクビエの研究から強い生物的硝化抑制活性を有する物質を同定
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(以下、国際農研)は8日、農研機構、東京科学大学、同大学認定ベンチャーのテクモフ株式会社との共同研究により、雑穀シコクビエの根から分泌される、生物的硝化抑制(BNI)物質を世界で初めて同定し、その化学構造を解明することに成功したと発表した。
この研究成果は、3月9日付で国際科学雑誌「Organic Letters」オンライン版に掲載された。
シコクビエは主要穀物に比べ過酷な環境への耐性が高いほか、栄養価にも優れるため、重要作物に位置づけられる地域も多く、気候変動が進む中での今後はさらに注目度の高まる作物になると見られている。肥料の低投入でも栽培可能な点でも関心は高い。
一方で、農耕地土壌における窒素の硝化抑制は窒素利用効率の向上に寄与するが、シコクビエのBNI物質の実体については、これまで不明なままだった。
研究グループでは、シコクビエを低窒素条件で40日間栽培し、根から分泌される物質を回収、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。すると強いBNI活性を示す2種類の物質を発見することができたという。
栽培試験の結果、この2種の物質は、低窒素条件で根と葉の両方で産生され、穂ができる時期に向けてその量が増加することも判明した。
この研究成果は、3月9日付で国際科学雑誌「Organic Letters」オンライン版に掲載された。
シコクビエは主要穀物に比べ過酷な環境への耐性が高いほか、栄養価にも優れるため、重要作物に位置づけられる地域も多く、気候変動が進む中での今後はさらに注目度の高まる作物になると見られている。肥料の低投入でも栽培可能な点でも関心は高い。
一方で、農耕地土壌における窒素の硝化抑制は窒素利用効率の向上に寄与するが、シコクビエのBNI物質の実体については、これまで不明なままだった。
研究グループでは、シコクビエを低窒素条件で40日間栽培し、根から分泌される物質を回収、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。すると強いBNI活性を示す2種類の物質を発見することができたという。
栽培試験の結果、この2種の物質は、低窒素条件で根と葉の両方で産生され、穂ができる時期に向けてその量が増加することも判明した。
その後、無施肥条件で60日間栽培したシコクビエの根から両物質を十分量単離し、核磁気共鳴装置、高分解能エレクトロスプレーイオン化液体クロマトグラフィー質量分析法、結晶スポンジ法、計算化学シミュレーションを組み合わせて構造解析を行ったところ、いずれも既知の天然物質とは異なる、新規炭素骨格を持ったジテルペノイドであることが明らかになった。
グループではこの2つを、コラカノールA、コラカノールBと命名している。
グループではこの2つを、コラカノールA、コラカノールBと命名している。
機能性食品や創薬研究などへの応用可能性に期待
生理活性試験を実施したところ、コラカノールA、コラカノールBは、どちらも硝化菌による硝化と硝化菌自体の増殖を強く抑制することが判明した。すでに報告されている植物由来のBNI物質と比較しても、とくに高い硝化抑制活性を示すことも確認できたという。
これらから研究グループでは、シコクビエは低窒素投入条件で、コラカノール類を根から分泌しながら生育していることが判明し、自ら土壌中の硝化を抑制することで、限られた窒素を効率良く使おうとする自己調節機能を備えている可能性が高まったとした。
また、コラカノールAとBが葉にも蓄積され、穂を作る時期に増加することから、地下部では硝化抑制物質として、地上部では抗菌・抗虫活性などの防御物質として、多面的に機能している可能性も示唆されたとまとめている。
この新規炭素骨格を持つ天然物質としてのコラカノール類の発見は、肥料に過度に依存することなく、高い生産性・栄養価を生み出す農業を実現するという未来の農業の確立にかかる分野はもちろん、食品機能性や創薬研究など、天然物化学・ライフサイエンス分野全般への応用可能性を有しており、さらなる研究の進展が期待される。
(画像はプレスリリースより)
また、コラカノールAとBが葉にも蓄積され、穂を作る時期に増加することから、地下部では硝化抑制物質として、地上部では抗菌・抗虫活性などの防御物質として、多面的に機能している可能性も示唆されたとまとめている。
この新規炭素骨格を持つ天然物質としてのコラカノール類の発見は、肥料に過度に依存することなく、高い生産性・栄養価を生み出す農業を実現するという未来の農業の確立にかかる分野はもちろん、食品機能性や創薬研究など、天然物化学・ライフサイエンス分野全般への応用可能性を有しており、さらなる研究の進展が期待される。
(画像はプレスリリースより)
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