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過去の代謝ストレスが免疫系に持続的な影響
2026.04.21
京都大学と理化学研究所は14日、京都大学大学院医学研究科がん免疫総合研究センターの但馬正樹講師と、シドニアファガラサン同特定教授兼理化学研究所生命医科学研究センター粘膜免疫研究チームチームディレクターらの研究グループが、過去の代謝ストレスが免疫系に及ぼす持続的影響の解明に成功したと発表した。
高脂肪食による代謝ストレスが免疫系に長期的な影響
京都大学と理化学研究所は14日、京都大学大学院医学研究科がん免疫総合研究センターの但馬正樹講師と、シドニアファガラサン同特定教授兼理化学研究所生命医科学研究センター粘膜免疫研究チームチームディレクターらの研究グループが、過去の代謝ストレスが免疫系に及ぼす持続的影響の解明に成功したと発表した。
この研究成果は、2026年4月13日付で国際学術誌「Nature Immunology」にオンライン掲載されている。
近年のがんや免疫疾患の発症率上昇の背景には、食生活の変化など生活様式の多様化による代謝状態の撹乱(代謝ストレス)が長期間にわたって影響を与えていることがあると考えられている。しかし、代謝ストレスがいつどこでどのように免疫系へと影響を与え、異常を及ぼしているのか、詳細は分かっていなかった。
研究グループでは、まず代謝ストレスにさらされるタイミングや期間の違いが免疫系にどういった影響を与えるかを解析する実験系として、マウスに高脂肪食を6週間給餌したのち、6週間通常食で飼育を継続した給餌切り替え実験群(SD群)を設定した。
また通常食のみを与えたND群、高脂肪食のみを与えたHFD群も設け、それぞれのマウスに腫瘍を摂取してがん免疫応答を比較、代謝ストレスが時間経過とともにどのように免疫系へ持続的影響を及ぼしていくのかを解析した。
とくにがん免疫応答の中枢を担うCD8+T細胞、及び抗腫瘍免疫応答が発動する場のがん所属リンパ節を中心に、マルチオミックス解析を用い、代謝ストレスが残存する分子メカニズムの解明を目指している。
この研究成果は、2026年4月13日付で国際学術誌「Nature Immunology」にオンライン掲載されている。
近年のがんや免疫疾患の発症率上昇の背景には、食生活の変化など生活様式の多様化による代謝状態の撹乱(代謝ストレス)が長期間にわたって影響を与えていることがあると考えられている。しかし、代謝ストレスがいつどこでどのように免疫系へと影響を与え、異常を及ぼしているのか、詳細は分かっていなかった。
研究グループでは、まず代謝ストレスにさらされるタイミングや期間の違いが免疫系にどういった影響を与えるかを解析する実験系として、マウスに高脂肪食を6週間給餌したのち、6週間通常食で飼育を継続した給餌切り替え実験群(SD群)を設定した。
また通常食のみを与えたND群、高脂肪食のみを与えたHFD群も設け、それぞれのマウスに腫瘍を摂取してがん免疫応答を比較、代謝ストレスが時間経過とともにどのように免疫系へ持続的影響を及ぼしていくのかを解析した。
とくにがん免疫応答の中枢を担うCD8+T細胞、及び抗腫瘍免疫応答が発動する場のがん所属リンパ節を中心に、マルチオミックス解析を用い、代謝ストレスが残存する分子メカニズムの解明を目指している。
プリン代謝系がT細胞の細胞死を制御
給餌開始から12週目における各群の体重を比較すると、やはりHFD群が著しく増加しており、ND群とSD群は同様の穏やかな体重増加のみにとどまっていた。
しかし抗腫瘍効果の評価を行うと、SD群でHFD群と同様の非常に速い腫瘍増殖が確認された。これにより、過去の高脂肪食給餌による代謝ストレスが、そのストレスを取り除いた後も免疫系に残存していることが示唆された。
さらにこの代謝ストレスの実体を明らかにすべく、がん所属リンパ節の脂肪酸組成を質量分析イメージングで解析したところ、SD群及びHFD群のマウスで、多価不飽和脂肪酸の集積が認められた。この多価不飽和脂肪酸は酸化されやすく、それが過度に進むとフェロプトーシスと呼ばれる細胞死を誘導することが分かっている。
実際、SD群、HFD群のマウスのCD8+T細胞を解析すると、フェロプトーシスによる細胞死が、ND群のマウスより有意に高く生じていた。
高脂肪食給餌が免疫細胞を構成する脂質の種類を変化させ、その影響が通常食に切り替えても長期間にわたって残存、細胞死をもたらしたと考えられる。
この影響を受けたSD群、HFD群マウスのCD8+T細胞をさらに解析すると、プリン代謝経路の代謝産物であるキサンチンのレベルが、ND群のマウスより有意に低く、さらにキサンチンをもととしてプリンサルベージ経路で産生される抗酸化物質のテトラヒドロビオプテリン(BH4)のレベルも連動して低くなっていることが明らかになった。
そこで、SD群とHFD群のマウスにおいて、キサンチン及びBH4の前駆体であるBH2を補充すると、腫瘍が有意に小さくなった。
これらから、過去の高脂肪食給餌はフェロプトーシス感受性の上昇というかたちでCD8+T細胞に長期間影響を及ぼし続けており、これに対抗する手段としてBH4などの抗酸化物質を過剰に消費、がんに対する免疫応答が低下するという流れが生じていると考えられた。
しかし抗腫瘍効果の評価を行うと、SD群でHFD群と同様の非常に速い腫瘍増殖が確認された。これにより、過去の高脂肪食給餌による代謝ストレスが、そのストレスを取り除いた後も免疫系に残存していることが示唆された。
さらにこの代謝ストレスの実体を明らかにすべく、がん所属リンパ節の脂肪酸組成を質量分析イメージングで解析したところ、SD群及びHFD群のマウスで、多価不飽和脂肪酸の集積が認められた。この多価不飽和脂肪酸は酸化されやすく、それが過度に進むとフェロプトーシスと呼ばれる細胞死を誘導することが分かっている。
実際、SD群、HFD群のマウスのCD8+T細胞を解析すると、フェロプトーシスによる細胞死が、ND群のマウスより有意に高く生じていた。
高脂肪食給餌が免疫細胞を構成する脂質の種類を変化させ、その影響が通常食に切り替えても長期間にわたって残存、細胞死をもたらしたと考えられる。
この影響を受けたSD群、HFD群マウスのCD8+T細胞をさらに解析すると、プリン代謝経路の代謝産物であるキサンチンのレベルが、ND群のマウスより有意に低く、さらにキサンチンをもととしてプリンサルベージ経路で産生される抗酸化物質のテトラヒドロビオプテリン(BH4)のレベルも連動して低くなっていることが明らかになった。
そこで、SD群とHFD群のマウスにおいて、キサンチン及びBH4の前駆体であるBH2を補充すると、腫瘍が有意に小さくなった。
これらから、過去の高脂肪食給餌はフェロプトーシス感受性の上昇というかたちでCD8+T細胞に長期間影響を及ぼし続けており、これに対抗する手段としてBH4などの抗酸化物質を過剰に消費、がんに対する免疫応答が低下するという流れが生じていると考えられた。
研究グループでは、今回、一時的な高脂肪食の摂取であっても、その影響はCD8+T細胞の脂肪酸組成の変化として長期間残り、それを起因としたフェロプトーシス感受性の上昇、及びがんに対する免疫応答の低下が発生することが判明したと成果をまとめた。
今後はこのプリン代謝経路の人為的制御による免疫細胞のフェロプトーシス抑制を目指し、新たながん免疫治療の選択肢を提供するなど、さらなる研究と取り組みを進めていきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
今後はこのプリン代謝経路の人為的制御による免疫細胞のフェロプトーシス抑制を目指し、新たながん免疫治療の選択肢を提供するなど、さらなる研究と取り組みを進めていきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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