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腸内細菌由来のポリアミンが宿主の寿命延伸に効果
2026.09.14
国立大学法人金沢大学(以下、金沢大学)と学校法人近畿大学(以下、近畿大学)は10日、近畿大学生物理工学部食品安全工学科の栗原新准教授、金沢大学医薬保健研究域薬学系/新学術創成研究機構の倉石貴透教授らの研究グループが、腸内細菌の生み出すポリアミンについて、宿主の体内に取り込まれ寿命を延ばす力を有することを確認したと発表した。
近畿大、金沢大らの研究グループが明らかに
国立大学法人金沢大学(以下、金沢大学)と学校法人近畿大学(以下、近畿大学)は10日、近畿大学生物理工学部食品安全工学科の栗原新准教授、金沢大学医薬保健研究域薬学系/新学術創成研究機構の倉石貴透教授らの研究グループが、腸内細菌の生み出すポリアミンについて、宿主の体内に取り込まれ寿命を延ばす力を有することを確認したと発表した。この研究成果は9月10日付で米国微生物学会発行の学術雑誌「mBio」に掲載されている。
ヒトの腸内には多数の腸内細菌が生息し、肥満や糖尿病の発症、免疫機能、脳機能など宿主のさまざまな生理機能に影響を与えている。腸内細菌そのものは、腸のバリア機能によって体内への侵入や全身への移行が強く制限されているものの、腸内細菌のつくる代謝物は腸管から吸収され、全身の組織に作用するものとなる。
そのため腸内細菌がもたらす健康増進効果を理解するには、どの種類の細菌が存在するかだけでなく、細菌が何をつくるかを理解する必要がある。
ポリアミンは、プトレッシン、スペルミジン、スペルミンなどの総称で、細胞の増殖やたんぱく質合成に欠かせない物質。寿命延伸効果や心臓、脳、腸の健康を支える働きを有することが動物実験で報告されてきており、健康に活きるための物質として高い注目を集めている。
動物は体内でポリアミンを生合成できるが、その能力は加齢と共に低下する。この不足したポリアミンを、食事由来あるいは腸内細菌が腸内で作り出すポリアミンによって補充できると研究グループでは考えた。だがこれまでの動物実験では、食事由来のポリアミンと、腸内細菌がつくったポリアミンの効果を切り分けて評価することが困難であったという。
そのため腸内細菌がもたらす健康増進効果を理解するには、どの種類の細菌が存在するかだけでなく、細菌が何をつくるかを理解する必要がある。
ポリアミンは、プトレッシン、スペルミジン、スペルミンなどの総称で、細胞の増殖やたんぱく質合成に欠かせない物質。寿命延伸効果や心臓、脳、腸の健康を支える働きを有することが動物実験で報告されてきており、健康に活きるための物質として高い注目を集めている。
動物は体内でポリアミンを生合成できるが、その能力は加齢と共に低下する。この不足したポリアミンを、食事由来あるいは腸内細菌が腸内で作り出すポリアミンによって補充できると研究グループでは考えた。だがこれまでの動物実験では、食事由来のポリアミンと、腸内細菌がつくったポリアミンの効果を切り分けて評価することが困難であったという。
腸内細菌をもたないハエを用いて比較
研究グループでは今回、寿命が短く、生涯にわたる検証を短期間で行いやすく、かつポリアミンを含まない化学組成の明確な人工餌で飼育できるハエを実験に用いた。ハエは腸内細菌をもたない点でも比較に向いていた。
まずポリアミン産生株と、ポリアミン非産生株を、腸内細菌をもたないハエに定着させ、ポリアミンを含まない人工餌を与えることにより、腸内細菌由来のポリアミンにおける効果を評価できる実験系を構築した。
まずポリアミン産生株と、ポリアミン非産生株を、腸内細菌をもたないハエに定着させ、ポリアミンを含まない人工餌を与えることにより、腸内細菌由来のポリアミンにおける効果を評価できる実験系を構築した。
先に、食事由来のポリアミンのみの影響を、腸内細菌をもたないハエで検証したところ、ポリアミンを摂取した群では、摂取しない群と比べ、平均寿命が約18.2日から21日前後へと有意に延長することが分かった。
続いて腸内細菌由来のポリアミンの効果をみるため、ポリアミン産生株とポリアミン非産生株をそれぞれ定着させたハエに、ポリアミンを含まない人工餌を与え、体内のポリアミン濃度を比較した。すると、ポリアミン産生株を定着させた群では、非産生株の定着群に比べ、体内ポリアミン濃度が上昇しており、腸内細菌由来のポリアミンが宿主の体内に取り込まれることが明らかとなった。
続いて腸内細菌由来のポリアミンの効果をみるため、ポリアミン産生株とポリアミン非産生株をそれぞれ定着させたハエに、ポリアミンを含まない人工餌を与え、体内のポリアミン濃度を比較した。すると、ポリアミン産生株を定着させた群では、非産生株の定着群に比べ、体内ポリアミン濃度が上昇しており、腸内細菌由来のポリアミンが宿主の体内に取り込まれることが明らかとなった。
これらのハエを用い、腸内細菌がつくったポリアミンによる寿命への影響を検証したところ、とくにオスのハエにおいて顕著な差が発生、ポリアミン非産生株の定着群では平均11.0日であったのに対し、産生株定着群は平均13.8日となった。
さらに遺伝子解析の結果、ポリアミンを産生する株が定着することで、免疫・ストレス応答などに関わる遺伝子発現が抑制されることが判明。この遺伝子発現抑制が寿命延長に寄与している可能性が示唆された。
今回の研究は、特定の代謝物の産生能力を遺伝子操作した腸内細菌を用い、その代謝物が宿主の寿命を延伸することを明確に示した点で、世界初の成果になったという。研究グループでは今後、腸内細菌がつくる他の代謝物の効果検証や、寿命延伸のメカニズム解明などに役立つことも期待されるとしている。
一方で、今回の結果はショウジョウバエを用いた基礎研究であり、ヒトの寿命延伸を直接示すものではないことから、今後は哺乳類での再現性、安全性、作用機構を検証し、腸内細菌の代謝機能を制御する食品やプロバイオティクスの開発につなげていきたいともした。
(画像はプレスリリースより)
さらに遺伝子解析の結果、ポリアミンを産生する株が定着することで、免疫・ストレス応答などに関わる遺伝子発現が抑制されることが判明。この遺伝子発現抑制が寿命延長に寄与している可能性が示唆された。
今回の研究は、特定の代謝物の産生能力を遺伝子操作した腸内細菌を用い、その代謝物が宿主の寿命を延伸することを明確に示した点で、世界初の成果になったという。研究グループでは今後、腸内細菌がつくる他の代謝物の効果検証や、寿命延伸のメカニズム解明などに役立つことも期待されるとしている。
一方で、今回の結果はショウジョウバエを用いた基礎研究であり、ヒトの寿命延伸を直接示すものではないことから、今後は哺乳類での再現性、安全性、作用機構を検証し、腸内細菌の代謝機能を制御する食品やプロバイオティクスの開発につなげていきたいともした。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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