高齢者専門大学病院における実態調査で判明
学校法人順天堂は24日、順天堂大学の浅岡大介教授らのグループが、高齢者専門大学病院における多職種の高齢者フレイル実態調査を国内で初実施したことを発表した。
その結果、フレイルの有病率は16.6%で、一般地域住民を対象とした過去研究で算出された7.4%より高くなっていることが分かった。また高齢者フレイル患者は胃もたれ症状にしばしば悩んでいることも明らかにされ、これらの研究成果をまとめた論文は「Diagnostics」誌オンライン版に2024年12月25日付で掲載されている。
フレイルは、加齢により心身が老い衰えた状態を指し、寝たきりや要介護にもつながる要因として、健康長寿を妨げる注目の要素となっている。
日本におけるフレイルの疫学では、高齢者における実態として不明な点が多く、多職種による多岐の観点から検証されたフレイル調査はきわめて少ない。そこで今回、高齢者専門大学病院を舞台とし、フレイルの最新診断基準(改訂J-CHS基準)を用いた有病率調査とフレイルのリスク因子横断研究を実施することにしたという。
研究は、高齢者専門大学病院のセンター内科外来を受診した65歳以上の高齢者で、自立歩行可能(杖歩行含む)な男性460人、女性579人の合計1,039人を対象に実施された。平均年齢は78.2の前後6.1歳、平均BMIは22.9の前後3.7となっている。
多職種によるフレイル実態調査の大規模前向きコホート研究(JUSTICE研究)の登録時データを用いた横断研究として行われており、医師による問診データ、薬剤師による服薬などの情報、看護師による質問票・問診票データ、心理士による認知機能関連問診データやうつ病評価、管理栄養士による栄養評価データ、診療放射線技師による骨格筋量及び骨密度測定情報、臨床検査技師による生理機能検査結果のデータなどが対象に含まれた。
その結果、フレイルの有病率は16.6%で、一般地域住民を対象とした過去研究で算出された7.4%より高くなっていることが分かった。また高齢者フレイル患者は胃もたれ症状にしばしば悩んでいることも明らかにされ、これらの研究成果をまとめた論文は「Diagnostics」誌オンライン版に2024年12月25日付で掲載されている。
フレイルは、加齢により心身が老い衰えた状態を指し、寝たきりや要介護にもつながる要因として、健康長寿を妨げる注目の要素となっている。
日本におけるフレイルの疫学では、高齢者における実態として不明な点が多く、多職種による多岐の観点から検証されたフレイル調査はきわめて少ない。そこで今回、高齢者専門大学病院を舞台とし、フレイルの最新診断基準(改訂J-CHS基準)を用いた有病率調査とフレイルのリスク因子横断研究を実施することにしたという。
研究は、高齢者専門大学病院のセンター内科外来を受診した65歳以上の高齢者で、自立歩行可能(杖歩行含む)な男性460人、女性579人の合計1,039人を対象に実施された。平均年齢は78.2の前後6.1歳、平均BMIは22.9の前後3.7となっている。
多職種によるフレイル実態調査の大規模前向きコホート研究(JUSTICE研究)の登録時データを用いた横断研究として行われており、医師による問診データ、薬剤師による服薬などの情報、看護師による質問票・問診票データ、心理士による認知機能関連問診データやうつ病評価、管理栄養士による栄養評価データ、診療放射線技師による骨格筋量及び骨密度測定情報、臨床検査技師による生理機能検査結果のデータなどが対象に含まれた。
有病率は16.6%・172例
2020年に改訂された最新診断基準である、改訂日本版CHS(J-CHS)基準により、フレイル診断を実施し、3項目以上に該当する場合をフレイルとしたところ、高齢者フレイルの有病率は全体の16.6%、172例に認められた。
リスク因子を検討するため、多職種からの情報を単変量解析したところ、医師問診の患者背景では、フレイル患者は非フレイル患者より平均的に高齢であったものの、性別やBMI指数、Brinkman Index、飲酒といった項目では有意な差がないとされた。
医師・診療放射線技師による併存疾患調査では、フレイル患者の場合、非フレイル患者より脳梗塞/脳出血、心筋梗塞、間質性肺炎、糖尿病、骨粗鬆症、サルコペニア、低亜鉛血症の症例が有意に多い結果となった。
また、薬剤師による内服薬調査データでは、フレイル患者の場合、下剤、ステロイド、鎮痛薬、抗精神病薬内服、総薬剤数が、非フレイル患者より有意に多いと判明したが、スタチン内服例は反対に少ないことが分かった。
看護師・心理士による質問票と問診によるスコアデータからは、フレイル患者の場合、逆流・胃痛・胃もたれ・便秘・下痢の全消化器症状スコアと便秘重症度がいずれも非フレイル患者より高値で、転倒/デイケア利用歴、社会的フレイル/オーラルフレイル、うつ(GDS)、嚥下機能(EAT10)、COPD(CAT10)も高値となり、機能低下傾向が認められた。
また、フレイル患者では非フレイル患者よりQOLが低いこと、認知機能(MMSE)が低値であったことも報告されている。
また、フレイル患者では非フレイル患者よりQOLが低いこと、認知機能(MMSE)が低値であったことも報告されている。
管理栄養士による栄養評価では、フレイル患者の場合、栄養状態が悪くなると数値が上がっていくCONUT scoreが非フレイル患者より有意に高く、食品多様性を示すDVSはやや低い傾向にあった。
臨床検査技師などによる生理機能調査では、フレイル患者は非フレイル患者と比べ、高速性換気障害が有意に多く、また位相角(PhA)が高値であるという結果が出た。
臨床検査技師などによる生理機能調査では、フレイル患者は非フレイル患者と比べ、高速性換気障害が有意に多く、また位相角(PhA)が高値であるという結果が出た。
胃もたれ症状などに対応しながらトータルマネジメントで健康寿命延伸へ
高齢者フレイルのリスク因子に関し、多重ロジスティック解析を実施したところ、フレイルと消化器症状関連のQOLとの関係で、とくに胃もたれ症状に悩む高齢者フレイル患者が多いことが判明した。
また、フレイル患者では、非フレイル患者に比べ、年齢や転倒歴、ステロイド/鎮痛薬使用、サルコペニアの併発、うつ症状、嚥下機能、COPDスコアが高く、QOLや認知機能は低い結果であると分かった。
順天堂大学と研究チームでは、今回の結果を受け、高齢者の健康寿命延伸をさらに支援すべく、フレイル、サルコペニア、認知症、骨粗鬆症などに対する予防・介入を含めた臨床研究を精力的に進めていきたいとした。
食関連では、胃もたれ症状や嚥下機能への配慮も行いながら、栄養バランスを整え、多様な食品を摂取し続けられるようにすることも、有益と考えられる。
(画像はプレスリリースより)
また、フレイル患者では、非フレイル患者に比べ、年齢や転倒歴、ステロイド/鎮痛薬使用、サルコペニアの併発、うつ症状、嚥下機能、COPDスコアが高く、QOLや認知機能は低い結果であると分かった。
順天堂大学と研究チームでは、今回の結果を受け、高齢者の健康寿命延伸をさらに支援すべく、フレイル、サルコペニア、認知症、骨粗鬆症などに対する予防・介入を含めた臨床研究を精力的に進めていきたいとした。
食関連では、胃もたれ症状や嚥下機能への配慮も行いながら、栄養バランスを整え、多様な食品を摂取し続けられるようにすることも、有益と考えられる。
(画像はプレスリリースより)