業界ニュース
シソの成分研究から乳癌治療の新標的発見
2026.05.11
京都府立医科大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、関西医科大学は5月1日、共同研究グループが、シソの成分研究から乳癌治療の新たな標的を発見したことを発表した。
ホルモン療法が効かなくなった乳癌に対する新しい治療候補薬へ
京都府立医科大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、関西医科大学は5月1日、共同研究グループが、シソの成分研究から乳癌治療の新たな標的を発見したことを発表した。食卓でなじみ深いシソが持つ抗癌作用の研究からスタートした取り組みとして注目されている。
京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学渡邉元樹講師、同内分泌・乳腺外科学井口絵理佳後期専攻医、産総研の亀田倫史上級研究員、同小林海渡研究員、関西医科大学附属病院臨床腫瘍科朴将源診療講師らの研究グループは、シソの成分の一つであるペリリルアルコール(POH)に着目、ミトコンドリア内に存在するたんぱく質ANT2に結合することを見出し、このANT2がホルモン療法に抵抗性を有する乳癌の新たな治療標的になり得ることを明らかにした。
この研究成果は4月21日付で、「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されている。
乳癌は女性に最も多い癌の一つであり、その約7割はエストロゲン受容体陽性で、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンに依存して増殖する。しかし、ホルモン療法は初期には高い効果を示すものの、一部の患者においては治療経過中にホルモン療法が効かなくなり、再発や治療困難な状態に陥るケースが大きな問題となっている。
京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学渡邉元樹講師、同内分泌・乳腺外科学井口絵理佳後期専攻医、産総研の亀田倫史上級研究員、同小林海渡研究員、関西医科大学附属病院臨床腫瘍科朴将源診療講師らの研究グループは、シソの成分の一つであるペリリルアルコール(POH)に着目、ミトコンドリア内に存在するたんぱく質ANT2に結合することを見出し、このANT2がホルモン療法に抵抗性を有する乳癌の新たな治療標的になり得ることを明らかにした。
この研究成果は4月21日付で、「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されている。
乳癌は女性に最も多い癌の一つであり、その約7割はエストロゲン受容体陽性で、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンに依存して増殖する。しかし、ホルモン療法は初期には高い効果を示すものの、一部の患者においては治療経過中にホルモン療法が効かなくなり、再発や治療困難な状態に陥るケースが大きな問題となっている。
食品成分の抗癌作用機序の解明から癌創薬開発へ
研究グループは、まずシソ由来天然成分のPOHがエストロゲン受容体陽性乳癌やホルモン療法抵抗性乳癌の細胞増殖を顕著に抑制することを確認した。
続いてPOHに結合するたんぱく質を網羅的に探索し、ナノ磁性ビーズを用いたケモプロテオミクス解析によって、POHがミトコンドリア内膜に存在し、細胞内のATPとADPの交換輸送を司るたんぱく質のANT2に直接結合することを発見した。
また、データベース解析によって、このANT2の発現量が高いほど、エストロゲン受容体陽性乳癌の予後が悪いことも分かった。
続いて乳癌細胞におけるANT2の働きについて解析を進め、RNA干渉法によってANT2の発現を抑制すると、乳癌の増殖に重要なERαたんぱく質の量が減少することが判明した。
さらにRNAシーケンス解析の結果、ホルモン療法抵抗性乳癌では、脂肪酸伸長に関わる遺伝子発現が上昇し、ANT2がこの脂質代謝異常にも関わっていることが明らかになった。
その後、既存医薬品約4,500種類に対し、スーパーコンピュータを用いたバーチャルスクリーニングにより、ANT2に結合する物質をスクリーニングしたところ、すでに白血病治療薬として用いられているベネトクラクスや抗真菌薬のナイスタチンがANT2に結合する可能性が示された。
これらの化合物は、実際に乳癌細胞において、ERαの発現低下や脂質の代謝変化を誘導し、ホルモン療法が効かなくなった乳癌の癌細胞増殖を顕著に抑制すると確認されている。
研究グループでは、今回の成果について、シソという身近な食品に由来する成分から乳癌の臨床における重要課題に解決策をもたらす新しい治療法開発を見出すまでを分野横断的に示した点で、基礎研究から臨床応用への展開を加速する重要な一歩になったとした。
今回の研究で同定された、新規治療標的としてのANT2は、癌細胞内のエネルギー代謝を調節することでエストロゲン受容体たんぱく質の発現量や脂質代謝を制御している可能性が示され、ANT2を標的とすることで、これまでのホルモン療法とは全く異なる新たな作用機序での治療法開発や、ホルモン療法が効かなくなった患者への新たな治療選択肢提供の実現の可能性を示すものとなった。
すでに臨床で用いられている医薬品がANT2標的薬として作用する可能性まで見出されており、迅速な臨床応用への展開にもつながると期待される。
(画像はプレスリリースより)
続いてPOHに結合するたんぱく質を網羅的に探索し、ナノ磁性ビーズを用いたケモプロテオミクス解析によって、POHがミトコンドリア内膜に存在し、細胞内のATPとADPの交換輸送を司るたんぱく質のANT2に直接結合することを発見した。
また、データベース解析によって、このANT2の発現量が高いほど、エストロゲン受容体陽性乳癌の予後が悪いことも分かった。
続いて乳癌細胞におけるANT2の働きについて解析を進め、RNA干渉法によってANT2の発現を抑制すると、乳癌の増殖に重要なERαたんぱく質の量が減少することが判明した。
さらにRNAシーケンス解析の結果、ホルモン療法抵抗性乳癌では、脂肪酸伸長に関わる遺伝子発現が上昇し、ANT2がこの脂質代謝異常にも関わっていることが明らかになった。
その後、既存医薬品約4,500種類に対し、スーパーコンピュータを用いたバーチャルスクリーニングにより、ANT2に結合する物質をスクリーニングしたところ、すでに白血病治療薬として用いられているベネトクラクスや抗真菌薬のナイスタチンがANT2に結合する可能性が示された。
これらの化合物は、実際に乳癌細胞において、ERαの発現低下や脂質の代謝変化を誘導し、ホルモン療法が効かなくなった乳癌の癌細胞増殖を顕著に抑制すると確認されている。
研究グループでは、今回の成果について、シソという身近な食品に由来する成分から乳癌の臨床における重要課題に解決策をもたらす新しい治療法開発を見出すまでを分野横断的に示した点で、基礎研究から臨床応用への展開を加速する重要な一歩になったとした。
今回の研究で同定された、新規治療標的としてのANT2は、癌細胞内のエネルギー代謝を調節することでエストロゲン受容体たんぱく質の発現量や脂質代謝を制御している可能性が示され、ANT2を標的とすることで、これまでのホルモン療法とは全く異なる新たな作用機序での治療法開発や、ホルモン療法が効かなくなった患者への新たな治療選択肢提供の実現の可能性を示すものとなった。
すでに臨床で用いられている医薬品がANT2標的薬として作用する可能性まで見出されており、迅速な臨床応用への展開にもつながると期待される。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
この記事をシェアする
