長年のタマネギ研究の成果「スマイルボール」で受賞
ハウス食品グループ本社株式会社(以下、ハウス食品)は7日、公益社団法人日本農芸化学会2025年度札幌大会において、「涙のでないタマネギ『スマイルボール』とその関連技術の開発」で農芸化学技術賞を獲得したことを発表した。
注目すべき実用的価値をもった技術的業績をあげたと認められる正会員または賛助会員に与えられる賞で、同社がカレー作りに欠かせない食材でもあるタマネギについて、約30年以上研究を重ねてきた成果が実ったものとなっている。
注目すべき実用的価値をもった技術的業績をあげたと認められる正会員または賛助会員に与えられる賞で、同社がカレー作りに欠かせない食材でもあるタマネギについて、約30年以上研究を重ねてきた成果が実ったものとなっている。

ハウス食品では、レトルトカレーの製造現場で、ごくまれにタマネギとニンニクを焙煎した際に緑色に変色する現象に着目、製造ロスにもつながる現象であるため、その機序解明と解決に向けた研究を1990年代に始めたという。
この研究過程で、タマネギを切ったときに目にしみる催涙成分生成の鍵となる酵素として、催涙成分合成酵素のLachrymatory Factor Synthase(LFS)を発見、催涙成分の生成の仕組みが明らかになったことを活かし、以後は涙の出ない、また辛みのないタマネギの開発や、保存性の高い催涙キットの開発、辛み成分の生成に関わる酵素としてのLFSの働きを抑えた際に生じる新規機能性成分の発見といった多方面へと研究を展開させてきていた。
調理しても涙が出ず、辛みのないタマネギは、新たな野菜として「スマイルボール」と名づけ、2015年から販売も開始している。
催涙成分は、生タマネギのひりひりとした特有の辛みを生む成分でもあり、これを除いた「スマイルボール」は、切っても涙が出ないほか、辛みがないため水にさらすことなく生食することができる。
この特色は、調理時の手間を軽減することに加え、水さらしによる成分流出が抑えられるため、タマネギ本来の甘さや栄養をまるごと摂取できることにもつながる。厚切りタマネギをそのまま生食したり、ジュースにして飲んだりといった、これまでのタマネギではできなかった喫食スタイルも叶えられる。
こうしたタマネギにかかる一連の基礎研究、そこで得た知見から「スマイルボール」を開発して新たな食の楽しみと可能性を拓いたことが評価され、今回の農芸化学技術賞受賞となった。
この研究過程で、タマネギを切ったときに目にしみる催涙成分生成の鍵となる酵素として、催涙成分合成酵素のLachrymatory Factor Synthase(LFS)を発見、催涙成分の生成の仕組みが明らかになったことを活かし、以後は涙の出ない、また辛みのないタマネギの開発や、保存性の高い催涙キットの開発、辛み成分の生成に関わる酵素としてのLFSの働きを抑えた際に生じる新規機能性成分の発見といった多方面へと研究を展開させてきていた。
調理しても涙が出ず、辛みのないタマネギは、新たな野菜として「スマイルボール」と名づけ、2015年から販売も開始している。
催涙成分は、生タマネギのひりひりとした特有の辛みを生む成分でもあり、これを除いた「スマイルボール」は、切っても涙が出ないほか、辛みがないため水にさらすことなく生食することができる。
この特色は、調理時の手間を軽減することに加え、水さらしによる成分流出が抑えられるため、タマネギ本来の甘さや栄養をまるごと摂取できることにもつながる。厚切りタマネギをそのまま生食したり、ジュースにして飲んだりといった、これまでのタマネギではできなかった喫食スタイルも叶えられる。
こうしたタマネギにかかる一連の基礎研究、そこで得た知見から「スマイルボール」を開発して新たな食の楽しみと可能性を拓いたことが評価され、今回の農芸化学技術賞受賞となった。

イグ・ノーベル化学賞を受賞した過去も
1990年代に開始したタマネギ研究では、2002年に催涙成分を作り出す新規酵素のLFSを発見、アリイナーゼに続いてLFSが働くことで催涙成分が生成されることを反応経路として明らかにした。この成果は「Nature」に掲載されている。

これをもとに生成反応経路をたどらない品種のタマネギの開発に着手、重イオンビームを用いた突然変異育種による品種作出を進めたとされる。
2012年には、後の「スマイルボール」となるタマネギの作成に成功、翌2013年には、このタマネギ研究でイグ・ノーベル化学賞を受賞した。
2015年に「スマイルボール」と命名して販売も開始、2021年にはLFSの抑制によってタマネギ中で増加する新たな機能性成分の発見にも成功している。
2022年からは保存性の高い催涙キットを開発、涙液成分と健康の関係を解析する産学連携研究の弘前COIにおいて、活用されてきた。
2012年には、後の「スマイルボール」となるタマネギの作成に成功、翌2013年には、このタマネギ研究でイグ・ノーベル化学賞を受賞した。
2015年に「スマイルボール」と命名して販売も開始、2021年にはLFSの抑制によってタマネギ中で増加する新たな機能性成分の発見にも成功している。
2022年からは保存性の高い催涙キットを開発、涙液成分と健康の関係を解析する産学連携研究の弘前COIにおいて、活用されてきた。

一般のタマネギは、リンゴや梨に近い10~11度の糖度を持っているが、辛み成分が甘みを隠し、それを感じにくくしているとされる。
「スマイルボール」は、辛み成分の発生に関わる酵素が非常に少なく、辛みをほぼ感じないため、タマネギの持つこの甘みをそのままに実感できる。
水にさらす必要もなく、調理の手間を省きながら栄養成分の流出を抑え、無駄なく摂取できることも魅力だ。切る際に目にしみず、においも手につきづらいため、その点でも大量調理の現場を含め、広く調理ハードルが下がるという。
季節に関係なく、サラダでタマネギの栄養を丸ごと手軽に摂るといったこともしやすく、水さらしなしで手軽な一品を作れる「スマイルボール」は、タマネギの可能性を大いに広げるものといえるだろう。
ハウス食品では、今後も食卓価値を示す野菜を届け、人々の食をより楽しく豊かにする研究開発を推進していくとした。
(画像はプレスリリースより)
「スマイルボール」は、辛み成分の発生に関わる酵素が非常に少なく、辛みをほぼ感じないため、タマネギの持つこの甘みをそのままに実感できる。
水にさらす必要もなく、調理の手間を省きながら栄養成分の流出を抑え、無駄なく摂取できることも魅力だ。切る際に目にしみず、においも手につきづらいため、その点でも大量調理の現場を含め、広く調理ハードルが下がるという。
季節に関係なく、サラダでタマネギの栄養を丸ごと手軽に摂るといったこともしやすく、水さらしなしで手軽な一品を作れる「スマイルボール」は、タマネギの可能性を大いに広げるものといえるだろう。
ハウス食品では、今後も食卓価値を示す野菜を届け、人々の食をより楽しく豊かにする研究開発を推進していくとした。
(画像はプレスリリースより)