マウスの寿命延伸を確認
国立大学法人千葉大学は18日、同大学大学院医学研究院の田中知明教授、埼玉医科大学医学部池田和博准教授、東京都健康長寿医療センター研究所井上聡研究部長らの研究グループが、細胞内でエネルギーを産生するミトコンドリアの働きを高めるたんぱく質を増やすと、マウスの寿命が6.6%延びることを世界で初めて明らかにしたと発表した。
どうすれば健康に長生きできるかを理解するために役立つ発見となる可能性があり、その内容が注目を集めている。なおこの研究成果は2025年11月18日、国際科学誌のAging Cellでオンライン公開された。
老化は組織機能の低下や生活習慣病の発症リスクを増大させる。このプロセスの中心にあるのは、エネルギー産生を担うミトコンドリアの機能低下だ。
昨今、ミトコンドリア内で複数の呼吸鎖複合体が「超複合体(supercomplex)」を形成することで、エネルギーを生み出す反応がより効率的に進み、活性酸素が減少、エネルギー代謝の安定化につながることが示唆されるようになっている。
しかし、このミトコンドリア超複合体の増強が生物の寿命に影響するかまでは明確になっていなかった。
どうすれば健康に長生きできるかを理解するために役立つ発見となる可能性があり、その内容が注目を集めている。なおこの研究成果は2025年11月18日、国際科学誌のAging Cellでオンライン公開された。
老化は組織機能の低下や生活習慣病の発症リスクを増大させる。このプロセスの中心にあるのは、エネルギー産生を担うミトコンドリアの機能低下だ。
昨今、ミトコンドリア内で複数の呼吸鎖複合体が「超複合体(supercomplex)」を形成することで、エネルギーを生み出す反応がより効率的に進み、活性酸素が減少、エネルギー代謝の安定化につながることが示唆されるようになっている。
しかし、このミトコンドリア超複合体の増強が生物の寿命に影響するかまでは明確になっていなかった。
糖尿病や高脂血症予防にも
研究グループでは、超複合体の形成を促進するたんぱく質であるCOX7RPに着目し、その過剰発現がマウスの寿命や加齢性変化にどのような影響を与えるか解析を行った。
まず、通常の野生型マウスと全身でCOX7RPのたんぱく質量を増やしたマウスを比較すると、増やしたマウスの方で寿命が6.6%長くなることが判明した。
続いて、シングルセル(一細胞)RNA-seqと呼ばれる先端技術などを駆使し、COX7RPの発現量を増やした時、全身の臓器でどのような違いが生じるのかを調べた。
続いて、シングルセル(一細胞)RNA-seqと呼ばれる先端技術などを駆使し、COX7RPの発現量を増やした時、全身の臓器でどのような違いが生じるのかを調べた。
すると、白色脂肪や筋肉で酸素がより多く消費され、ATPやNAD+といったエネルギー物質が多く作られていることが分かり、ミトコンドリアがよく働き、積極的にエネルギーを作り出している状態になっていると考えられた。
一方で、白色脂肪や筋肉ではSASPと呼ばれる老化に関わる物質が減少し、老化の原因とされる活性酸素も減少していた。
さらに、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、肝臓などの臓器で効きやすい状態になっていることも明らかになった。インスリンが効きやすくなれば、糖尿病や高脂血症の発症も予防されることとなる。実際にCOX7RPの発現量を高めたマウスでは、血糖値やコレステロールの低下が確認されたという。
研究グループでは、今回の成果から、ミトコンドリア超複合体を増やすことが、寿命延伸への新たな戦略となり得ることが分かったとし、今後はCOX7RP活性化薬の探索をはじめ、老化関連疾患である糖尿病やサルコペニア、認知症への応用、生命科学・抗加齢医療における新規介入法開発などへの展開が期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)
一方で、白色脂肪や筋肉ではSASPと呼ばれる老化に関わる物質が減少し、老化の原因とされる活性酸素も減少していた。
さらに、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、肝臓などの臓器で効きやすい状態になっていることも明らかになった。インスリンが効きやすくなれば、糖尿病や高脂血症の発症も予防されることとなる。実際にCOX7RPの発現量を高めたマウスでは、血糖値やコレステロールの低下が確認されたという。
研究グループでは、今回の成果から、ミトコンドリア超複合体を増やすことが、寿命延伸への新たな戦略となり得ることが分かったとし、今後はCOX7RP活性化薬の探索をはじめ、老化関連疾患である糖尿病やサルコペニア、認知症への応用、生命科学・抗加齢医療における新規介入法開発などへの展開が期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)
