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同じ乳酸菌でも生存状態で働き方に違い
2026.04.24
国立大学法人東北大学、株式会社島津製作所、株式会社伊藤園は20日、3者の共同研究チームが乳酸菌Lactiplantibacillus plantarumに着目し、生菌と加熱処理を行った不活化菌で、小腸上皮細胞への影響に違いがあることを明らかにしたと発表した。
東北大学らが研究で明らかに
国立大学法人東北大学、株式会社島津製作所、株式会社伊藤園は20日、3者の共同研究チームが乳酸菌Lactiplantibacillus plantarumに着目し、生菌と加熱処理を行った不活化菌で、小腸上皮細胞への影響に違いがあることを明らかにしたと発表した。この研究成果は、2026年3月31日付で、科学誌「iScience」にオンライン掲載されている。
腸内細菌は身体の免疫や代謝調節の上で重要な役割を担っており、その中でも乳酸菌などのプロバイオティクスは健康維持に大きく役立つことが知られている。こうした健康に有益な生きた微生物は「プロバイオティクス」と呼ばれ注目されているほか、昨今では不活化した微生物やその成分である「ポストバイオティクス」にも関心が寄せられるようになった。
一方でプロバイオティクスの効果は、細菌の生存性に依存し、温度や酸素、胃腸内の環境変化などで働きが弱まることも知られている。ポストバイオティクスの利活用にも注目が集まるが、生菌と不活化菌の影響の違いを直接比較した研究は限られており、よく分かっていないことも多い。
これには腸内細菌と小腸上皮細胞を同時に培養する実験系が、細菌の過剰増殖や酸素条件の違いなどの技術的課題により、制約されてきたことが背景にある。
共同研究チームはこうした課題に対し、マイクロ流体共培養デバイスを用い、生きた乳酸菌と小腸上皮細胞を同時に培養できる実験系を新たに構築、これにより生菌と不活化菌の違いが小腸上皮細胞に与える影響を直接比較できるようにした。
腸内細菌は身体の免疫や代謝調節の上で重要な役割を担っており、その中でも乳酸菌などのプロバイオティクスは健康維持に大きく役立つことが知られている。こうした健康に有益な生きた微生物は「プロバイオティクス」と呼ばれ注目されているほか、昨今では不活化した微生物やその成分である「ポストバイオティクス」にも関心が寄せられるようになった。
一方でプロバイオティクスの効果は、細菌の生存性に依存し、温度や酸素、胃腸内の環境変化などで働きが弱まることも知られている。ポストバイオティクスの利活用にも注目が集まるが、生菌と不活化菌の影響の違いを直接比較した研究は限られており、よく分かっていないことも多い。
これには腸内細菌と小腸上皮細胞を同時に培養する実験系が、細菌の過剰増殖や酸素条件の違いなどの技術的課題により、制約されてきたことが背景にある。
共同研究チームはこうした課題に対し、マイクロ流体共培養デバイスを用い、生きた乳酸菌と小腸上皮細胞を同時に培養できる実験系を新たに構築、これにより生菌と不活化菌の違いが小腸上皮細胞に与える影響を直接比較できるようにした。
生菌と不活化菌を賢く使い分ける時代へ
研究では、L. platarum JCM 1149T株の生菌と、加熱処理した不活化菌を用い、ブタ小腸上皮細胞の反応性を網羅的に解析した。電子顕微鏡による細胞構造の観察と、RNAシークエンシング解析による遺伝子発現解析を行うとともに、細菌側に関しても電子顕微鏡観察、遺伝子発現解析、メタボロミクス及びリピドミクス解析を実施し、関与物質の探索に当たっている。
RNAシークエンシング解析の結果では、条件ごとに細胞内遺伝子発現が大きく異なることが判明した。生菌との共培養では、乳酸菌による酸素消費に伴い、低酸素応答や解糖系などの代謝関連遺伝子の発現が増強していた。
一方、不活化菌との共培養では、NF-κB経路など免疫関連遺伝子の発現が増強した。また加熱処理により乳酸菌の表面構造が大きく変化することも確認され、この変化が免疫応答の誘導に関与している可能性が考えられた。
細菌のRNAシークエンシング解析の結果では、細胞との共培養により脂質合成に関係する遺伝子の発現が増強し、リピドミクス解析によって脂質メディエーターが、核内受容体型転写因子PPARγを介して、細胞の代謝変化に関与している可能性が示唆された。
RNAシークエンシング解析の結果では、条件ごとに細胞内遺伝子発現が大きく異なることが判明した。生菌との共培養では、乳酸菌による酸素消費に伴い、低酸素応答や解糖系などの代謝関連遺伝子の発現が増強していた。
一方、不活化菌との共培養では、NF-κB経路など免疫関連遺伝子の発現が増強した。また加熱処理により乳酸菌の表面構造が大きく変化することも確認され、この変化が免疫応答の誘導に関与している可能性が考えられた。
細菌のRNAシークエンシング解析の結果では、細胞との共培養により脂質合成に関係する遺伝子の発現が増強し、リピドミクス解析によって脂質メディエーターが、核内受容体型転写因子PPARγを介して、細胞の代謝変化に関与している可能性が示唆された。
これらから共同研究チームでは、同じ乳酸菌株であっても、生菌は低酸素環境の形成や脂質メディエーターの産生を通じて細胞の代謝を変化させる一方、不活化菌は表面構造の変化を通じて免疫応答を活性化することが明らかになったとした。
この結果からは、乳酸菌は目的に応じ、生菌(プロバイオティクス)と、不活化菌(ポストバイオティクス)を使い分ける機能設計を進めていくことが賢い選択である可能性が出てきたといえる。
共同研究チームは今後、乳酸菌の状態による作用の違いをさらに詳しく解明し、代謝改善や免疫機能調節などの目的に応じた食品や機能性素材への活用を検討していきたいとしたほか、今回の研究で用いた共培養デバイスを微生物と生体細胞の相互作用を解析する新研究プラットフォームとして、プロバイオティクス研究や食品機能研究へ大いに活用を促していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
この結果からは、乳酸菌は目的に応じ、生菌(プロバイオティクス)と、不活化菌(ポストバイオティクス)を使い分ける機能設計を進めていくことが賢い選択である可能性が出てきたといえる。
共同研究チームは今後、乳酸菌の状態による作用の違いをさらに詳しく解明し、代謝改善や免疫機能調節などの目的に応じた食品や機能性素材への活用を検討していきたいとしたほか、今回の研究で用いた共培養デバイスを微生物と生体細胞の相互作用を解析する新研究プラットフォームとして、プロバイオティクス研究や食品機能研究へ大いに活用を促していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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