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自閉スペクトラム症に関連する銅濃度低下が社会性行動等に及ぶ仕組みの解明に成功
2026.04.09
熊本大学は6日、同大学生命科学研究部神経精神医学講座の牧之段学教授、新潟大学大学院医歯保健学研究科発達神経科学分野の臼井紀好教授、土井美幸助教、大阪大学大学院医学系研究科神経細胞生物学教室の島田昌一教授、同連合小児発達学研究科分子生物遺伝学研究領域の片山泰一教授、福井大学子どものこころの発達研究センター脳機能発達研究部門の松﨑秀夫教授らの研究グループが、自閉スペクトラム症(ASD)患者における血漿銅濃度の低下と症状指標との関連を見出し、白質形成と社会性行動に及ぼす仕組みの解明に成功したと発表した。
熊本大学らの研究チームが発見
熊本大学は6日、同大学生命科学研究部神経精神医学講座の牧之段学教授、新潟大学大学院医歯保健学研究科発達神経科学分野の臼井紀好教授、土井美幸助教、大阪大学大学院医学系研究科神経細胞生物学教室の島田昌一教授、同連合小児発達学研究科分子生物遺伝学研究領域の片山泰一教授、福井大学子どものこころの発達研究センター脳機能発達研究部門の松﨑秀夫教授らの研究グループが、自閉スペクトラム症(ASD)患者における血漿銅濃度の低下と症状指標との関連を見出し、白質形成と社会性行動に及ぼす仕組みの解明に成功したと発表した。
この研究成果は4月2日付で、国際科学誌「Science Advances」に掲載予定となっている。
自閉スペクトラム症は、社会的コミュニケーションの特性や行動の偏りに特性が認められる神経発達症だ。その病態形成には神経回路の発達変化が関与すると考えられているが、昨今は神経細胞だけでなく、脳の白質形成を担うグリア細胞の変化にも注目が集まっている。
このグリア細胞の一種で、神経細胞の軸索を髄鞘で包み、神経情報を素早く正確に伝達する上での重要な役割を担う、オリゴデンドロサイトの成熟における変化は、脳機能の発達に大きな影響を及ぼす可能性があるため、研究グループはここに注目した。
また、銅は生体に必須の微量元素で、エネルギー代謝や酸化還元制御、酵素活性の維持などに関与している。近年、自閉スペクトラム症では体内の微量元素バランスの変化が多く報告されているが、銅濃度の変化が症状や脳発達、中でも白質形成にどのような影響を及ぼすのか、その分子・細胞メカニズムは十分に明らかにはなっていなかった。
この研究成果は4月2日付で、国際科学誌「Science Advances」に掲載予定となっている。
自閉スペクトラム症は、社会的コミュニケーションの特性や行動の偏りに特性が認められる神経発達症だ。その病態形成には神経回路の発達変化が関与すると考えられているが、昨今は神経細胞だけでなく、脳の白質形成を担うグリア細胞の変化にも注目が集まっている。
このグリア細胞の一種で、神経細胞の軸索を髄鞘で包み、神経情報を素早く正確に伝達する上での重要な役割を担う、オリゴデンドロサイトの成熟における変化は、脳機能の発達に大きな影響を及ぼす可能性があるため、研究グループはここに注目した。
また、銅は生体に必須の微量元素で、エネルギー代謝や酸化還元制御、酵素活性の維持などに関与している。近年、自閉スペクトラム症では体内の微量元素バランスの変化が多く報告されているが、銅濃度の変化が症状や脳発達、中でも白質形成にどのような影響を及ぼすのか、その分子・細胞メカニズムは十分に明らかにはなっていなかった。
血漿を用いた解析でメカニズムを解明、新たな理解の深まりと今後の介入法開拓に期待
研究グループは、まず自閉スペクトラム症者の血漿を採取し、誘導結合プラズマ質量分析法によるメタローム解析を実施、銅濃度の低下とADOS-2で評価した症状指標との関連を見出した。
そこで、症状との関連が示唆された銅濃度の低下に着目し、マウスモデルによって血中銅濃度の低い状態が脳の白質形成と社会性行動に及ぼす影響を調べた。行動解析、組織学的解析、分子生物学的解析を組み合わせ、銅欠乏下でのオリゴデンドロサイトの成熟状態や白質形成、細胞内シグナルの変化を多面的に検討している。
その結果、銅欠乏により白質形成を担うオリゴデンドロサイトの成熟が低下し、髄鞘形成が低下することが分かった。さらにその背景には、ミトコンドリアの品質管理機構であるマイトファジーの変調と、細胞成長や代謝を制御するmTORシグナルの抑制が関与することも明らかにできた。
また自閉スペクトラム症者のMRI解析からは、白質容量の低下が社会性に関わる症状と関連することが確認された。これらの結果から、微量元素代謝の変化が細胞内代謝制御とグリア細胞成熟を介し、脳機能に影響を及ぼすという経路が見えてきた。
ヒトで見出された銅濃度低下と白質変化の意味を、動物モデルにおける機序解析が支持する成果にもなったとしている。
研究グループでは、今回の研究について、自閉スペクトラム症の病態を微量元素代謝、ミトコンドリア制御、白質形成という複数の階層をつなぐ視点からとらえた点で新たな意義があるものだとした。
今後はヒト検体や臨床データとの統合解析を進め、銅を含む微量元素バランスの変化が自閉スペクトラム症の層別化や病態変化に活用できるかを検証していく必要があるとしている。
さらに白質形成や代謝制御の変化が可逆的であるかを検討することにより、栄養や代謝、細胞内シグナル制御に着目した、新しい介入法の基盤構築につながることも期待された。
血漿中の微量元素プロファイルと画像所見を組み合わせることにより、自閉スペクトラム症の理解を深める手がかりになることも考えられ、多方面での応用に関心が寄せられている。
(画像はPixabayより)
そこで、症状との関連が示唆された銅濃度の低下に着目し、マウスモデルによって血中銅濃度の低い状態が脳の白質形成と社会性行動に及ぼす影響を調べた。行動解析、組織学的解析、分子生物学的解析を組み合わせ、銅欠乏下でのオリゴデンドロサイトの成熟状態や白質形成、細胞内シグナルの変化を多面的に検討している。
その結果、銅欠乏により白質形成を担うオリゴデンドロサイトの成熟が低下し、髄鞘形成が低下することが分かった。さらにその背景には、ミトコンドリアの品質管理機構であるマイトファジーの変調と、細胞成長や代謝を制御するmTORシグナルの抑制が関与することも明らかにできた。
また自閉スペクトラム症者のMRI解析からは、白質容量の低下が社会性に関わる症状と関連することが確認された。これらの結果から、微量元素代謝の変化が細胞内代謝制御とグリア細胞成熟を介し、脳機能に影響を及ぼすという経路が見えてきた。
ヒトで見出された銅濃度低下と白質変化の意味を、動物モデルにおける機序解析が支持する成果にもなったとしている。
研究グループでは、今回の研究について、自閉スペクトラム症の病態を微量元素代謝、ミトコンドリア制御、白質形成という複数の階層をつなぐ視点からとらえた点で新たな意義があるものだとした。
今後はヒト検体や臨床データとの統合解析を進め、銅を含む微量元素バランスの変化が自閉スペクトラム症の層別化や病態変化に活用できるかを検証していく必要があるとしている。
さらに白質形成や代謝制御の変化が可逆的であるかを検討することにより、栄養や代謝、細胞内シグナル制御に着目した、新しい介入法の基盤構築につながることも期待された。
血漿中の微量元素プロファイルと画像所見を組み合わせることにより、自閉スペクトラム症の理解を深める手がかりになることも考えられ、多方面での応用に関心が寄せられている。
(画像はPixabayより)
参考文献・サイト
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