野菜嫌い克服と摂取量アップを目指して
キユーピー株式会社(以下、キユーピー)は26日、国立大学法人東京大学の三坂巧准教授と連携し、人がピーマンを食べた時に感じる苦みのメカニズムについて、その一端を解明することに成功したと発表した。研究成果は2024年3月24日~27日開催の「日本農芸化学会2024年度大会」でも発表されている。
野菜は1日350gの摂取が推奨されるが、日本人の平均野菜摂取量は280gと20%程度足りていない。子どもの成長にも、十分な野菜の摂取は欠かせないが、子どもの味覚は苦味や渋味を本能的に避けるといわれ、野菜独特の苦みや青臭さが野菜嫌いを招く一因になっているとみられている。
とくにピーマンはビタミンC、ビタミンKなど豊富な栄養素を含むが、苦味のある独特の味から、多くの子どもが苦手とする野菜の代表格として知られる。
そこでキユーピーでは、子どもの野菜嫌い克服と国民の野菜摂取量向上を目指し、マヨネーズ中の卵黄がピーマンの苦味を低減する効果などを検証してきた。
今回、さらにその研究を進めるべく、苦味を感じるメカニズムそのものを明らかにすることに挑戦したという。
野菜は1日350gの摂取が推奨されるが、日本人の平均野菜摂取量は280gと20%程度足りていない。子どもの成長にも、十分な野菜の摂取は欠かせないが、子どもの味覚は苦味や渋味を本能的に避けるといわれ、野菜独特の苦みや青臭さが野菜嫌いを招く一因になっているとみられている。
とくにピーマンはビタミンC、ビタミンKなど豊富な栄養素を含むが、苦味のある独特の味から、多くの子どもが苦手とする野菜の代表格として知られる。
そこでキユーピーでは、子どもの野菜嫌い克服と国民の野菜摂取量向上を目指し、マヨネーズ中の卵黄がピーマンの苦味を低減する効果などを検証してきた。
今回、さらにその研究を進めるべく、苦味を感じるメカニズムそのものを明らかにすることに挑戦したという。
ピーマンの苦味「クエルシトリン」はどこで感じる?
人の舌には5つの基本となる味、甘味・うま味・苦味・酸味・塩味のそれぞれに対応する味細胞があり、その表面には味覚受容体がある。味を認識する際には、この味覚受容体が味物質を受け取り、味覚神経を介して情報を脳に伝達するという仕組みが働いている。
甘味やうま味を受け取る受容体はそれぞれ1種類だが、苦味に関しては25種類もの受容体があり、ピーマンの主要な苦味成分である「クエルシトリン」をどの受容体が受け取って苦味として感じる現象が起きているのか、詳しいメカニズムは未解明となっている。
また、人が食べ物から感じられる苦味の強度はごく弱いため、高い感度を持つ測定法でなければ分からないという問題もあるという。
そこで実験チームでは、ヒト苦味受容体を導入した培養細胞の応答強度を評価する技術を用い、クエルシトリンの受容体探索と苦味強度の測定に取り組むこととした。
甘味やうま味を受け取る受容体はそれぞれ1種類だが、苦味に関しては25種類もの受容体があり、ピーマンの主要な苦味成分である「クエルシトリン」をどの受容体が受け取って苦味として感じる現象が起きているのか、詳しいメカニズムは未解明となっている。
また、人が食べ物から感じられる苦味の強度はごく弱いため、高い感度を持つ測定法でなければ分からないという問題もあるという。
そこで実験チームでは、ヒト苦味受容体を導入した培養細胞の応答強度を評価する技術を用い、クエルシトリンの受容体探索と苦味強度の測定に取り組むこととした。
卵黄とセットなら苦味を感じにくい!
まず、25種類の苦味受容体を導入した培養細胞を作製し、それぞれにクエルシトリンを投与、これによって受容体が活性化して生じる細胞内のカルシウムイオン濃度の変化を蛍光指示薬で可視化した。
すると、複数のヒト苦味受容体でクエルシトリンに対する応答が確認されたが、とくに受容体「TAS2R8」の応答感度が高いことが判明した。
すると、複数のヒト苦味受容体でクエルシトリンに対する応答が確認されたが、とくに受容体「TAS2R8」の応答感度が高いことが判明した。
続いて、25種類の苦味受容体とカルシウムイオン結合型発光タンパク質を導入した培養細胞を作り、クエルシトリンを投与、細胞内のカルシウムイオン濃度変化を発光強度の変化量で測定し、応答感度の強さを比較した。
すると、やはり受容体「TAS2R8」で最も強い応答が確認され、「TAS2R38」でも強めの応答がみられたという。また、カルシウムイオン結合型タンパク質の導入により、先の試験に比べ受容体の応答強度が上昇したため、こちらの方法の方が苦味感度の定量法として有益である可能性が示唆された。
すると、やはり受容体「TAS2R8」で最も強い応答が確認され、「TAS2R38」でも強めの応答がみられたという。また、カルシウムイオン結合型タンパク質の導入により、先の試験に比べ受容体の応答強度が上昇したため、こちらの方法の方が苦味感度の定量法として有益である可能性が示唆された。
2つの結果を受け、とくに反応していた受容体「TAS2R8」とカルシウムイオン結合型発光タンパク質の導入を行った培養細胞に、「クエルシトリン」または「クエルシトリンと卵黄タンパク質の混合液」を投与し、比較測定した。
卵黄タンパク質は、卵黄を脱脂、噴霧乾燥したのち、不純物を除去して作製したものを用いている。
卵黄タンパク質は、卵黄を脱脂、噴霧乾燥したのち、不純物を除去して作製したものを用いている。
すると、クエルシトリンのみの投与に比べ、クエルシトリンと卵黄タンパク質の混合液を投与した方では、応答が弱く、苦味の感じ方が低減することが確認された。卵黄タンパク質には、ピーマンの苦味を抑える効果があると考えられ、あわせて摂取すると、食べやすくなる可能性が高い。
(画像はプレスリリースより)
(画像はプレスリリースより)