チロシンが身体の栄養状態を感知して適応
理化学研究所は26日、三大栄養素の1つであるタンパク質の欠乏を細胞が感知し、個体レベルでの栄養不良に適応する全く新たな分子機構を発見したと発表した。
栄養欠乏に応答し生命を維持する基本的な仕組みの解明や、細胞の栄養感知異常や摂食障害による疾患メカニズム、寿命延長につながる栄養シグナル制御などへの応用も期待されている。
研究グループは、ショウジョウバエ幼虫を用い、低タンパク質餌を与えて実験を行い、その応答を確認したところ、アミノ酸欠乏で活性化するGCN2を遺伝学的に欠損した変異体でも、タンパク質制限応答が見られたため、未知の栄養感知機構があると予想、既存経路とは異なるATF4活性制御様式の可能性を考えた。
そこで、全アミノ酸ではなく、どれかを選択的に感知する機構の存在を仮定し、1つずつアミノ酸を餌に加えて実験したところ、チロシンまたはその前駆体のフェニルアラニンで反応が確認されたという。
非必須アミノ酸であるチロシンの体内量を敏感に感知し、栄養状態を把握していると考えられ、チロシンのみが欠乏した餌でも、強い栄養欠乏応答を起こすことも確認されている。
栄養欠乏に応答し生命を維持する基本的な仕組みの解明や、細胞の栄養感知異常や摂食障害による疾患メカニズム、寿命延長につながる栄養シグナル制御などへの応用も期待されている。
研究グループは、ショウジョウバエ幼虫を用い、低タンパク質餌を与えて実験を行い、その応答を確認したところ、アミノ酸欠乏で活性化するGCN2を遺伝学的に欠損した変異体でも、タンパク質制限応答が見られたため、未知の栄養感知機構があると予想、既存経路とは異なるATF4活性制御様式の可能性を考えた。
そこで、全アミノ酸ではなく、どれかを選択的に感知する機構の存在を仮定し、1つずつアミノ酸を餌に加えて実験したところ、チロシンまたはその前駆体のフェニルアラニンで反応が確認されたという。
非必須アミノ酸であるチロシンの体内量を敏感に感知し、栄養状態を把握していると考えられ、チロシンのみが欠乏した餌でも、強い栄養欠乏応答を起こすことも確認されている。
摂食量増大にもチロシンが関与
さらにチロシン欠乏による応答反応を詳細に調べたところ、細胞の成長を司るmTORシグナルも抑制すると分かった。
また、チロシン欠乏を感知した脂肪組織が内分泌ホルモンのCNMアミドを分泌、脳のセロトニン神経系を刺激することで摂食量の増大が促されることも判明した。
タンパク質摂取減に伴う体内チロシン量の低下により、質の低さを量でカバーしようと、身体がより多くの食物を求めるようになったとみられる。
また、チロシン欠乏を感知した脂肪組織が内分泌ホルモンのCNMアミドを分泌、脳のセロトニン神経系を刺激することで摂食量の増大が促されることも判明した。
タンパク質摂取減に伴う体内チロシン量の低下により、質の低さを量でカバーしようと、身体がより多くの食物を求めるようになったとみられる。
引用元: 理化学研究所 プレスリリース
これまで食べて摂取するほかない必須アミノ酸に比べ、体内生合成が可能な非必須アミノ酸への注目度は低かったが、今回の研究結果はその非必須アミノ酸・チロシンに新たな知見をもたらした。
この感知機構を創薬標的とすることで、食事制限によらない栄養シグナル制御の方法が確立可能な可能性もあり、大いに注目される。
(画像はプレスリリースより)
この感知機構を創薬標的とすることで、食事制限によらない栄養シグナル制御の方法が確立可能な可能性もあり、大いに注目される。
(画像はプレスリリースより)