1型糖尿病の新規治療へ
株式会社東陽テクニカ(以下、東陽テクニカ)は3日、国立大学法人神戸大学(以下、神戸大学)、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)とともに、1型糖尿病の治療法である膵島移植に関し、バイオ人工膵島の開発を進める共同研究に着手したことを発表した。「AGM」を用いたカプセル化の開発を推進する。
1型糖尿病は、生活習慣とは関係なく、膵臓のインスリンを分泌する膵β細胞が破壊されてしまうことにより発症する自己免疫性疾患。発症年齢は広く、主な治療法は注射などによるインスリンの接種を継続するほか、膵島移植に頼るほかない。
患者は日常的に生命にも関わる重篤な危機を避けるため、食事や運動にも注意しながら血糖値を監視、必要なインスリン接種を続けていかねばならず、QOLが低い状態に置かれやすい。
膵島移植は根本的かつ効果的な治療法となりうるが、ドナー不足による10~15年の待機期間や、移植後の拒絶反応、生涯にわたる免疫抑制療法の継続の必要性など、こちらにも課題は多い。
これら課題を乗り越える方法として有効とみられているのがバイオ人工膵島移植だ。医療用として飼育された大動物から採取した膵島をカプセル化し、患者に移植する。成功すればインスリンの継続的接種が不要となり、大幅なQOL向上が見込める。
1型糖尿病は、生活習慣とは関係なく、膵臓のインスリンを分泌する膵β細胞が破壊されてしまうことにより発症する自己免疫性疾患。発症年齢は広く、主な治療法は注射などによるインスリンの接種を継続するほか、膵島移植に頼るほかない。
患者は日常的に生命にも関わる重篤な危機を避けるため、食事や運動にも注意しながら血糖値を監視、必要なインスリン接種を続けていかねばならず、QOLが低い状態に置かれやすい。
膵島移植は根本的かつ効果的な治療法となりうるが、ドナー不足による10~15年の待機期間や、移植後の拒絶反応、生涯にわたる免疫抑制療法の継続の必要性など、こちらにも課題は多い。
これら課題を乗り越える方法として有効とみられているのがバイオ人工膵島移植だ。医療用として飼育された大動物から採取した膵島をカプセル化し、患者に移植する。成功すればインスリンの継続的接種が不要となり、大幅なQOL向上が見込める。
特殊技術でカプセル化、将来は日帰り施術も
今回の三者による共同研究では、神戸大学大学院医学研究科が進めている膵島細胞のカプセル化技術と、東陽テクニカの「AGM」技術を用い、膵島移植に適したカプセル化の開発を進めていく。
移植用膵島サイズは100~300マイクロメートルとされ、その細胞をアルギン酸ゲルビーズ内に埋め込む。続いてこれに生体親和性の高いポリマーコートとアガロース膜を施し、その後に「AGM」特有のカプセル構造へと移行させる。
このカプセル化された膵島細胞による移植の場合、適切な生体内環境の維持と免疫機構からの隔離状態が構成されるため、細胞の崩壊や壊死が防止される。研究では効率的な移植医療を目指し、細胞のカプセル化技術における自動化の検討も進める予定という。
「AGM」を用いたバイオ人工膵島移植が叶えば、外科的処置は低減され、日帰りでの施術にも対応可能になるとみられており、医療機関・医療者と患者の双方における大幅な負担軽減が実現される。免疫抑制療法も不要となることから、患者のQOL向上への寄与も大きい。
「AGM」は、理研の特許技術をもとに、東陽テクニカが動物細胞の3次元培養向けに開発・販売しているもの。細胞封入からカプセル作製まで実施可能で、CO2インキュベータ内で通常のディッシュを用い、3次元培養を実行できる。
ディッシュ培養環境下で課題となってきた細胞変性を抑制できるほか、生体内を模した3次元環境を維持できること、多孔性膜からなるカプセルであるため培地交換やガス交換も迅速に行えること。バイオリアクター内での攪拌によって起こるせん断力からの保護機構があること、複数細胞の共培養カプセルとしても使えることといった点に特徴と利点がある。
(画像はプレスリリースより)
移植用膵島サイズは100~300マイクロメートルとされ、その細胞をアルギン酸ゲルビーズ内に埋め込む。続いてこれに生体親和性の高いポリマーコートとアガロース膜を施し、その後に「AGM」特有のカプセル構造へと移行させる。
このカプセル化された膵島細胞による移植の場合、適切な生体内環境の維持と免疫機構からの隔離状態が構成されるため、細胞の崩壊や壊死が防止される。研究では効率的な移植医療を目指し、細胞のカプセル化技術における自動化の検討も進める予定という。
「AGM」を用いたバイオ人工膵島移植が叶えば、外科的処置は低減され、日帰りでの施術にも対応可能になるとみられており、医療機関・医療者と患者の双方における大幅な負担軽減が実現される。免疫抑制療法も不要となることから、患者のQOL向上への寄与も大きい。
「AGM」は、理研の特許技術をもとに、東陽テクニカが動物細胞の3次元培養向けに開発・販売しているもの。細胞封入からカプセル作製まで実施可能で、CO2インキュベータ内で通常のディッシュを用い、3次元培養を実行できる。
ディッシュ培養環境下で課題となってきた細胞変性を抑制できるほか、生体内を模した3次元環境を維持できること、多孔性膜からなるカプセルであるため培地交換やガス交換も迅速に行えること。バイオリアクター内での攪拌によって起こるせん断力からの保護機構があること、複数細胞の共培養カプセルとしても使えることといった点に特徴と利点がある。
(画像はプレスリリースより)