血中ビタミンD量と成長率が関連
熊本大学はこのほど、同大学の倉岡将平助教とエコチル調査南九州沖縄ユニットセンターらの研究成果として、ビタミンD欠乏がみられる子どもの場合、年間あたりの身長の伸びが小さくなることが分かったと発表した。研究成果は、2022年8月13日付で、スイスの学術出版社MDPIが発行する栄養学分野の学術誌「Nutrients」に掲載、公開されている。
「エコチル調査」とは、胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が子どもの健康に与える影響を明らかにするため、2010年度から全国約10万組の親子を対象に、環境省が開始した出生コホート調査。各地域に調査拠点施設などが置かれ、それぞれの関係機関が協働し、子どもの健康と環境要因の関係を明らかにしてきている。
今回の研究では、エコチル調査の詳細踏査参加者から、正期産で基礎疾患のない3,624人の子どもが対象となった。2歳児と4歳児の身長・体重、4歳時の採取血液から判明した血中ビタミンD濃度、また4歳時の質問票(2015年~2018年に実施)から分かる屋外活動の時間データを収集、解析している。
その結果、全体の23.1%にビタミンD不足(血中ビタミンD濃度が20ng/ml未満)で、1.1%はビタミンD欠乏(血中ビタミンD濃度が10ng/ml未満)であった。
ビタミンDと成長の関連性については、ビタミンD欠乏であった子どもの場合、そうでない子どもに比べ、年間あたりの身長の伸びが0.6cm小さく、有意に小さいことが判明した。
「エコチル調査」とは、胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が子どもの健康に与える影響を明らかにするため、2010年度から全国約10万組の親子を対象に、環境省が開始した出生コホート調査。各地域に調査拠点施設などが置かれ、それぞれの関係機関が協働し、子どもの健康と環境要因の関係を明らかにしてきている。
今回の研究では、エコチル調査の詳細踏査参加者から、正期産で基礎疾患のない3,624人の子どもが対象となった。2歳児と4歳児の身長・体重、4歳時の採取血液から判明した血中ビタミンD濃度、また4歳時の質問票(2015年~2018年に実施)から分かる屋外活動の時間データを収集、解析している。
その結果、全体の23.1%にビタミンD不足(血中ビタミンD濃度が20ng/ml未満)で、1.1%はビタミンD欠乏(血中ビタミンD濃度が10ng/ml未満)であった。
ビタミンDと成長の関連性については、ビタミンD欠乏であった子どもの場合、そうでない子どもに比べ、年間あたりの身長の伸びが0.6cm小さく、有意に小さいことが判明した。
外での運動と適切な栄養摂取が重要
ビタミンDは食事からの摂取に加え、日光を浴びることでも産生されるため、日照時間の短い冬に血中濃度が低下しやすく、その間に屋外活動時間が少なかったためにビタミンD不足が進行したとみられる。
研究ではエコチル調査のデータを活かすことにより、標準的小児でビタミンD欠乏が身長の伸びに影響を与えることを世界で初めて明らかにすることができた。
腸管からのカルシウム吸収に欠かせないビタミンDの不足が、子どもの低身長や成長障害のリスク因子であることを示唆しているといえる。
経時的な血中ビタミンD濃度の測定ではなく、血中カルシウム濃度や骨密度などの評価も行っていないため、ビタミンD不足がどのような機序で身長の伸びを阻害するのかは明らかとなっておらず、詳細は今後の研究によって解明されていくことが期待されている。
また、ビタミンD欠乏は、骨関連への作用だけでなく、免疫機能や心疾患、糖尿病、がんなどとも強く関係することが報告されてきているため、これらについてもさらなる研究が求められている。
今後、ビタミンDの補充などによる介入研究により、ビタミンD欠乏への治療法や対処法の確立も推進されていくだろう。
小児における「くる病」や成人の骨軟化症の発症予防、骨粗鬆症・骨折リスクの低減など、ビタミンDは生涯の健康維持に深く関わる栄養素である。食事からの摂取と日光を浴びながらの適度な運動の重要性があらためて示されている。
(画像はプレスリリースより)
研究ではエコチル調査のデータを活かすことにより、標準的小児でビタミンD欠乏が身長の伸びに影響を与えることを世界で初めて明らかにすることができた。
腸管からのカルシウム吸収に欠かせないビタミンDの不足が、子どもの低身長や成長障害のリスク因子であることを示唆しているといえる。
経時的な血中ビタミンD濃度の測定ではなく、血中カルシウム濃度や骨密度などの評価も行っていないため、ビタミンD不足がどのような機序で身長の伸びを阻害するのかは明らかとなっておらず、詳細は今後の研究によって解明されていくことが期待されている。
また、ビタミンD欠乏は、骨関連への作用だけでなく、免疫機能や心疾患、糖尿病、がんなどとも強く関係することが報告されてきているため、これらについてもさらなる研究が求められている。
今後、ビタミンDの補充などによる介入研究により、ビタミンD欠乏への治療法や対処法の確立も推進されていくだろう。
小児における「くる病」や成人の骨軟化症の発症予防、骨粗鬆症・骨折リスクの低減など、ビタミンDは生涯の健康維持に深く関わる栄養素である。食事からの摂取と日光を浴びながらの適度な運動の重要性があらためて示されている。
(画像はプレスリリースより)