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神戸大学、腸内細菌代謝物を速やかに連続定量可能な新分析法を開発
2026.03.23
神戸大学は19日、同大学先端バイオ工学研究センターの吉田崇伸特命助手、蓮沼誠久教授らの研究グループが、腸内細菌叢のつくる代謝物を1つの移動相条件のまま、自動カラム切替で連続定量可能とする新しいLC-MS/MS分析法「KUSLAMS」を開発したと発表した。
カラム切替で条件変更不要、腸内細菌研究の加速に
神戸大学は19日、同大学先端バイオ工学研究センターの吉田崇伸特命助手、蓮沼誠久教授らの研究グループが、腸内細菌叢のつくる代謝物を1つの移動相条件のまま、自動カラム切替で連続定量可能とする新しいLC-MS/MS分析法「KUSLAMS」を開発したと発表した。この研究成果は、3月17日付で「ACS Omega」誌に掲載されている。
腸内細菌叢(腸内細菌)が作り出す代謝物は、食事成分の分解や短鎖脂肪酸などの産生を通じ、免疫や代謝などの生体機能に影響を与えることが分かってきた。近年はプロバイオティクスやプレバイオティクスなど、腸内細菌叢に働きかける介入法も高い注目を集めている。
一方で、腸内細菌叢を変化させた時、体内で何がどの程度変化したのかを客観的に捉えるには、腸内細菌叢の働きの結果である代謝物を幅広く、かつ定量的に計測しなければならない。よって腸内細菌叢研究におけるメタボローム解析は重要な位置づけを占めている。
しかし、腸内細菌由来の代謝物は化学的性質が多様で、十分な感度やカバレッジを得るにはLC-MS/MS分析法が有力であるものの、従来のやり方では対象化合物に応じてカラムや移動相条件を何度も切り替える必要があり、分析手順が複雑になりやすかった。
そのため広範な代謝物を高速大量に処理し定量することは難しく、腸内環境の変化や介入効果を評価する際のボトルネックポイントとなっていた。
そこで研究グループでは、プレバイオティクス・プロバイオティクス機能の候補指標などを含む代謝物らに対する連続的定量が可能な簡便で高速大量処理が可能な新しい分析法の確立を目指したという。
腸内細菌叢(腸内細菌)が作り出す代謝物は、食事成分の分解や短鎖脂肪酸などの産生を通じ、免疫や代謝などの生体機能に影響を与えることが分かってきた。近年はプロバイオティクスやプレバイオティクスなど、腸内細菌叢に働きかける介入法も高い注目を集めている。
一方で、腸内細菌叢を変化させた時、体内で何がどの程度変化したのかを客観的に捉えるには、腸内細菌叢の働きの結果である代謝物を幅広く、かつ定量的に計測しなければならない。よって腸内細菌叢研究におけるメタボローム解析は重要な位置づけを占めている。
しかし、腸内細菌由来の代謝物は化学的性質が多様で、十分な感度やカバレッジを得るにはLC-MS/MS分析法が有力であるものの、従来のやり方では対象化合物に応じてカラムや移動相条件を何度も切り替える必要があり、分析手順が複雑になりやすかった。
そのため広範な代謝物を高速大量に処理し定量することは難しく、腸内環境の変化や介入効果を評価する際のボトルネックポイントとなっていた。
そこで研究グループでは、プレバイオティクス・プロバイオティクス機能の候補指標などを含む代謝物らに対する連続的定量が可能な簡便で高速大量処理が可能な新しい分析法の確立を目指したという。
さらなる研究の発展に期待
研究グループは、「KUSLAMS」において、分離特性の異なるPFPPカラムとC18カラムを切替バルブで自動的に切り替え、さらに一部の代謝物では誘導体化を組み合わせることにより、腸内細菌叢研究で重要とされる代謝物を中心に、合計215代謝物の一括定量を可能とした。
この手法の有用性を示すため、ヒト腸内細菌叢モデルを用い、プレバイオティクスとしてよく知られるイヌリンを添加した条件と無添加の条件を比較、培養に伴う代謝変化を細菌細胞(細胞内)と培養上清(細胞外)の両方から回収した試料で定量した。
するとイヌリンの添加により、細胞内・細胞外の両方で濃度が大きく変動する代謝物群を捉えることができ、腸内細菌叢の働きの変化を代謝物量で追跡できる可能性を改めて示せた。
この手法の有用性を示すため、ヒト腸内細菌叢モデルを用い、プレバイオティクスとしてよく知られるイヌリンを添加した条件と無添加の条件を比較、培養に伴う代謝変化を細菌細胞(細胞内)と培養上清(細胞外)の両方から回収した試料で定量した。
するとイヌリンの添加により、細胞内・細胞外の両方で濃度が大きく変動する代謝物群を捉えることができ、腸内細菌叢の働きの変化を代謝物量で追跡できる可能性を改めて示せた。
新手法は代謝物の種類ごとに複雑な条件変更を行うことなく、単一の移動相条件のまま、カラム切替と誘導体化を組み合わせることで、幅広い代謝物をまとめて定量できる点にポイントがある。
研究グループでは、腸内細菌叢が食事成分に応答して生み出す代謝物の変化を、代謝物量として速やかに捉えられるため、今後は食品成分や腸内環境介入の効果を客観的に評価する研究はもちろん、腸内環境と健康課題との関係の解明や、介入効果の定量評価など、さまざまなシーンで役立つ基盤技術として応用が進んでいくことが期待されるとした。
研究グループでは、腸内細菌叢が食事成分に応答して生み出す代謝物の変化を、代謝物量として速やかに捉えられるため、今後は食品成分や腸内環境介入の効果を客観的に評価する研究はもちろん、腸内環境と健康課題との関係の解明や、介入効果の定量評価など、さまざまなシーンで役立つ基盤技術として応用が進んでいくことが期待されるとした。
食物繊維や発酵食品、プロバイオティクス・プレバイオティクスなどの食品成分が腸内環境に与える影響を代謝物量として比較可能となり、機能性素材のスクリーニングや、ヒト試験に進む前段階での候補評価を効率化できる見通しだ。
生活習慣改善や栄養指導、腸内環境介入前後での代謝物定量を実施し、介入の影響を客観的に捉えて、将来の個別化栄養や予防的アプローチの検討にもつながることが考えられる。
腸内環境と肥満や糖代謝、炎症といった健康課題との関係を代謝物レベルで整理することで、介入効果を示す評価指標を探索したり、臨床研究でのアウトカム設計を高度化したりすることにも貢献すると見込まれる。今後の動向に注目したい。
(画像はプレスリリースより)
生活習慣改善や栄養指導、腸内環境介入前後での代謝物定量を実施し、介入の影響を客観的に捉えて、将来の個別化栄養や予防的アプローチの検討にもつながることが考えられる。
腸内環境と肥満や糖代謝、炎症といった健康課題との関係を代謝物レベルで整理することで、介入効果を示す評価指標を探索したり、臨床研究でのアウトカム設計を高度化したりすることにも貢献すると見込まれる。今後の動向に注目したい。
(画像はプレスリリースより)
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