腸内環境可視化や個別化栄養提案に新たな一歩
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(以下、NIBN)は5月28日、ヘルス・メディカル微生物研究センターの研究グループが、日本人に多く存在する3種類の腸内細菌について、モノクローナル抗体の樹立に成功したことを発表した。
これら抗体を活用することにより、腸内細菌にかかる迅速かつ簡便で安価な検査が可能となり、腸内環境の可視化や個別化された栄養提案へと応用していける可能性が高まった。
この研究成果は、2025年5月14日付で「Scientific Reports」オンライン版に掲載されている。
ヒトの腸内には1,000種を超える細菌が存在し、免疫や代謝、神経系機能に大きな影響を与えている。昨今のメタゲノム解析技術の進展により、これまで培養困難で同定もされていなかった腸内細菌の存在が明らかとなり、特定の健康状態や疾患と関係する腸内細菌の報告も非常に多くなってきた。
これら知見から腸内細菌と健康との関係に対し、社会的関心も大いに高まってきており、一般向けの腸内細菌検査サービスも出てきている。しかし一方で、腸内細菌を日常的かつ継続的に把握するために重要な、迅速かつ安価で簡便な腸内細菌の検出・測定法となると限られたものになり、普及にはまだ課題が多いとみられてきた。
そこで研究グループでは、日本人において特に多く、腸内環境を特徴付ける主要な細菌である、セガテラ・コプリ、フィーカリバクテリウム・ダンカニエ、フォカエイコラ・ブルガタスの3つに着目、抗体を用いた検出法の確立を目指すこととした。
これら抗体を活用することにより、腸内細菌にかかる迅速かつ簡便で安価な検査が可能となり、腸内環境の可視化や個別化された栄養提案へと応用していける可能性が高まった。
この研究成果は、2025年5月14日付で「Scientific Reports」オンライン版に掲載されている。
ヒトの腸内には1,000種を超える細菌が存在し、免疫や代謝、神経系機能に大きな影響を与えている。昨今のメタゲノム解析技術の進展により、これまで培養困難で同定もされていなかった腸内細菌の存在が明らかとなり、特定の健康状態や疾患と関係する腸内細菌の報告も非常に多くなってきた。
これら知見から腸内細菌と健康との関係に対し、社会的関心も大いに高まってきており、一般向けの腸内細菌検査サービスも出てきている。しかし一方で、腸内細菌を日常的かつ継続的に把握するために重要な、迅速かつ安価で簡便な腸内細菌の検出・測定法となると限られたものになり、普及にはまだ課題が多いとみられてきた。
そこで研究グループでは、日本人において特に多く、腸内環境を特徴付ける主要な細菌である、セガテラ・コプリ、フィーカリバクテリウム・ダンカニエ、フォカエイコラ・ブルガタスの3つに着目、抗体を用いた検出法の確立を目指すこととした。
反応性・特異性に優れた抗体を獲得
今回の研究では、この3つの代表的な腸内細菌について、まるごとマウスに免疫するノンターゲット戦略をとり、標的分子をあらかじめ限定することなく、各種細菌に対し、特異的なモノクローナル抗体を樹立していった。
得られた抗体は、標的細菌の培養株に対し、ELISAやフローサイトメトリー、ウエスタンブロッティングなどの手法で高い特性を示すことが確認されている。
さらにサンドイッチELISAを用いることで、標的細菌の培養株だけでなく糞便中の標的細菌の定量も可能であることが分かった。各抗体が認識する分子の同定にも成功しているという。
今後は、目的とする腸内細菌を迅速に、簡便で安価に測定できるようになることが期待され、これら抗体を活かした検査キットや研究用試薬の開発が進み始めている。
実現すれば自身の腸内環境を手軽に把握することも一般的になり、その結果に応じた食事提案など精密栄養学の推進にもつながっていくと考えられる。
また、今回の研究で用いられた抗体作製戦略は、他の腸内細菌にも応用可能なものであるため、すでに健康に有用な機能が示唆されている、ビフィズス菌やブラウティア菌、アッカーマンシア菌といった細菌や、疾患との関連が注目される細菌などに対する抗体開発にも展開されてきている。
そのほか、得られた抗体を研究ツールとして活用することにより、腸内細菌にかかる学術研究の加速も期待され、腸内環境と健康、栄養といった関係の解明に関し、今後の大きな応用貢献が見込まれるものとなった。
(画像はプレスリリースより)
得られた抗体は、標的細菌の培養株に対し、ELISAやフローサイトメトリー、ウエスタンブロッティングなどの手法で高い特性を示すことが確認されている。
さらにサンドイッチELISAを用いることで、標的細菌の培養株だけでなく糞便中の標的細菌の定量も可能であることが分かった。各抗体が認識する分子の同定にも成功しているという。
今後は、目的とする腸内細菌を迅速に、簡便で安価に測定できるようになることが期待され、これら抗体を活かした検査キットや研究用試薬の開発が進み始めている。
実現すれば自身の腸内環境を手軽に把握することも一般的になり、その結果に応じた食事提案など精密栄養学の推進にもつながっていくと考えられる。
また、今回の研究で用いられた抗体作製戦略は、他の腸内細菌にも応用可能なものであるため、すでに健康に有用な機能が示唆されている、ビフィズス菌やブラウティア菌、アッカーマンシア菌といった細菌や、疾患との関連が注目される細菌などに対する抗体開発にも展開されてきている。
そのほか、得られた抗体を研究ツールとして活用することにより、腸内細菌にかかる学術研究の加速も期待され、腸内環境と健康、栄養といった関係の解明に関し、今後の大きな応用貢献が見込まれるものとなった。
(画像はプレスリリースより)