業界ニュース
ヒトエグサ由来の成分が糖尿病性肥満モデルマウスの代謝異常を改善
2026.07.13
国立大学法人三重大学は6日、同大学大学院地域イノベーション学研究科の臧黎清特任准教授、医学系研究科の島田康人講師らの研究グループが、江南化工株式会社との共同研究により、三重県特産の海藻、ヒトエグサに由来する多糖類である「ラムナン硫酸」が、高脂肪食誘導性糖尿病性肥満モデルマウスにおいて、体重増加や血中脂質指標、空腹時血糖値、インスリン抵抗性指標の悪化を抑制することを発見したと発表した。
高脂肪食による血糖上昇を抑制、インスリン抵抗性の指標を改善
国立大学法人三重大学は6日、同大学大学院地域イノベーション学研究科の臧黎清特任准教授、医学系研究科の島田康人講師らの研究グループが、江南化工株式会社との共同研究により、三重県特産の海藻、ヒトエグサに由来する多糖類である「ラムナン硫酸」が、高脂肪食誘導性糖尿病性肥満モデルマウスにおいて、体重増加や血中脂質指標、空腹時血糖値、インスリン抵抗性指標の悪化を抑制することを発見したと発表した。
この研究成果は7月6日付で、食品機能性分野の国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されている。
肥満と2型糖尿病は世界的に増加傾向にあり、両者を発症した状態は糖尿病性肥満と呼ばれる。糖尿病性肥満は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患、脂肪肝、慢性腎臓病などさまざまな合併症リスクを高めることが分かっており、大きな健康問題、社会問題となっている。
糖尿病性肥満の場合、脂肪組織への過剰な脂肪蓄積から慢性的炎症が生じることが判明しており、この炎症は脂肪組織のみならず肝臓や骨格筋など全身の代謝臓器へと広がり、インスリン抵抗性や脂質代謝異常を引き起こして病態をさらに悪化させるものとなる。
そのため、慢性炎症を抑制しながら代謝異常を改善方向へと導く可能性のある食品成分や機能性素材の開発に期待が集まっているという。
ラムナン硫酸は、三重県の特産である「ヒトエグサ(あおさのり)」に豊富に含まれる硫酸化多糖で、これまでに抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗肥満作用、腸内環境改善作用など多様な生理機能が報告され、研究グループでもゼブラフィッシュやマウスによる実験で、その脂質代謝改善作用を、またヒト臨床試験で便秘改善作用などを確認・報告してきた。
しかし糖尿病性肥満に対する効果や、その分子レベルでの作用メカニズムについては十分に明らかとはなっていなかった。
この研究成果は7月6日付で、食品機能性分野の国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されている。
肥満と2型糖尿病は世界的に増加傾向にあり、両者を発症した状態は糖尿病性肥満と呼ばれる。糖尿病性肥満は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患、脂肪肝、慢性腎臓病などさまざまな合併症リスクを高めることが分かっており、大きな健康問題、社会問題となっている。
糖尿病性肥満の場合、脂肪組織への過剰な脂肪蓄積から慢性的炎症が生じることが判明しており、この炎症は脂肪組織のみならず肝臓や骨格筋など全身の代謝臓器へと広がり、インスリン抵抗性や脂質代謝異常を引き起こして病態をさらに悪化させるものとなる。
そのため、慢性炎症を抑制しながら代謝異常を改善方向へと導く可能性のある食品成分や機能性素材の開発に期待が集まっているという。
ラムナン硫酸は、三重県の特産である「ヒトエグサ(あおさのり)」に豊富に含まれる硫酸化多糖で、これまでに抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗肥満作用、腸内環境改善作用など多様な生理機能が報告され、研究グループでもゼブラフィッシュやマウスによる実験で、その脂質代謝改善作用を、またヒト臨床試験で便秘改善作用などを確認・報告してきた。
しかし糖尿病性肥満に対する効果や、その分子レベルでの作用メカニズムについては十分に明らかとはなっていなかった。
ラムナン硫酸が糖代謝や脂質代謝の健康維持に深く関与
研究グループでは、自然発症2型糖尿病モデルマウスに、高脂肪食を10週間与え続け、ラムナン硫酸の効果を検証した。すると、ラムナン硫酸を摂取したマウスでは、体重増加が約30%抑制されたほか、血中中性脂肪、総コレステロールがそれぞれ約23%、約26%低下することが確認できた。
また、高脂肪食による空腹時血糖値の上昇が抑制され、インスリン抵抗性指標であるHOMA-IRも約56%低下し、糖尿病性肥満に伴う代謝異常の有意な改善が認められた。さらにマイクロCT解析で、皮下脂肪の蓄積が抑制されていることも明らかになった。
続いてラムナン硫酸がどういった仕組みで作用するのかを明らかにするため、褐色脂肪組織、肝臓、骨格筋を対象に、網羅的遺伝子発現解析を実施した。するとTNFシグナル、IFNγシグナル、S100ファミリーシグナル、好中球脱顆粒経路、病原体誘導サイトカインストーム経路など、炎症に関連する複数のシグナル経路が、ラムナン硫酸により、抑制方向へ変化することが示唆されたという。
これら結果から、ラムナン硫酸が複数の代謝臓器において炎症関連経路を調節、糖尿病性肥満に伴う代謝異常の軽減に寄与している可能性が高いと考えられた。
また培養マクロファージを用いた実験では、炎症刺激物質のLPSによって誘導されるTNF-α、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカイン遺伝子発現をラムナン硫酸が抑える力をもつことが判明した。
この結果は、ラムナン硫酸が生体内で炎症関連経路調節を行うだけでなく、免疫細胞そのものに対しても抗炎症作用を示す可能性を見せたものといえる。
以上からラムナン硫酸は、複数の代謝臓器や免疫細胞に作用し、炎症関連経路の調節を介して糖尿病性肥満に伴う代謝異常の軽減に寄与すると考えられている。
研究グループでは、今回の結果を受け、複数代謝臓器における炎症関連経路の変化を網羅的に明らかにできたことから、ラムナン硫酸が糖代謝・脂質代謝の健康維持に関わる機能性食品素材として応用できる可能性が期待できると見ている。
今後はラムナン硫酸がどのような分子機構を介し、生体機能を調節するのか、さらに詳しく解明するとともに、加齢に伴う代謝機能低下や慢性炎症に対する有効性についても検証を進めていきたい考えであるという。
マウスや培養細胞を用いた基礎研究であり、ラムナン硫酸やそれを含む食品群が、人の糖尿病や肥満、糖尿病性肥満を予防・治療・改善することを直に示したものではなく、ヒトでの有効性や適切な摂取条件についてさらなる検証が求められるものの、今後ヒトエグサのもつ新たな機能性発見を通じ、健康寿命延伸に貢献する食品開発などにつながることも大いに期待されるとしている。
(画像はプレスリリースより)
また、高脂肪食による空腹時血糖値の上昇が抑制され、インスリン抵抗性指標であるHOMA-IRも約56%低下し、糖尿病性肥満に伴う代謝異常の有意な改善が認められた。さらにマイクロCT解析で、皮下脂肪の蓄積が抑制されていることも明らかになった。
続いてラムナン硫酸がどういった仕組みで作用するのかを明らかにするため、褐色脂肪組織、肝臓、骨格筋を対象に、網羅的遺伝子発現解析を実施した。するとTNFシグナル、IFNγシグナル、S100ファミリーシグナル、好中球脱顆粒経路、病原体誘導サイトカインストーム経路など、炎症に関連する複数のシグナル経路が、ラムナン硫酸により、抑制方向へ変化することが示唆されたという。
これら結果から、ラムナン硫酸が複数の代謝臓器において炎症関連経路を調節、糖尿病性肥満に伴う代謝異常の軽減に寄与している可能性が高いと考えられた。
また培養マクロファージを用いた実験では、炎症刺激物質のLPSによって誘導されるTNF-α、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカイン遺伝子発現をラムナン硫酸が抑える力をもつことが判明した。
この結果は、ラムナン硫酸が生体内で炎症関連経路調節を行うだけでなく、免疫細胞そのものに対しても抗炎症作用を示す可能性を見せたものといえる。
以上からラムナン硫酸は、複数の代謝臓器や免疫細胞に作用し、炎症関連経路の調節を介して糖尿病性肥満に伴う代謝異常の軽減に寄与すると考えられている。
研究グループでは、今回の結果を受け、複数代謝臓器における炎症関連経路の変化を網羅的に明らかにできたことから、ラムナン硫酸が糖代謝・脂質代謝の健康維持に関わる機能性食品素材として応用できる可能性が期待できると見ている。
今後はラムナン硫酸がどのような分子機構を介し、生体機能を調節するのか、さらに詳しく解明するとともに、加齢に伴う代謝機能低下や慢性炎症に対する有効性についても検証を進めていきたい考えであるという。
マウスや培養細胞を用いた基礎研究であり、ラムナン硫酸やそれを含む食品群が、人の糖尿病や肥満、糖尿病性肥満を予防・治療・改善することを直に示したものではなく、ヒトでの有効性や適切な摂取条件についてさらなる検証が求められるものの、今後ヒトエグサのもつ新たな機能性発見を通じ、健康寿命延伸に貢献する食品開発などにつながることも大いに期待されるとしている。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
この記事をシェアする
