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2022.08.04

【実践編】VLOOKUPをマスターして、食札・食事箋を自動化しよう!(テンプレ付き)

カバー画像:【実践編】VLOOKUPをマスターして、食札・食事箋を自動化しよう!(テンプレ付き)

こんにちは!管理栄養士のえぬこです。

Excelでのデータ入力に欠かせない「VLOOKUP関数」。皆さんはしっかり活用できていますか?

実はこのVLOOKUP関数、一般企業の事務職求人では応募条件の必須スキルとして設定している企業もあるほど、重宝されている関数です。

私も、この関数を使って食事箋や食札のテンプレートを作成しています。管理栄養士さんも覚えておいて損はない関数なので、知らない方はこの機会に少し勉強してみましょう!

1.はじめに

初歩的なExcelスキルを習得できているか不安な方は、先にこちらの記事から学習してみてください。テスト問題もありますよ。

【初級編】新人管理栄養士が覚えておきたいExcelスキルを6つ解説!

今回の記事は、
*最小限の更新作業で仕事をするメリット
*VLOOKUP関数を使った食札・食事箋のテンプレートの紹介
*VLOOKUP関数の使い方マスター
について、書いていきます。

2.最小限の更新作業でミスなく正確に仕事をこなすことの重要性

管理栄養士・栄養士の事務作業は、非常に手間がかかるものが多いです。

例えば…
厨房
食札、ボード、禁止食数の書き換え など

カルテ関連
食事箋、介護記録、厨房への指示書や栄養ケア計画の書き換え など
これらは、1つでも漏れたらインシデント・アクシデントにつながる仕事です。
≪ATTENTION≫

食札を書き換えても、禁止食一覧を書き換えなければ、誤配膳をしてしまうかもしれません。

他にも、食事箋と食札の内容が一致していないと、指示通りの食事提供ができていないことになり、インシデントとなりますよね。
栄養科はたくさんの書類や一覧表を管理しています。ですが、管理栄養士同士でダブルチェックをしたくても、チェックし合えるほど人員がいない…ということも少なくないですよね。

そのため、できる限り少ない手順で、ミスなく正確に仕事を処理する仕組み作りが重要です。

今回紹介するVLOOKUP関数を使えば、1つの作業で多くの書類にデータを反映できるようになりますので、ぜひマスターしてくださいね。

3.食札・食事箋テンプレートの紹介

私の職場では
・食札・食事箋
・栄養ケアマネジメントのスケジュール管理
・食事観察記録
などを、1つのExcelで管理しています。

今回は、「食札・食事箋」の部分のみ抜粋して、テンプレートの配布と使い方や数式を紹介します。

システムの入っていない小規模な病院や、介護施設では使いやすいテンプレートだと思いますので、ぜひダウンロードして使ってみてください。

食札・食事せんテンプレート_説明書付.xlsx (70.8 KB)

ダウンロード後に『保護ビュー』『最終版』という黄色で警告されるバーが表示されたら「編集を有効にする」「編集する」を押してくださいね。
*テンプレートの使い方

①シート名「名簿」に食事内容を入力
②シート名「食札・食事箋」の番号入力に「名簿」で指定した番号を入力
③シート名「食札・食事箋」のデータを印刷
詳しくは、Excelデータ内の『【説明書】食札・食事箋』シートにも記載していますので、ご確認ください。
*メリット
・名簿を作っておくことで誰が見ても食事形態が分かる
・食札と食事箋が一致するため、確認作業が不要

*デメリット
・医師が食事箋を「書くまたは入力する」現場では使えない
 (看護師や栄養士が記入し、承認印を指示書とするような現場向け)
・異動・退職・休職時にPCスキルを含めた引継ぎが必要
もし、このExcelを厨房での作業に応用すると
・主食・副食の食数表作成
・count関数を利用して食種別発注数を出す
・ピボットテーブルを使って丼ものの食数表作成

などにも対応できるようになりますよ!

4.VLOOKUP関数の使い方をマスターしよう

先ほど紹介したテンプレートで1番活躍している関数は、VLOOKUP関数です。

VLOOKUP関数は、「ブイルックアップ」と読み、“「V」(Vertical)=垂直に「LOOKUP」=探す”から由来しています。

つまり、リストや名簿の番号を元に該当データを探してくれる関数、ということですね。
まずは、VLOOKUP関数の数式を見てみましょう。
VLOOKUP(検査値、範囲、列番号、FALSE)

検索値 :何を元に検索するか
範囲  :上記の検索値を検索する範囲の選択
列番号 :上記の範囲の中から、左から何列目のデータを表示させるか
検索方法:基本は「FALSE」(完全一致) 近似値(TRUE)は使うことがあまりないです
次に、どんな時に使えるのか?の実践編です。こちらの表を見てください。
例えばこの表を埋めたい場合、1人ずつ「胆嚢・膵臓食」「糖尿病性腎症食」「心臓病食」…と手打ちで書いていくのは大変ですよね。

そこで、このような形を準備します。
左は特別治療食のリスト、右は患者さんリストに「No.」の列を追加しました。

次に、患者さんリストの「No.」のところに、提供する特別治療食リストの番号を記入します。
ここからVLOOKUP関数の登場です。患者さんリストの特別治療食のところに関数をいれていきます。
F3セルに入力した数字を、赤い範囲の一番左の中から探して、左から2番目にある文字を、表示して!
という意味になります。

これでエンターキーを押すと…
数式が機能して『透析食』が表示されます!

このVLOOKUP関数を一番下までコピーして入れると…
このように、No.が入っている患者さんだけ、どの特別治療食を提供すべきか表示されます。これなら何度も同じ食事名を打たなくて良いので、手間と打ち間違えが省けて便利ですよね!

ただ、これだと『N/A』(エラー値、No Answerの略)が邪魔で見づらさが残ります。エラー値を消したい場合はIFERROR関数を組み合わせてみましょう。(詳しくは次項で解説します)
このIFERROR関数×VLOOKUP関数を一番下までコピーして入れると…
とても見やすくなりました!

これを応用することで、本記事でダウンロードできるテンプレートのように、食札・食事箋を簡単に作成できますよ。

私たち栄養士の現場は、テンプレートのように
① リストを作成しておき
② 必要なデータを呼び出して書類を作る

といった使い方が多いです。

ちなみに、事務職では商品名と金額を呼び出して、在庫管理や発注書を作る時に使うこともありますよ。

5.テンプレートで使っているその他の関数

IFERROR関数

IFERROR関数は、先の使い方のようにエラー値を表示しない事も出来ますし、エラー値を別の文字に置き換えたりできる便利な関数です。
""は「空欄」を意味し、上記は「VLOOKUP関数の結果がエラー値だったら、空欄にする」になります。

『こう表示させる』の部分には別の関数を入れることもできますし、"エラー"や"該当なし"など、代替文字を設定することもできますよ。

今回のテンプレートでは、備考や治療食の部分の数式を見ると分かりやすいです。

備考や治療食でない方のデータでは、エラーの数式が表示されてしまうのを、IFERROR関数で何も表示しないように指定しています。

TODAY関数

TODAY関数は、文字通り今日の日付を表示する関数です。テンプレートでは、食事箋の発行日で使用しています。
TODAY関数を入れておくことで、毎回日付を入力する手間とミスを省けます。

ちなみに、『=TODAY()-1』で昨日の日付、『=TODAY()+1』で明日の日付を設定することもできます。

6.さいごに

今回は、VLOOKUP関数を中心に、IFERROR関数とTODAY関数の3つを紹介しました。

VLOOKUP関数は、Excelの中級者でもややこしく感じる関数なので、初見で完全には理解できなくても大丈夫です。テンプレートや今回紹介した画像を見ながら、ゆっくり学習してくださいね。

私は、これまで給食会社や病院・老健と働いてきましたが、ほとんどが100床未満の現場でした。中小規模の職場では、食札や食事箋の専用ソフトを導入してもらえないこともあります。

専用ソフトがない現場では、何度もExcelに助けられてきました。ぜひ、Excelスキルを磨いて、ミスなく正確に仕事ができる環境づくりを目指していきましょう。

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えぬこ

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