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2024.04.01

管理栄養士国家試験の勉強法!働きながら一発合格を目指すには?

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管理栄養士歴約10年のえぬこです。

今回は、働きながらの国家試験対策についてお話ししたいと思います。

私は、4大卒で管理栄養士を取得したのですが、一緒に働く委託栄養士さんの中には、働きながら国家試験に受かった方も数名いらっしゃいました。

働きながらの国家試験は決して甘い道ではありませんが、早めに対策をして一発合格を目指して頑張りましょう!

1.管理栄養士国家試験の受験資格は?

まずは、栄養士さんが管理栄養士国家試験を受けるために必要な実務経験についてお伝えします。

1)必要な実務経験年数

実務経験に必要な年数は、栄養士法で次のように明文化されています。
・修業年限が2年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、厚生労働省令で定める施設において3年以上栄養の指導に従事した者
・修業年限が3年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、厚生労働省令で定める施設において2年以上栄養の指導に従事した者
・修業年限が4年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、厚生労働省令で定める施設において1年以上栄養の指導に従事した者

まとめると
・2年の栄養士卒は、3年
・3年の養成校卒は、2年
・4年の養成校卒は、1年
実務経験があれば、管理栄養士の受験資格を得られますよ、ということです。

また、4年制の管理栄養士養成校卒で、単位不足により受験資格を得られていない学生さんは「4年の栄養士養成校卒」と同じ扱いになります。

2)受験資格に該当する実務経験とは?

栄養士の実務経験として認められる業務は 、実務証明書に書かれている献立作成や食品材料の選択など、7つの業務のことです。そのうち1つでも該当していれば、栄養士の実務経験として認めてもらえます。

栄養士さんの中には、調理員と兼務している人や介護職と兼務している人もいますよね。その場合でも「雇用主が栄養士業務に従事している」と判断すれば、栄養士の実務経験として認められます。

実務経験として認められるか不安な方は、上司や勤務先の人事部に確認して、数年後に国家試験受験を検討しているが、実務証明証を発行してもらえるか確認しておきましょう。

雇用契約書に「栄養士」の記載があることも確認しておくとよいかもしれません。

栄養士の実務経験を積む期間は、20代前半くらいの若い時期が多く、厨房で大変なお仕事をしている方がほとんどでしょう。特に給食委託会社で3年の実務経験を積むとなると、チーフ職に就いている人も多いのではないでしょうか。

受験資格を得るための勤務だけでも、体力的にも精神的にもハードですよね。そして、特に3年目あたりからは責任も伴ってくるでしょう。

勉強をする前に実務経験の期間を勤め上げるだけでも、とても大変で立派なことです。管理栄養士を目指す栄養士さんは、まずはこの大変な期間を乗り越えられるよう、頑張ってくださいね。

2.既卒・社会人栄養士の管理栄養士国家試験の合格率は?

管理栄養士国家試験の合格率は、毎年6割程度と言われていますが、実際の数字や内訳をご存知でしょうか。

第38回(令和56年)の国家試験の合格率は次の通りです。
全体の合格率 49.3%
栄養士養成課程+実務経験 11.1%
管理栄養士養成課程(既卒) 7.8%
管理栄養士養成課程(新卒) 80.4%
受験者数や合格率については、下記にて詳しく紹介していますので参考にしてくださいね。

管理栄養士国家試験の2024年合格率は49.3%!試験の概要から難易度まで徹底解説

直近の国試では、実務経験を積んで管理栄養士試験を受ける場合の合格率はたった10%前後

栄養士養成校卒+実務経験の方も、管理栄養士養成校を卒業した後の1発合格ができなかった方も、数字だけをみるととても厳しいことが読み取れます。

とはいえ、管理栄養士になれば就ける仕事の幅が広がりますから、諦めずに挑戦してくださいね!給食管理も重要な仕事ですが、栄養管理業務も奥が深くやりがいのある仕事ですよ。

次の章では国家試験合格のための対策を具体的にお伝えしていきます。

3.働きながら国家試験に合格するためのポイント

次に、栄養士が働きながら国家試験対策に合格するために覚えておきたいことをお伝えします。

1)まずはスケジュールを立てよう

国家試験の勉強を始める前に、まずは年間の勉強スケジュールを立てましょう。年間計画を立てることで、全範囲の勉強を効率よく行うことができます。

春~夏は基礎固め、秋は模試受験や復習、冬は模試や過去問で実践力をつけるなど、まずはざっくりした計画を立ててから、科目ごとの勉強スケジュールを立てましょう。

社会人の場合は、仕事の繁忙期やプライベートの予定も考慮して勉強計画を立てるといいですね。

2)既卒の国家試験対策はいつから始めたらいいの?

国家試験対策をいつ頃から始めればよいかには、個人差があります。これまで勉強が得意だった方、不得意だった方、養成校で管理栄養士を見据えた授業を受けてきた方によって、基礎力にはかなりバラつきがあるでしょう。

目安としては、「勉強を本格的にスタートさせるのが試験日の1年前」としておくとよいでしょう。なので、教材を揃える、どんな問題が出題されるのか把握する等の情報収集は、1年以上前から初めておくことをおすすめします。

3)既卒・社会人栄養士がまずやるべきことは?

国家試験対策は、まず、
STEP1 問題がどのような範囲でどのような形式で出題されるのかを知る
STEP2 勉強を行う順番や対策を考え、テキストを揃える
STEP3 勉強を始める

といったステップを踏みましょう。ここまでを、試験日の1年前までに済ましておくことと良いですよ。

勉強を始める前に、管理栄養士の国家試験は6割の得点で全員合格できることや、試験範囲などの試験全体の概要を抑えます。

そして、6割の合格点を得点するのに必要な対策を立てるために、参考書を購入しましょう。

国家試験対策の最新の参考書は1年前だとまだ発売されていませんが、その年に発売されたのものでも十分です。 早めに学習を始めることを優先してください。

具体的な勉強方法やおすすめの参考書は、こちらの記事を参考にしてくださいね。

管理栄養士国家試験の合格率は約60%!試験の概要から難易度まで徹底解説


これがあれば大丈夫!先輩管理栄養士が本当にオススメする国家試験の参考書とは!?


また、長く座学から遠ざかっていた方は、予備校通信教育といった手段もありますよ。

4)受験勉強中と理解してもらえる人間関係を職場で作っておく

試験対策と同時に行っておきたいのが、来年の国家試験にチャレンジすると職場に宣言し、理解・協力してもらえる人間関係を職場で作っておくことです。

栄養士の職場、特に給食の現場では、急な休日出勤や残業が欠かせません。

普段は積極的に取り組めたり、拒否することが少ない栄養士さんも、この1年はあまり引き受けられないということを、周囲に理解してもらえるようにしておきましょう。

「宣言した手前、落ちたらと思うと言いづらいな…」と思うかもしれません。しかし、体力的にハードな給食の現場を完璧にこなし、現場のフォローもしながら合格できるほど、管理栄養士の国家試験は甘くありません

勉強に集中するためにも、ぜひ勇気を出して試験勉強中であることを伝えてみてください。

会社としても、管理栄養士さんが増えることは企業の信頼に繋がるため、喜ばしいことです。上司はもちろん、現場のみなさんに協力してもらいながら、勉強時間を確保できるようにしましょう。

そのためには、日頃のチームワーク、人間関係作りが大切です!

4.効率の良い勉強法は?

忙しい社会人の方に向けて、効率の良い勉強方法を解説します。

1)過去問で実践的な勉強をする

過去問を使って実践的な勉強をしましょう。過去問には試験で大切な部分がギュッと詰まっており、出題範囲に沿って勉強できるので効率的です。5年~10年分の過去問を用意して、2周・3周と繰り返し解きましょう。

まず過去問を解いてから解答や解説を読みます。解説を読んでも分からない箇所はテキストや参考書を読んで知識を定着させましょう。間違えた問題はノートにまとめておくと、自分だけの対策ノートができ、模試や試験本番前の見直しに役立ちます。

2)定期的に模試で実力を試す

定期的に模試で実力を試しましょう。模試を受けることで、勉強が足りない分野や弱点の分析ができます。また、国家試験本番に近い雰囲気を味わえるため、緊張対策や時間配分の確認もできます。

日本医歯薬研修協会やRDC管理栄養士センターなどで定期的に模試が開催されており、自宅で受験できます。模試を受けた後は必ず問題を見直して、間違えた箇所の分析を行いましょう。

5.気を付けたい!NGな勉強法

限られた時間を無駄にしたいためにも、やってはいけないNGな勉強法を解説します。

1)学生時代の教科書に頼る

学生時代の教科書だけを使った勉強は非効率です。

管理栄養士国家試験の出題範囲は決まっており、教科書の内容が全て出題されるわけではありません。教科書では範囲が広すぎるため、どこを勉強したらいいのか分かりにくくなるでしょう。さらに、学生時代の教科書は、数値などのデータが古い恐れもあります。

できるだけ最新の参考書と過去問集を用意することで、正しい知識を効率的に身に付けられます。勉強のブランクがある社会人の場合、イラストや図表が豊富な参考書の方が知識を定着しやすいのでおすすめです。

2)まとめノートの作成

要点をまとめる「まとめノート」の作成は、効率が悪い勉強法といえます。

管理栄養士の国家試験のように出題範囲が多い試験の場合は、まとめノートの作成だけで時間が過ぎてしまいます。「キレイなノートを作ること」に目的がすり替わってしまうのも欠点です。

全範囲を網羅するまとめノートを作る代わりに、過去問や模試で間違えた問題をピックアップしたノートを作ったり、参考書にメモや付箋で追記したりすると良いでしょう。

6.働きながら勉強するための時間の作り方

働きながら合格を目指す社会人の方が勉強時間を作る方法を解説します。

1)取り組み方を決めメリハリをつける

勉強の取り組み方を決めてメリハリをつけましょう。

平日は、「早朝から勤務がある日は夜」「夜は疲れて集中できないから朝」などシフトや勤務体制に合わせて勉強する時間を決めましょう。休日は、午前と午後どちらかに自由時間を設けて、限られた時間で集中して勉強した方が効率的です。

平日は仕事に支障が出ないように睡眠時間を確保し、休日は適度にリフレッシュ時間を設け、勉強と余暇のメリハリをつけることで、効率よく勉強できます。

2)すきま時間を活用する

忙しくて勉強時間の確保が難しい場合は、すきま時間を有効利用しましょう。

国家試験の勉強ができるアプリや、ポケットサイズの参考書があれば、通勤中や休憩中にも勉強ができます。ほかにも、暗記したいものをまとめて部屋に貼っておく、参考書のテキストを録音して家事や身支度の合間に聞くなど、5分・10分でもできる勉強を続けてみてはいかがでしょうか。

1日のスケジュールを書き出してみると、通勤時間や仕事の休憩時間、家事の時間、寝る前の時間など、すきま時間を見つけられます。

7.おわりに ~現役管理栄養士からメッセージ~

働きながらの管理栄養士国家試験受験には、乗り越えなければならないハードルがたくさんあります。

給食委託会社の栄養士さんからは、「管理栄養士をとっても仕事内容は同じ」と思われがちですが、病院や施設に勤務すると業務内容は180度変わり、栄養管理だけになることもあります。

待遇面でも、管理栄養士免許を持っていると「日勤のみ」「土日休み」の仕事にも就きやすくなることも。

仕事の幅を広げたい、キャリアアップをしたいと思っている人はもちろん、体力的に栄養士の仕事がキツイなあと思っている人にも、管理栄養士へのチャレンジはおすすめです。

本記事の作成元であるエイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』では、栄養士求人も取り扱っていますが、管理栄養士求人になると、求人数はなんと約1.35倍も増加します。

更に、栄養士の資格で受けられる職場は当然管理栄養士も受けられますから、その場合管理栄養士を持っている方が有利になりますよ。

勉強時間を確保するために転職を考えている栄養士さんも、管理栄養士に合格された栄養士さんも、お気軽に栄養士人材バンクにご相談くださいね。
今後のキャリアの幅を広げるためにも、管理栄養士国家試験の合格目指して頑張ってくださいね!


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▼編集者
渡部 早紗(管理栄養士)
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参考文献・サイト

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