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2024.04.01

管理栄養士国家試験の2024年合格率は49.3%!試験の概要から難易度まで徹底解説

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こんにちは!管理栄養士のえぬこです。

この記事にたどり着いたということは、これから管理栄養士の国家試験を控えている方、考えている方でしょうか。

この記事では、管理栄養士国家試験の合格率や難易度、勉強方法の他、最新情報など、元受験生の経験談を交えながらお伝えします。

管理栄養士国家試験に合格するためには、試験の性質に合った対策が必要です。コツコツ頑張れば難しい試験ではありませんが、対策をしなければ合格は遠ざかります。私はというと、不安症なので、3年生の秋ごろから準備を始めていました。

学校の成績が良いからといって、国家試験もサクッと合格できるわけではありません。勉強のコツもお伝えしますので、大学生も既卒の方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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1.受験者数と過去の合格率。難易度は?

管理栄養士の資格取得が難しい理由は?

「管理栄養士の資格取得は難しそう…」と感じる方も多いかもしれません。知識面や、資格取得への道のりの厳しさなど、管理栄養士の資格取得が難しいと思われる理由を解説します。

1-受験者数と過去の合格率

例年、管理栄養士国家試験の受験者数は16,000人~17,000人、合格率は60%前後を推移しています。他の医療系国家資格に比べると少し低く見えますが、実は管理栄養士養成校の新卒の場合は約90%と非常に高いことが特徴です。

では、なぜ全体の合格率が下がるのかというと、養成校卒業後に実務経験を積んでから国家試験を受ける方々の合格率が20%以下とぐっと下がるためです。

膨大な出題範囲を働きながら勉強することになりますから、学生時代と比べて圧倒的に受験勉強の時間を確保するのが難しくなりますね。そのため、合格率が下がり、管理栄養士の国家試験は難易度が高いと言われています。

ところがここ数年、実は管理栄養士国家試験は難化の一途を辿っており、最新の第38回管理栄養士国家試験の合格率は49.4%となりました。

新卒合格率も約80%、既卒/栄養士+実務経験の合格率も10%前後といった厳しい結果は、難化傾向を表していると言って良いでしょう。

2-医療知識が必要

管理栄養士の資格には、食や栄養の知識だけではなく、医療知識が必要です。国家試験の科目には「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」や「臨床栄養学」などがあり、科目の中でも問題の割合が多くなっています。

医療知識は、臓器の機能や身体の仕組みなどを関連づけて理解する必要があり、暗記だけでは解けません。さらに、解剖生理学や生化学の知識も必要になるので、理系に苦手意識があると、難しく感じてしまうでしょう。医師や看護師などと一緒に仕事をするために必要な医療知識が求められるので、勉強の負担が重くなると考えられます。

3-通信教育で資格取得ができない

残念ながら、通信教育では管理栄養士の資格を取得できません。管理栄養士国家試験の受験資格を得るには、栄養士養成施設を卒業後に一定年数の実務経験を積むか、管理栄養士養成施設を卒業することが条件となっています。

受験資格の制限がなく、通信教育で受験勉強ができる「食生活アドバイザーⓇ」などの民間資格と異なり、管理栄養士になるには大学や専門学校への進学が必須です。そのため、管理栄養士を目指すにはお金も時間も必要であり、資格取得が難しいイメージを持たれています。

4-栄養士関係の学校は全て昼間部のみ

栄養士・管理栄養士養成施設は昼間部のみです。現在(令和6年1月時点)、夜間部の養成施設はありません。

栄養士・管理栄養士養成施設では、臨地実習の単位取得が求められます。そのため、日中に病院や保健所などの実習先に向かう必要もあります。日中は通学し、講義を受けたり実験や実習を行ったりするため、仕事をしながら養成施設に通うのは難しいといえるでしょう。

社会人から管理栄養士を目指すには、休職または退職して、養成施設に進学する必要があるため、資格取得のハードルが高くなります。

2.管理栄養士国家試験の概要

令和6年3月3日に実施された、第38回管理栄養士国家試験の概要をご紹介します。

試験日
2024年(令和6年)3月3日(日)

試験地
北海道、宮城県、埼玉県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、沖縄県

受験願書の配布時期
2023年9月中旬より配布

験申込期間
2023年11月20日(月)〜12月8日(金)

受験票の交付
2024年2月15日(木)投函
郵送で受験票が交付されます。2024年2月22日(木曜日)までに受験票が到着しない場合は、厚生労働省の管理栄養士国家試験運営本部事務所に問い合わせましょう。

合格発表
2024年3月29日(金)午後2時
合格者の発表は、厚生労働省サイトの資格・試験情報ページに掲載されます。合格証書は2024年3月29日(金)に投函され、郵送で交付されます。

3.合格基準と、試験内容の傾向と対策は?

とにかく6割解ければ合格基準!

管理栄養士の国家試験は、200満点中120点が合格基準点です。

医師国家試験のように絶対に間違えてはいけない問題や、ケアマネジャーのように各分野で正答率7割が必要、という基準もありません。とにかく200点中120点、6割解ければ良いのです。

問題の出題傾向

管理栄養士の国家試験は、次の9つの分野から問題が出題されています。
ア 社会・環境と健康

イ 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

ウ 食べ物と健康

エ 基礎栄養学

オ 応用栄養学

カ 栄養教育論

キ 臨床栄養学

ク 公衆栄養学

ケ 給食経営管理論

この試験範囲は10年以上変わっていません。養成校の学生さんはもちろん、管理栄養士養成校卒なら誰もが聞いたことのある授業の名前かと思います。

次に、効率よく試験を突破するための勉強方法をお伝えします。

4.効率の良い勉強法とは?

仕事が忙しい既卒の方はもちろん、就活やアルバイトなどと両立しながら国家試験合格を目指す方は、効率よく勉強するようにしましょう。

まずは、どのような分野の問題が出題されるのか分析し、関連の深い単元を一緒に勉強するようにします。例えば、人体の構造と機能及び疾病の成り立ちと臨床栄養学、社会・環境と健康と公衆栄養学などは関連性が高いでしょう。

国家試験対策には、参考書、問題集をそれぞれ1冊ずつ厳選し、1冊を完璧にする気持ちで勉強を進めるようにします。管理栄養士の試験は、6割得点すると合格できます。そのため、試験直前は、合格を目指した試験対策が重要です。試験前には苦手分野は基礎の問題だけおさえるようにし、得意分野は確実に得点に繋がるように極めましょう。

こちらの記事では、働きながら国家試験に合格するためのポイントや勉強方法についてご紹介しています。

管理栄養士国家試験の勉強法!働きながら一発合格を目指すには?

5.合格後の手続きの内容は?

国家試験合格後に免許申請を行うことで、管理栄養士名簿に登録され、免許証が交付されます。管理栄養士国家試験の合格証書が郵送で届いたら、速やかに免許申請を行いましょう。

1)申請書類の申請窓口

住所地の都道府県が申請窓口です。都道府県によって申請受付窓口が異なるため、厚生労働省の管理栄養士免許申請受付窓口一覧を確認しましょう。

2)必要書類

・管理栄養士国家試験合格証書(コピーNG)
・管理栄養士免許申請書(厚生労働省のサイトまたは申請受付窓口にて入手可能)
・戸籍謄本、戸籍抄本、住民票の写し(本籍(外国籍の方は国籍)が記載され、マイナンバーが記載されていないもの)のうちいずれか1通(コピーNG。発行から6ヶ月以内のもの)
・収入印紙 15,000円分
・栄養士免許証の原本またはコピー
・身分証(郵送の場合はコピーを添付)

その他、都道府県や窓口によっては、免許証の交付を通知するための郵便はがきや、郵送にかかる切手等が必要な場合もあります。

3)登録済証明書の申請方法

必要に応じて、管理栄養士登録済証明書の申請を行いましょう。免許登録後、免許証が届くまでは2〜3ヶ月かかります。管理栄養士になったことを職場に早めに申請する必要がある場合は、免許申請時に併せて申込みしましょう。

登録済証明書は厚生労働省へ書類到達後、1か月程度で発行されます。なお、免許申請後には証明書の発行依頼はできません。

手続きの詳細はこちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてくださいね。

国家試験に合格したらすぐにやろう!管理栄養士免許の申請方法

6.おわりに ~現役管理栄養士からメッセージ~

管理栄養士国家試験は、合格率が60%なので、とても難しい試験に聞こえるかもしれませんが、正しく対策をすれば、必ず合格が見えてきます。

そのためには、試験の傾向と対策をつかみ、コツコツ努力を積み重ねていくことが必要です。短期集中的な勉強では突破できませんから、1年間は毎日机に向かって勉強をする気持ちで臨みましょう。

新卒の場合だと、一般的には4年生の夏頃から始める方が多いと思います。ですが、私は大学4年生のときは研究に没頭したかったので、国家試験対策は3年生の秋頃から始めていました。

それでも4年生のときには、毎日1時間程度は参考書を読んだり問題を解いたりして過ごし…余裕を持って新卒1発合格ができました!心配性な方や焦りたくない方は、早めのスタートをおすすめします。

管理栄養士国家試験は、管理栄養士として社会で活躍するために必要な知識の勉強です。取得して10年経った今でも、実務で役立つ知識が身につく勉強だったと実感しています。自分の知識とキャリアを広げることにも繋がりますから、諦めず合格を勝ち取ってくださいね!

また、管理栄養士に合格し仕事を探すときは、本記事の作成元であるエイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』に相談してみてください。

栄養士人材バンクでは、求人の紹介のほか、面接対策なども行っています。栄養士・管理栄養士専門のエージェントなので、細やかで専門的な支援が受けられますよ。
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▼編集者
渡部 早紗(管理栄養士)
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参考文献・サイト

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