1.災害への意識変化と備蓄の見直し
1)災害意識、どう変わった?2024年の管理栄養士・栄養士アンケート結果

2024年は、本当に自然災害の多い年でした。1月の能登半島地震に始まり、4月の豊後水道地震、夏には東北地方の大雨や台風10号が上陸、そして9月にはまた能登半島が大雨に見舞われました。
こうして次々と災害が起こったことで、私たち管理栄養士・栄養士も67.4%のが「備蓄に対する意識に変化があった」と回答しています。
中でも意識変化が大きかったのは中国地方で73.6%。一方で、一番変化の割合が低かったのは東北地方で57.6%でした。
「あれ?これって意識が低いということ…?」と思った方もいるかもしれませんが、これは東北地方が2011年に東日本大震災を経験しているため、もともと防災の意識が高く、しっかりと備えができているからだと考えられます。さすがですよね!
こうして次々と災害が起こったことで、私たち管理栄養士・栄養士も67.4%のが「備蓄に対する意識に変化があった」と回答しています。
中でも意識変化が大きかったのは中国地方で73.6%。一方で、一番変化の割合が低かったのは東北地方で57.6%でした。
「あれ?これって意識が低いということ…?」と思った方もいるかもしれませんが、これは東北地方が2011年に東日本大震災を経験しているため、もともと防災の意識が高く、しっかりと備えができているからだと考えられます。さすがですよね!
2)災害きっかけで備蓄を見直した?具体的な動きをチェック!

2024年の災害をきっかけに、備蓄を見直した管理栄養士・栄養士は50.4%にのぼりました。中でも台風10号の被害があった九州・沖縄地方では、53.8%と特に高い割合に。先ほどの回答とあわせると、「災害を経験すると意識変化がみられ、見直しを行うきっかけとなりやすいんだな」と感じますよね。
日本では、いつどこで災害が起こるか予測できません。だからこそ、定期的に備蓄を見直しておくことが大切です。見直しをするときは、栄養科だけで考えるのではなく、他の職員とも一緒に話し合って、いろんなケースを想定しておくのがポイント。
特に病院や施設では、24時間交代勤務をしている部署との連携がものすごく重要になってきます。
日本では、いつどこで災害が起こるか予測できません。だからこそ、定期的に備蓄を見直しておくことが大切です。見直しをするときは、栄養科だけで考えるのではなく、他の職員とも一緒に話し合って、いろんなケースを想定しておくのがポイント。
特に病院や施設では、24時間交代勤務をしている部署との連携がものすごく重要になってきます。
3)私の施設での事例を紹介します!
私の施設では、年に1回、他部署と一緒に備蓄の見直しを行っています。私たちの施設がある地域は、阪神・淡路大震災を経験している場所なので、ベテランスタッフからはいつもたくさんのアドバイスをもらっています。
「野戦病院みたいな環境で帝王切開の助手を務めた」「呼吸器をつけている患者さんの数より、使える電源が少なくてとにかくパニックだった」なんて生々しいエピソードを聞きくと、普段は唯一無二の「食と栄養のプロ」である私たちも、災害時はまず「職員としてやるべきこと」を済ませてから食事提供業務に就くことになりそうだな…と想像しています。
食事については、「職員には何日もおにぎりしか回ってこなくて、甘いものが食べたかった!」「2日くらいすると癒しも欲しくなってくる」といったエピソードがあったので、職員用の備蓄にはラスクやお菓子系のものも採用しています。命の危険が迫っている状況では些細な話題のように思えるかもしれませんが、職員の食事は「士気を高める」大切な役割も持っているんだな、と感じています。
それから、令和3年の介護報酬改定で、感染症や自然災害時の業務継続計画(BCP)の策定が義務化されたことも大きかったですね。備蓄品の見直し業務も、施設全体で以前よりずっと取り組みやすくなりました。特に予算を管理している部署では、備蓄に対する意識が大きく変わったと実感しています。
実は、私も備蓄食品や飲料水の「保管場所」には8年間も頭を悩ませていました。それが、昨年度やっと専用の倉庫を購入してもらえたんです!介護報酬改定という「国の強いバックアップ」があったことで、一旦多くの課題が解消されました。
「野戦病院みたいな環境で帝王切開の助手を務めた」「呼吸器をつけている患者さんの数より、使える電源が少なくてとにかくパニックだった」なんて生々しいエピソードを聞きくと、普段は唯一無二の「食と栄養のプロ」である私たちも、災害時はまず「職員としてやるべきこと」を済ませてから食事提供業務に就くことになりそうだな…と想像しています。
食事については、「職員には何日もおにぎりしか回ってこなくて、甘いものが食べたかった!」「2日くらいすると癒しも欲しくなってくる」といったエピソードがあったので、職員用の備蓄にはラスクやお菓子系のものも採用しています。命の危険が迫っている状況では些細な話題のように思えるかもしれませんが、職員の食事は「士気を高める」大切な役割も持っているんだな、と感じています。
それから、令和3年の介護報酬改定で、感染症や自然災害時の業務継続計画(BCP)の策定が義務化されたことも大きかったですね。備蓄品の見直し業務も、施設全体で以前よりずっと取り組みやすくなりました。特に予算を管理している部署では、備蓄に対する意識が大きく変わったと実感しています。
実は、私も備蓄食品や飲料水の「保管場所」には8年間も頭を悩ませていました。それが、昨年度やっと専用の倉庫を購入してもらえたんです!介護報酬改定という「国の強いバックアップ」があったことで、一旦多くの課題が解消されました。
2.備蓄品の増加量と備蓄方法
1)災害で備蓄量はどう変化?食料・飲料水の最新状況


2024年の災害後、「ライフラインが途絶えたことを前提とした備蓄品」について、「かなり増やした」と答えた方3.0%、「増やした」が24.6%でした。やはり2024年の災害は、多くの施設で食料や飲料水などの備蓄品を見直すきっかけとなったようですね。
国の防災基本計画では、「災害時備蓄は3日、推奨1週間」とされています。今回のアンケート結果で「増やした」と回答された方々の多くが、これまで3日に満たなかった施設がしっかり3日分備えられるようにしたり、3日分は確保していたけれど1週間近くまで備えられるように増やしたケースだったと考えられます。
日数については、たとえば災害拠点病院では「食料・飲料水・医薬品などを3日分程度備えること」が定められています。介護施設や障害者施設も、自治体ごとに決まりがある場合もありますよね。こうした規定を踏まえつつ、それぞれの施設の実情に合った備えをしておきましょう!
国の防災基本計画では、「災害時備蓄は3日、推奨1週間」とされています。今回のアンケート結果で「増やした」と回答された方々の多くが、これまで3日に満たなかった施設がしっかり3日分備えられるようにしたり、3日分は確保していたけれど1週間近くまで備えられるように増やしたケースだったと考えられます。
日数については、たとえば災害拠点病院では「食料・飲料水・医薬品などを3日分程度備えること」が定められています。介護施設や障害者施設も、自治体ごとに決まりがある場合もありますよね。こうした規定を踏まえつつ、それぞれの施設の実情に合った備えをしておきましょう!
2)みんなはどうしてる?効果的な備蓄方法をチェック!

備蓄の方法として多かったのは、「備蓄品は別で管理して、期限前に使用している」が44.4%、「ローリングストックで適宜給食に含める」が37.5%でした。
自由回答では「備蓄品とローリングストックを両方実施している」という回答も目立ちましたので、併用している施設が多いようですね。
自由回答では「備蓄品とローリングストックを両方実施している」という回答も目立ちましたので、併用している施設が多いようですね。
訓練で実際に非常食を食べる(20代・管理栄養士・病院)
卒園のタイミングで配布する(30代・管理栄養士・こども園)
年に1度の炊き出し訓練に職員にも参加してもらい、消費する(40代・管理栄養士・障害福祉)
卒園のタイミングで配布する方法は、園児や保護者の方々への防災意識付けにもなる画期的なアイディアですよね!コツコツ続けていけば、地域の防災意識を高めることにも貢献できそうです!
また、炊き出し訓練で他部署の職員が災害時備蓄食品を取り扱えるようにしておくのは、いざ被災したとき業務をカバーしあえる理想的な消費方法ですね。読んでいて「これはうちでも真似したい!」と思わず声が出てしまいました。
また、炊き出し訓練で他部署の職員が災害時備蓄食品を取り扱えるようにしておくのは、いざ被災したとき業務をカバーしあえる理想的な消費方法ですね。読んでいて「これはうちでも真似したい!」と思わず声が出てしまいました。
3)どんな食材を備蓄している?水・エネルギー・栄養の視点から解説

備蓄食材は、水、米、缶詰、濃厚流動食などが上位を占めました。
物資が不足した際に優先的に確保すべきは、「水」と「エネルギー」です。みなさんご存じの通り、水、米、缶詰など上位の食材でしっかり補給できます。
「水」と「エネルギー」を確保したら、次に考えたいのが「ビタミンやミネラルの補給」と「食事形態」です。健康な方から嚥下機能が低下している方まで、効率よく栄養を届けるために使いやすいのは、4位にランクインした濃厚流動食や栄養補助食品です。
特に総合栄養食品は、備蓄食材としても本当に優秀なんです。省スペースで調理の手間なく提供できますし、普段から使っている病院や施設が多いので、ローリングストックでの在庫管理もしやすいですよ。
その他では、こんな回答も目立ちました。
物資が不足した際に優先的に確保すべきは、「水」と「エネルギー」です。みなさんご存じの通り、水、米、缶詰など上位の食材でしっかり補給できます。
「水」と「エネルギー」を確保したら、次に考えたいのが「ビタミンやミネラルの補給」と「食事形態」です。健康な方から嚥下機能が低下している方まで、効率よく栄養を届けるために使いやすいのは、4位にランクインした濃厚流動食や栄養補助食品です。
特に総合栄養食品は、備蓄食材としても本当に優秀なんです。省スペースで調理の手間なく提供できますし、普段から使っている病院や施設が多いので、ローリングストックでの在庫管理もしやすいですよ。
その他では、こんな回答も目立ちました。
・レトルト(パウチ)食品
・7年など長期保存可能な保存食
・栄養スープや豚汁
・7年など長期保存可能な保存食
・栄養スープや豚汁
食材の卸業者さんや給食委託会社さんによっては、独自のキットやカタログを作っているところもあるので、商品選びに迷ったら相談してみるのもおすすめです。
きっと、栄養科のメンバーだけでは思いつかなかったアイディアがもらえるはず!また、相談相手に困ったらエイチエのQ&Aも参考にしてみてくださいね。
きっと、栄養科のメンバーだけでは思いつかなかったアイディアがもらえるはず!また、相談相手に困ったらエイチエのQ&Aも参考にしてみてくださいね。
4)災害時備蓄マニュアルはこう作る!見直し頻度と4つのポイント

備蓄の見直し頻度は、年に1回が43.5%と一番高く、次いで「定期的に見直しは行っていない」が22.2%でした。
喫食者の層があまり変化しない施設では、一度マニュアルをしっかり整備すれば、そこまで頻繁に見直しをしなくても問題ないケースが多いのかもしれませんね。
ちなみに私は、次の4つのポイントを意識して、災害時備蓄マニュアルを整備しています。ぜひ、初心者さんやこれから備蓄品やマニュアルを見直すときの参考にしてくださいね。
喫食者の層があまり変化しない施設では、一度マニュアルをしっかり整備すれば、そこまで頻繁に見直しをしなくても問題ないケースが多いのかもしれませんね。
ちなみに私は、次の4つのポイントを意識して、災害時備蓄マニュアルを整備しています。ぜひ、初心者さんやこれから備蓄品やマニュアルを見直すときの参考にしてくださいね。
①飲料水・備蓄食材は「最低3日」を用意する
水は、1人あたり1日3リットルが目安といわれています。備蓄食材で献立を立てて、簡易でもよいので栄養価計算もしておきましょう。
②ライフラインがストップしても提供できるようにする
水道や電気がなくても提供できるか、洗浄ができない場合に食器と食具はどうするか等詳細にシミュレーションしておきましょう。
③食事形態は簡素化して安全を優先する
「刻み以下は全てゼリー食」など大まかな区分けで良いので、食形態に配慮した備蓄を用意しておきましょう。
④管理栄養士・栄養士、調理員が不在でも提供できる体制を作る
管理栄養士・栄養士や調理員がいなくても提供できるよう、マニュアルは施設全体で共有しておきましょう。
水は、1人あたり1日3リットルが目安といわれています。備蓄食材で献立を立てて、簡易でもよいので栄養価計算もしておきましょう。
②ライフラインがストップしても提供できるようにする
水道や電気がなくても提供できるか、洗浄ができない場合に食器と食具はどうするか等詳細にシミュレーションしておきましょう。
③食事形態は簡素化して安全を優先する
「刻み以下は全てゼリー食」など大まかな区分けで良いので、食形態に配慮した備蓄を用意しておきましょう。
④管理栄養士・栄養士、調理員が不在でも提供できる体制を作る
管理栄養士・栄養士や調理員がいなくても提供できるよう、マニュアルは施設全体で共有しておきましょう。
3.まとめ
2024年は日本全国で本当にたくさんの災害が発生しました。私たちは、いつどこで地震や豪雨などの災害が起こるか分かりませんから、日ごろからしっかりとした災害時備蓄とマニュアルの準備が欠かせません。
台風10号を経験した地域で備蓄の見直しをした施設が多かったように、実際に被災すると、その経験が「備えへの意識」を大きく高めることにつながります。勉強会やインターネットでも、被災経験者さんの貴重な体験談をきける機会もたくさんありますので、ぜひアンテナを伸ばして情報を集めてみてください。きっと、あなたのせい施設に役立つヒントがみつかるはずです!
もし備蓄の見直して困ったことや疑問が出てきたときは、エイチエのQ&Aをぜひ活用してくださいね!エイチエには、初心者さんの質問にも優しく丁寧に回答してくれる先輩がたくさんいますので、きっとあなたの悩みを解決する手助けをしてくれるでしょう。
台風10号を経験した地域で備蓄の見直しをした施設が多かったように、実際に被災すると、その経験が「備えへの意識」を大きく高めることにつながります。勉強会やインターネットでも、被災経験者さんの貴重な体験談をきける機会もたくさんありますので、ぜひアンテナを伸ばして情報を集めてみてください。きっと、あなたのせい施設に役立つヒントがみつかるはずです!
もし備蓄の見直して困ったことや疑問が出てきたときは、エイチエのQ&Aをぜひ活用してくださいね!エイチエには、初心者さんの質問にも優しく丁寧に回答してくれる先輩がたくさんいますので、きっとあなたの悩みを解決する手助けをしてくれるでしょう。
参考文献・サイト
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株式会社エス・エム・エス エイチエ会員向け 2024年クリスマスキャンペーン WEBアンケート結果より
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中央防災会議 防災基本計画 令和6年6月
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厚生労働省 BCP義務化について(令和3年介護報酬改定)
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厚生労働省 災害拠点病院の要件3