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2024.10.15

管理栄養士・栄養士の働くやりがいと満足感とは?2,129人のアンケート結果を大公開!

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管理栄養士歴十数年になりました、えぬこです。

今回の記事では、エイチエで実施した「仕事に対するやりがい」に関するアンケート調査の結果報告です。2,129人の管理栄養士・栄養士さんにご回答いただきました。

最近では、他業界でリモートワークの導入や働き方の見直し、ワークライフバランスを考慮する動きが強まっています。このような変化の中で、管理栄養士・栄養士の仕事に対するやりがいや満足度はどのような点で感じられているのでしょうか。

転職を考えている方はキャリアの参考に、考えていない方でも楽しく読んでいただけるようにまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

1.仕事にやりがいを感じている管理栄養士・栄養士は約7割!

「現在の仕事にやりがいを感じていますか?」という質問に対して、「はい」と答えた管理栄養士は71.2%、栄養士は66.8%でした。管理栄養士・栄養士ともに、約7割が仕事にやりがいを感じているというポジティブな結果が得られました。

次に、給与や残業、週休などの勤務条件別に、仕事のやりがいをどのように感じているかを詳しく見てみましょう。

※以下、正社員・契約社員・非常勤・派遣に限る

1)やっぱり大切!?給与×やりがいの関係性

仕事にやりがいを感じているかについて、給与別見るとこのようになりました。月給が25万を超えるまでは、給与が高くなるにつれて「はい」と答える割合が少しずつ増えていっています。

仕事のモチベーションは給与だけでないものの、給与で成果をしっかり評価してもらえると、やりがいも感じやすくなるでしょう。

また、他の医療職種と比較すると、管理栄養士・栄養士の給与は低い傾向にあります。そのため、待遇の良い職場では、より一層やりがいを感じながら充実した仕事ができていると考えられます。

管理栄養士の年収は低い?給料事情を解説

一方、回答数は少ないものの「~10万円」でやりがいを感じながら働いている方は8割以上という結果になりました。

時短勤務や時給制の方々の回答が想定されますが、給与には代え難いやりがいを強く感じられる仕事をしている管理栄養士・栄養士もいることが読み取れます。

2)残業は少ないほうが嬉しい?残業とやりがいの関係性

仕事にやりがいを感じているかについて、残業時間別まとめてみました。

残業時間が多い=やりがいを感じにくい、という結果がでるかと思いきや、意外にもその相関関係はあまり見られないようです。

好きな仕事を長時間続けたい人、スキルアップのためにたくさん働きたい人、残業代でしっかり稼ぎたい人にとっては、残業もやりがいに繋がることがあるかもしれませんね。

残業時間については、給与のように多いほど良いわけでも、少なければつらいわけでもないため、このような結果になったと考えらえられます。

3)休みは多いほうが良い?休みとやりがいの関係性

仕事にやりがいを感じているかについて、週休別にまとめてみました。

残業時間と同じく、休みの多さとやりがいは目に見えるほどの相関性はなさそうです。週休1日以下と週休3日以上にほとんど差がないことが、その証拠と言えるでしょう。


エイチエのQ&Aには

年間休日について

年間休日について

年間休日73日

休日数が少ないことについての相談が数多く寄せられています。週休数とやりがいは直結しにくい結果となりましたが、週休1日以下の環境は体調管理の面を考えるとよっぽど体力がある方以外は推奨できません…。

心と体を壊しては元も子もないですから、求人探しの際にはや週休数と合わせて年間休日にも目を向けると良いでしょう。

よく目にする休日に関する制度の違いは下記の通りです。参考にしてくださいね。
■4週8休
4週間で8日間の休暇が与えられる勤務形態のことを指します。『1週間あたり2日間の休みを確保する』という意味で、週休2日制とほぼ同じ概念です。シフト制の職場が多く採用しています。

年間休日は104~105日のことが多いです。

■週休2日制
「1週間に2日休みが取れる週がある」という意味です。

つまり、毎週必ず2日間休めるわけではなく、1週間に1日しか休めない週があっても、他の週で2日間休むことで調整が可能な制度です。このため、1か月や1年を通して見ると、休日の数にばらつきが出ることがあります。

年間休日は100~110日程度のことが多いです。

■完全週休2日制
毎週必ず2日間の休みが保証される制度です。

完全週休2日制の場合、土日休みであれば1年間で約104日(52週×2日)になります。これに加えて、祝日や特別休暇がある企業では、年間休日が120日を超えることもあります。

年間休日は104日~120日以上のことが多いです。

■週休2.5日制
1週間に2日の完全な休みと半日の休みが取れる制度で、完全週休2日制に比べて若干のゆとりを持たせた働き方です。

年間休日は130日程度のことが多いです。

■週休3日制
毎週3日間の完全な休みがある勤務形態です。完全週休2日制に比べ、休みが多い反面、1日の労働時間が長くなる可能性があります。

年間休日は156日のことが多いです。

4)どこで働くかは大事な要素!就業先別とやりがいの関係性

仕事にやりがいを感じているかについて、就業先別にまとめてみました。

1:就業別のやりがいは学校・行政が1位!

学校や行政の職場では、約80%の方がやりがいを感じています。こうした職場は、倍率の高い公務員試験を突破した管理栄養士・栄養士だけが働ける職場なので、自然とモチベーションの高い方が多いのでしょう。

また、行政の仕事は、国や自治体の栄養政策に関われる唯一の職場なので、やりがいを感じやすいのも納得です。

2:ちょっと意外?病院より高い介護福祉系

管理栄養士・栄養士の就職先として高い人気を誇る病院(69.6%)より、介護施設(72.3%)のほうがやりがいを感じている管理栄養士・栄養士の割合が高いという結果になりました。

介護施設でのやりがいについて寄せられたコメントを紹介します。
・利用者さんとお話ししたり、イベントなどを一緒にしたりすることが楽しい(介護施設・管理栄養士・30代)

・レクリエーションや行事の時に、ありがとうの言葉が聞ける(介護施設・管理栄養士・40代)

・季節のイベント食を通じて入居者様の笑顔が見られたり、栄養指導をしたり、毎日が充実している(介護施設・管理栄養士・50代)
私も長く介護老人保健施設で勤務していて、半年ほど病院での勤務経験もあります。介護施設では、レクリエーションや季節ごとの行事に力を入れられることや、入所期間が長いので利用者さんとゆっくりお話しできることが、大きなやりがいだと思います。

病院のように臨床栄養に特化はしいるわけではありませんが、臨床栄養の知識も使いながら働けるのも魅力です。イベントや行事を楽しみながら、慢性的な疾患を持つ方の栄養管理をしたい方には、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、介護療養院への転職・就職もおすすめです。

3:全体と比べると低め…でも約6割がやりがいを感じている給食委託会社

給食委託会社で「やりがいを感じている」と答えた管理栄養士・栄養士は、約6割という結果になりました。SNSやエイチエのQ&Aでは「人手不足」「長時間労働」「キャリアを積みにくい」といった悩みの声が多く聞かれる給食委託会社ですが、実際は多くの管理栄養士・栄養士がやりがいを持って働いています。

私も10年前に給食委託会社で働いていました。当時は、休みが少なくて給与が低い、残業代が出ない、スキルアップの機会が少ないといった環境が普通だったように思います。

でも最近では、既存のお客さんを大切にして無理な営業はしないとか、採算が合わない現場は撤退といった対応を取る会社が増えてきたようです。更に、厨房運営のプロフェッショナルを育てることに入れている企業も増えている印象です。

何より、管理栄養士・栄養士にとって厨房経験は強い武器なので、重要なスキルを身に付けられる貴重な職場だとも言えます。

栄養管理・栄養指導を目指す管理栄養士に厨房経験は役に立つ?ひとつの結論を出してみた

給食のプロとしてのやりがいを感じるだけでなく、厨房の経験活かして次のステップに進むためのモチベーションを持ちながら働ける分野といえるでしょう。

4:ワースト1位は歯科医院。これから開拓が必要な分野かも?

やりがいが一番低かったのは、歯科医院でした。

歯科医院の求人でよく見かけるのが、
・診療補助や受付業務、診療室の整理整頓
・実際には受付兼歯科助手がメイン
・食育や栄養指導をこれから広げていく予定
まだまだ管理栄養士業務メインで働ける歯科医院は少なく、付随業務にやりがいを感じない場合、満足度も下がりやすいと言えます。

ただし、診療報酬や介護報酬では「口腔・栄養・リハビリテーションの一体化」が注目されているので、歯科に詳しい管理栄養士の需要はこれから増えていくことが期待されます。

現在の診療報酬や介護報酬では評価されていませんが、歯科医院での食事指導のエビデンスが確立されれば、歯科医院での栄養・食事指導に点数がつく日が来るかもしれません。

とはいえ、現状はまだまだ開拓が必要な分野です。多くの職場では、歯科助手や受付などが中心となるため、転職する際は仕事内容をしっかり確認することが大切です。

歯科医院で働く管理栄養士とは?仕事内容や待遇などを紹介!

2.管理栄養士・栄養士がやりがいを感じるポイントは?

管理栄養士・栄養士がやりがいを感じるところについては、以下の結果になりました。
「感謝されること」が一番に挙げられるのは、利益よりも貢献を大切にする医療介護福祉職ならではの結果です。

2位が「食に関する仕事ができている」なのは、医療介護福祉業界で唯一無二の「食と栄養のプロ」として、管理栄養士・栄養士の仕事に誇りを持っている方が多いからだと思います。

やりがいを感じるところについてのフリーコメントでは、このような内容がありました。
・日本の食文化の継承をしていると日々実感している。上の世代から学んだことを次の世代に伝えていくことが使命であり楽しみの一つ。(保育園・管理栄養士・40代)

・子ども達と接することができて楽しいし、美味しいって言いながら食べている様子を見られるから(保育園・栄養士・40代)

・患者さんから検査値等の改善を嬉しそうに伝えられた時(病院・管理栄養士・20代)

・食を通して利用者の喜びや楽しんでいるのを体験した時(介護施設・管理栄養士・40代)
また、病院や介護施設では30代を中心に、キャリアを意識した回答も多くみられました。
・NSTができる(病院・管理栄養士・30代)

・ここに勤めるようになってから、外部講師などをする機会を得ることができた(病院・管理栄養士・40代)

・化学療法室での栄養指導の開始や周術期加算の算定、ICU早期栄養介入管理加算などの取り組みより経験を積むことが出来る(病院・管理栄養士・30代)

・新たな資格取得サポートをしてくれる。(介護施設・管理栄養士・30代)

3.仕事にやりがいがあると、満足度もアップ!

現在の勤務先に満足しているかとやりがいの有無については以下の通りでした。
仕事にやりがいを感じている人の半数以上は、勤務先に「とても満足」「やや満足」とポジティブな評価をしています。一方で、やりがいを感じていない人は、職場に対する「やや不満」「とても不満」といったネガティブな意見が増える傾向がありました。

転職をお考えの方は、本記事のやりがいポイントを鑑みて新しい職場を探すと、満足度の高い職場に出会えるかもしれませんね。

4.やりがい別!今の勤務先に満足していないこと

次に、今の勤務先に満足していないという点について、仕事にやりがいを感じている人と感じていない人に分けてみました。
仕事にやりがいを感じている人は、給与や人手不足、通勤時間といって仕事内容以外のことが上位に挙げられています。フリーコメントでも、仕事内容以外の条件や環境についての「不満がある」という意見が目立ちました。
・働き方の選択肢(在宅ワークなど)がない(保育園・管理栄養士・30代)

・中堅層が結婚や出産でやめていくため、新人が多く、教育が大変(病院・管理栄養士・20代)

・時短勤務が3歳で終了になり、時短勤務終了後の働き方が融通きかないこと。(介護施設・管理栄養士・30代)

・勤務時間や物品購入など公的機関なための制約が多い。(学校・管理栄養士・40代)
一方、仕事にやりがいを感じていない人は、給与の次に「スキルアップができない」、さらにその次に「やりたい仕事ができない」と回答しています。
・保育園自体、保育園給食や食育にあまり興味がない。(保育園・管理栄養士・40代)

・医師や看護師主体で栄養管理をするため、やりがいを感じない。(病院・管理栄養士・30代)

・本来の栄養士業務ができない(給食委託会社・管理栄養士・40代)

5.やりがいを持って働くには「やりたいこと&スキルアップ」を重視して!

やりがいと満足していないことに関するアンケート結果から、やりがいを感じられない主な理由として「スキルアップができない」「やりたい仕事ができない」という点がハッキリとわかりました。

つまり、
・管理栄養士・栄養士として自分がやりたいことができること

・自分が目指す姿に向けてスキルアップができる環境であること
転職時を考える際には、残業時間や休日、通勤時間といった条件面だけでなく、自分のやりたいことができるかを最優先に考え、その後求人を絞り込んでいくことをおすすめします。

また、「やりたいこと」と「目指す姿」を具体的にするためには、「自己分析」にも取り組むと良いでしょう。自己分析は「自分のことを徹底的に知り尽くすこと」を指します。自己分析を通して、本当にやりたいことを明確にすることが、やりがいをもって働ける職場探しの第一歩です。

管理栄養士・栄養士の後悔しない求人の探し方!手順とコツを教えます。

6.さいごに

やりたいことができる仕事や、スキルアップできる環境は、やりがいをもって働くためにとても大切です。もし今の環境ではやりたいことができなかったり、やりがいを感じられないと思ったら、自己実現ができる環境を目指して転職活動を始めるのも良いかもしれません。

自分がやりたいことや目指す姿が定まっていない方、どの職場なら自己実現できそうかの相談がしたい方は、エイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』にご相談ください。キャリアパートナーが親身に面談、やりたい仕事探しのお手伝いをさせていただきます。お気軽にご連絡くださいね。

【実録】管理栄養士・栄養士の転職エージェントって実際どうなの?栄養士人材バンクの体験談

参考文献・サイト

  • 株式会社エス・エム・エス エイチエ会員向け 2023年クリスマスキャンペーン WEBアンケート結果より

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