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心不全患者の身体機能がたんぱく質・アミノ酸の摂取で向上
2026.03.30
金沢医科大学と信州大学は3月26日、共同プレスリリースを発表し、心不全患者に対するたんぱく質やアミノ酸の摂取が身体機能に与える影響を検証した結果を公表した。
運動困難な高齢者にとっても実用的支援策となる見通し
金沢医科大学と信州大学は3月26日、共同プレスリリースを発表し、心不全患者に対するたんぱく質やアミノ酸の摂取が身体機能に与える影響を検証した結果を公表した。身体機能の向上支援に有効であったという。
研究は、金沢医科大学病院リハビリテーションセンターの前田大忠理学療法士と、信州大学医学部保健学科基礎理学療法学の北川孝准教授を中心とするグループによるもので、世界中で発表された過去の研究データを収集して統計的な分析・評価を行い、検証を進めた。研究の成果は1月9日付で日本循環器学会電子ジャーナル「Circulation Reports」に掲載されている。
心不全は世界で2,600万人以上が罹患しており、高齢化に伴ってその有病率はさらに上昇傾向にある。高齢の心不全患者では、疾患による炎症や食欲不振などから栄養状態が悪化し、筋肉の衰えと心身の虚弱が進む、サルコペニアやフレイルを生じやすいことが問題になっている。こうした筋力低下はQOLの悪化はもちろん、再入院や死亡のリスクを高めることにもなる。
心不全治療においては運動療法が重要とされているが、高齢でフレイル状態の患者の場合、十分な運動が難しい人も少なくない。またこれまでの研究では結果に一貫性がなく、明確な治療指針もなかった。一方で筋肉の合成を促し、身体機能の維持向上に役立つとされるたんぱく質やアミノ酸の摂取は、運動困難な患者のための代替手段として期待できるとも考えられてきた。
研究は、金沢医科大学病院リハビリテーションセンターの前田大忠理学療法士と、信州大学医学部保健学科基礎理学療法学の北川孝准教授を中心とするグループによるもので、世界中で発表された過去の研究データを収集して統計的な分析・評価を行い、検証を進めた。研究の成果は1月9日付で日本循環器学会電子ジャーナル「Circulation Reports」に掲載されている。
心不全は世界で2,600万人以上が罹患しており、高齢化に伴ってその有病率はさらに上昇傾向にある。高齢の心不全患者では、疾患による炎症や食欲不振などから栄養状態が悪化し、筋肉の衰えと心身の虚弱が進む、サルコペニアやフレイルを生じやすいことが問題になっている。こうした筋力低下はQOLの悪化はもちろん、再入院や死亡のリスクを高めることにもなる。
心不全治療においては運動療法が重要とされているが、高齢でフレイル状態の患者の場合、十分な運動が難しい人も少なくない。またこれまでの研究では結果に一貫性がなく、明確な治療指針もなかった。一方で筋肉の合成を促し、身体機能の維持向上に役立つとされるたんぱく質やアミノ酸の摂取は、運動困難な患者のための代替手段として期待できるとも考えられてきた。
幅広い世代で6分間歩行距離が大きく改善
研究グループでは、744人の患者が参加した15件のランダム化比較試験を分析し、検証を進めた。
まず主要評価指標とした6分間歩行距離は、たんぱく質とアミノ酸の摂取群で、対照群に比べ平均35.3㍍の有意な改善が確認できた。この効果がどういった条件の人にも共通してみられるか調べるため、さらに詳細分析を行ったところ、次のことも判明した。
第一に、たんぱく質とアミノ酸を摂取するだけの人たちの群と、運動療法をしながら摂取する人たちの群で比較を行ったところ、効果にほとんど差はなかったという。ここから運動とは関係なく、摂取だけでも身体機能の改善に役立つ可能性が考えられた。
第二に、65歳以上の高齢患者群と、65歳未満の比較的若い患者群を比べたところ、いずれの年齢層でも同じように6分間歩行距離が大きく改善、年齢に左右されない効果であることが確認できた。
また、副次評価項目とした筋力や体組成、安全性に関してだが、握力や体組成については、たんぱく質とアミノ酸の摂取による目立った改善は認められなかった。
しかし、腎臓の機能が損なわれるといったことはなく、下痢や吐き気などの副作用頻度における増加傾向も示されなかったため、たんぱく質とアミノ酸の摂取による安全性に関しては、特段の問題がないと考えられた。
研究グループはこれらの結果を踏まえ、たんぱく質とアミノ酸の摂取が心不全患者の身体機能(体の動かしやすさ)を向上させるための実用的戦略となることが明らかになったとした。
中でも運動療法が困難な高齢の心不全患者に対し、身体機能の維持向上を支援する補完的介入法として、この栄養補給による手段が有用である可能性が高まった。
今後はたんぱく質とアミノ酸の摂取と、運動療法の組み合わせについて、筋力や体組成といった他の指標に与える影響がどうか、さらなる研究が期待されるともしている。
(画像はプレスリリースより)
まず主要評価指標とした6分間歩行距離は、たんぱく質とアミノ酸の摂取群で、対照群に比べ平均35.3㍍の有意な改善が確認できた。この効果がどういった条件の人にも共通してみられるか調べるため、さらに詳細分析を行ったところ、次のことも判明した。
第一に、たんぱく質とアミノ酸を摂取するだけの人たちの群と、運動療法をしながら摂取する人たちの群で比較を行ったところ、効果にほとんど差はなかったという。ここから運動とは関係なく、摂取だけでも身体機能の改善に役立つ可能性が考えられた。
第二に、65歳以上の高齢患者群と、65歳未満の比較的若い患者群を比べたところ、いずれの年齢層でも同じように6分間歩行距離が大きく改善、年齢に左右されない効果であることが確認できた。
また、副次評価項目とした筋力や体組成、安全性に関してだが、握力や体組成については、たんぱく質とアミノ酸の摂取による目立った改善は認められなかった。
しかし、腎臓の機能が損なわれるといったことはなく、下痢や吐き気などの副作用頻度における増加傾向も示されなかったため、たんぱく質とアミノ酸の摂取による安全性に関しては、特段の問題がないと考えられた。
研究グループはこれらの結果を踏まえ、たんぱく質とアミノ酸の摂取が心不全患者の身体機能(体の動かしやすさ)を向上させるための実用的戦略となることが明らかになったとした。
中でも運動療法が困難な高齢の心不全患者に対し、身体機能の維持向上を支援する補完的介入法として、この栄養補給による手段が有用である可能性が高まった。
今後はたんぱく質とアミノ酸の摂取と、運動療法の組み合わせについて、筋力や体組成といった他の指標に与える影響がどうか、さらなる研究が期待されるともしている。
(画像はプレスリリースより)
参考文献・サイト
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