◆美容医療の適正化やオンライン診療の法制化も
社会保障審議会・医療部会は昨年末に「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」をとりまとめている。厚労省に対し、所要の検討を進めて可能なものから速やかに取り組み、着実にその実施を図ることを求めている。
医療部会の意見は、(1)新たな地域医療構想、(2)医師偏在対策、(3)医療DXの推進、(4)美容医療の適切な実施、(5)オンライン診療-の5つのテーマで構成されている。このうち、(1)と(2)については、医療部会での審議も踏まえ「新たな地域医療構想等に関する検討会」がとりまとめた内容を盛り込んでおり、(2)には「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」の取り扱い事項(臨時定員・地域枠、臨床研修)も含まれている。
(3)については、電子カルテ情報を医療機関・薬局などで共有する「電子カルテ情報共有サービス」を法的に位置付け、25年度中に本格的に稼働させるほか、電子カルテシステムを未導入の医療機関には「標準型電子カルテ」などの導入を進める。標準型電子カルテは3月よりα版(試行版)の提供を開始。モデル事業については3月から開始予定で、政府はモデル事業の状況を踏まえ標準型電子カルテの本格実施の時期を検討する。
(4)は、近年、美容医療が提供される件数の増加に伴い、患者による相談件数や身体に危害を受けた相談事例も増加していることを受け、「美容医療の適切な実施に関する検討会」がまとめた報告書を盛り込んだ。美容医療を行う医療機関などの報告・公表を行う仕組みの導入、保健所などによる立ち入り検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化、関係学会によるガイドライン策定などの対策を行う。
(5)では、現行制度の運用を活かす形で、医療法にオンライン診療に関する規定を設けるべきとしている。厚労省はすでに、総体的な規定を設けたうえで、通所介護事業所などを想定する「特定オンライン診療受診施設」を定め、オンライン診療を行う医療機関と連携する仕組みを構築する方針を示している。
医療部会の意見は、(1)新たな地域医療構想、(2)医師偏在対策、(3)医療DXの推進、(4)美容医療の適切な実施、(5)オンライン診療-の5つのテーマで構成されている。このうち、(1)と(2)については、医療部会での審議も踏まえ「新たな地域医療構想等に関する検討会」がとりまとめた内容を盛り込んでおり、(2)には「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」の取り扱い事項(臨時定員・地域枠、臨床研修)も含まれている。
(3)については、電子カルテ情報を医療機関・薬局などで共有する「電子カルテ情報共有サービス」を法的に位置付け、25年度中に本格的に稼働させるほか、電子カルテシステムを未導入の医療機関には「標準型電子カルテ」などの導入を進める。標準型電子カルテは3月よりα版(試行版)の提供を開始。モデル事業については3月から開始予定で、政府はモデル事業の状況を踏まえ標準型電子カルテの本格実施の時期を検討する。
(4)は、近年、美容医療が提供される件数の増加に伴い、患者による相談件数や身体に危害を受けた相談事例も増加していることを受け、「美容医療の適切な実施に関する検討会」がまとめた報告書を盛り込んだ。美容医療を行う医療機関などの報告・公表を行う仕組みの導入、保健所などによる立ち入り検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化、関係学会によるガイドライン策定などの対策を行う。
(5)では、現行制度の運用を活かす形で、医療法にオンライン診療に関する規定を設けるべきとしている。厚労省はすでに、総体的な規定を設けたうえで、通所介護事業所などを想定する「特定オンライン診療受診施設」を定め、オンライン診療を行う医療機関と連携する仕組みを構築する方針を示している。
◆新構想では地域の医療提供全体の課題解決へ
ここでは、(1)に注目すると、26年度以降の新たな地域医療構想(以下、新構想)は、入院医療だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携などを含む、医療提供体制全体の課題解決を図る構想とする。85歳以上の増加や人口減少がさらに進む40年とその先を見据えれば、すべての地域・世代の患者が適切に医療・介護を受けながら生活し、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができ、同時に、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を構築していく必要があるからだ。
この新構想では、「医療機関機能」が最大のキーワードとなる。限りある医療資源を最適化・効率化しながら、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築するため、医療機関(病床機能報告の対象)から都道府県に対して医療機関機能を報告する仕組みを創設する。
医療機関機能としては、次の5つを定義している。
【高齢者救急・地域急性期機能】
高齢者をはじめとした救急搬送を受け入れ、入院早期からのリハビリテーション・退院調整を行い、早期退院につなげて退院後のリハビリテーションなどの提供を確保
【在宅医療等連携機能】
地域での在宅医療の実施、他の医療機関や介護施設などと連携した24時間の対応や入院対応
【急性期拠点機能】
手術や救急医療などの医療資源を多く要する症例を集約化した医療提供
【専門等機能】
集中的なリハビリや中長期にわたる入院医療機能、一部の診療科に特化し地域ニーズに応じた診療など
【医育及び広域診療機能】
大学病院本院が担う医師派遣や医療従事者の育成、広域な観点が求められる診療(移植・難病医療、三次救急など)の総合的な提供と、都道府県との必要な連携
一定の基準を設けたうえで、医療機関がこれらの機能を確保していること、今後の方向性などについて報告を求めることが想定されている。
この新構想では、「医療機関機能」が最大のキーワードとなる。限りある医療資源を最適化・効率化しながら、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制を構築するため、医療機関(病床機能報告の対象)から都道府県に対して医療機関機能を報告する仕組みを創設する。
医療機関機能としては、次の5つを定義している。
【高齢者救急・地域急性期機能】
高齢者をはじめとした救急搬送を受け入れ、入院早期からのリハビリテーション・退院調整を行い、早期退院につなげて退院後のリハビリテーションなどの提供を確保
【在宅医療等連携機能】
地域での在宅医療の実施、他の医療機関や介護施設などと連携した24時間の対応や入院対応
【急性期拠点機能】
手術や救急医療などの医療資源を多く要する症例を集約化した医療提供
【専門等機能】
集中的なリハビリや中長期にわたる入院医療機能、一部の診療科に特化し地域ニーズに応じた診療など
【医育及び広域診療機能】
大学病院本院が担う医師派遣や医療従事者の育成、広域な観点が求められる診療(移植・難病医療、三次救急など)の総合的な提供と、都道府県との必要な連携
一定の基準を設けたうえで、医療機関がこれらの機能を確保していること、今後の方向性などについて報告を求めることが想定されている。
◆構想区域は必要に応じ変更、調整会議は議題に応じ実施
機能区分ごとの必要病床数の推計および病床機能報告は、全体で医療需要を捉える仕組みとして一定の役割を果たしてきたことから、制度を維持する。ただし、病床機能4区分のうち、これまでの「回復期機能」については、40年に向けて増加する高齢者救急などの受け皿として急性期と回復期の機能を併せ持つことが重要となることを踏まえ、「包括期機能」に改める。
構想区域は引き続き二次医療圏を基本としつつ、医療需要の変化や医療従事者の確保など医療提供体制上の課題がある場合には必要に応じて見直す。広域な観点での区域は都道府県単位(必要に応じて三次医療圏)で設定し、在宅医療などについては、地域の医療・介護資源の実情に応じて、市町村単位や保健所圏域など、より狭い区域を設定する。地域医療構想調整会議には、議題に応じて、医療関係者、介護関係者、保険者、都道府県、市町村などの必要な関係者が参画し、医療機関の経営状況といった地域の実情も踏まえながら、実効性のある協議を実施することを求める。
構想区域は引き続き二次医療圏を基本としつつ、医療需要の変化や医療従事者の確保など医療提供体制上の課題がある場合には必要に応じて見直す。広域な観点での区域は都道府県単位(必要に応じて三次医療圏)で設定し、在宅医療などについては、地域の医療・介護資源の実情に応じて、市町村単位や保健所圏域など、より狭い区域を設定する。地域医療構想調整会議には、議題に応じて、医療関係者、介護関係者、保険者、都道府県、市町村などの必要な関係者が参画し、医療機関の経営状況といった地域の実情も踏まえながら、実効性のある協議を実施することを求める。