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2022.12.19

【前編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

カバー画像:【前編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

こんにちは。現役老健管理栄養士のえぬこです。

「栄養士、辞めたい」
「念願の栄養士なんだけど、なんだか合わない…」
「せっかく免許をとったのに、辞めたいなんて…」

と悩んでいる栄養士さんはいませんか?

実は、私も一度栄養士を辞めたことがあります。その時は「せっかく念願の栄養士になったのに、免許がもったいないな…」という気持ちがありました。

その後、紆余曲折あって、今は管理栄養士の仕事をしている私ですが、「一度栄養士から離れてみて良かった。視野が広がった。」と思っています。

今回の記事では、あの頃の私と同じように、栄養士から離れて一般企業に行くこと、そしてこれから栄養士業界に戻ってこようか悩んでいる人へ経験談とアドバイスをお話しします。

少し長くなるので2部作になりますが、ぜひ読んでみてくださいね。

1.私のキャリア

プロフィールにも記載の通り、私は『給食委託会社→一般企業→管理栄養士として医療法人に復帰』というキャリアを歩んでいます。一度は悩む方が多い「一般企業経験からの出戻り経験者」です。
給食委託会社から転職し、大企業の子会社で社員数10名程度の教育教材関係企業にて企画の仕事をしていました。少人数の会社でしたから、企画といっても栄養士と同じくある意味何でも屋さんでした。

通信教育教材の編集、講習会の企画、SNS運用、電話対応、時には飛び込み電話営業まで、色々な仕事をしていました。今では全て良い経験です。

私は管理栄養士として長く働いていますが、意外と一般企業経験者の方と出会いません。

つまり、悩んでいる栄養士さんは、一般企業に転職後、またこの業界に戻ってきた人の話を聞く機会もあまりないのかな?と思います。

なので、今回は私の経験を包み隠さず話したいと思います。

一度、管理栄養士・栄養士から離れた職を経験したい…でも、『資格を活かさなくて本当に良いのか?』『戻ってきてまた栄養士としてやっていけるのか?』と、悩んでいる方の一助になると嬉しいです。

2.私が給食委託会社から一般企業へ転職した理由と心境

まずは、私が給食委託会社から一般企業に転職した理由と心境をお話ししますね。

1)もうとにかく!今すぐに!転職したかった

給食委託会社の仕事がハードすぎて、とにかくすぐに辞めたかったんです。休日出勤、違法な長時間労働、助けてくれる人がいない…当時の私はそんな環境で働いていました。

私が給食委託会社に勤めていた頃は『コンプライアンスを尊重するべき!働き方改革!』なんて風潮は全くなかった時代です。今でもハードな環境で働く委託栄養士さんが多いので、当時の労働環境も想像しやすいのではないでしょうか。

そうは言っても、気長に病院や介護施設を探して一貫性のあるキャリアを作りたい気持ちもありました。でも、通える範囲に管理栄養士求人はなかなか無かったんですよね。栄養管理中心で働ける管理栄養士の職場は今より少なく、求人が出ないから応募も転職もできない…。

ところが、一般企業の求人数は圧倒的でした。自然と興味が持てる仕事も一般企業が多かったです。病院や介護施設の求人を待っていたら、自分が壊れてしまいそうだったので、一般企業に転職をしました。

2)栄養士以外の社会を知りたかった

管理栄養士の求人を待てなかったのが本音ですが、『栄養士以外の社会を知りたい』という強い気持ちがあったのも事実です。

私たちの業界って、少し特殊ですよね。仕事で悩んだときに、一般企業で働いている人とは悩みの共有ができなかったり、なんだかうちの業界だけ特殊すぎる?と思ったりして、悩んだことあります。

特に給食委託会社での勤務は周囲との人間関係が特殊です。特殊すぎるということは、なんだか世間からは「おいてけぼり」な気もしましたね。

なので、外の世界も見てみたいと思いました。当時興味があったのは、IT関係やメディアなど、デスクワークでのモノづくり関係のお仕事や、栄養士の仕事で培ったPCスキルを活かした事務職などでした。

3)「管理栄養士免許は一生もの!」だから一般企業へ行く決心ができた!

なんとなく栄養士を辞めたいと思っていても、辞める決心がつかない方も多いのではないでしょうか。私も、免許がもったいない気持ちや、親に申し訳ない気持ちもありました。

でも、私は当時から「管理栄養士免許は一生ものなので、一般企業に行っても必ず戻って来られるに違いない!」と強い気持ちを持っていました。そして、それは現実だったなと実感しています。

管理栄養士免許は更新制ではないので、一般企業に転職しても管理栄養士を名乗れるし、就職先が見つかればいつでも管理栄養士として戻って来られます。10年前も戻ってきた今もその気持ちは変わりません。

3.一般企業へ転職して感じたこと

次に、一般企業に転職して感じたことをお伝えします。

1)栄養士業界とのギャップ・驚いたこと

一般企業と栄養士業界は環境から組織形態まで違うことばかりでした。
・残業が夜だけ、土日休みは驚くほど体が楽
転職先にもよりますが、シフト制ではない上に、勤務時間が日勤帯だけで残業なしだと、体力の回復が早いことは一般企業に行ってとても実感しました。

・上司は部下の仕事・判断に責任を持ってくれる
栄養士時代は1名体制の期間もあり、上司は栄養士ではない環境でした。なので、栄養士のミスは栄養士のミス、ひどい時には調理師や調理補助さんのミスも全部栄養士の責任になることもしばしば。

でも、転職先の企業では「上司は部下の仕事に責任を持ってくれる風土」がありました。年齢を重ねると、責任と裁量権があるポジションも働きやすいかもしれませんが、若かった私には上司や先輩の存在がとても心強かったです。

・世間は広い!若い私には可能性がたくさんある!
若いビジネスマン・ビジネスウーマンにはたくさんの可能性があることも実感しました。

会社の利益になりそうな企画を提案すると、驚くほどスムーズに話が進んだり、取引先の方にも褒めてもらえたり。給食業界は決まり事が多い仕事ですが、一般企業では自由な発想で仕事ができました。

2)委託の経験で活かせたこと

委託給食会社で培った、報連相(報告・連絡・相談)のマメさと、フットワークの軽さが思いのほか活かせました。

報連相と一言でいうと簡単なことに見えますが、周囲と細かい情報を共有しておくことができない社会人は、意外とたくさんいます。

委託栄養士は、自分の仕事が誰かの仕事に繋がっているという認識が重要な仕事で、本社やクライアント、調理師やパートさんと常に連携して仕事をしていますよね。なので、細かい報連相ができることは、私の強みでした。

また、私の転職先はホワイト企業でしたが、稀に休日出勤もありました。土日に誰かが出ないといけない…というシーンで、何の抵抗もなく手を挙げられたのは、委託時代の経験があったからだと思います。

給食の仕事では、休日出勤なんて日常茶飯事でしたからね(笑)

あまり褒められたものではないかもしれませんが、休日出勤や出張に対するフットワークの軽さは重宝されたかなぁと思います。

3)あまりの違いに戸惑ったこと

一般企業の場合、役職がない社員・新人には、栄養士時代のような重く圧し掛かる「責任」と「裁量」がない環境というに、戸惑うことが多かったです。

転職先は風通しが良い反面、何事も細かく報告する必要があり、その後の判断・責任は全て上司の仕事という役割分担でした。メンバーとしては精神的負荷も軽かったですが、「どこまで自分が介入するのが正解なんだろう…?」と線引きに難しさを感じました。

同時に、委託時代を思い返すと「やっぱり新人栄養士には責任の重い仕事だったなぁ…」と実感しました。特に委託では自分が休んだり病気になったりしたら、食事サービスが止まってしまう…そんな環境にいる方も多いのではないでしょうか。

4.一番は心身の健康とやりたいことの実現!

栄養士を辞めようかな、違う仕事をしてみたいなと思っている方の中には、心身の疲弊が限界に近い方もいることでしょう。

もしこのまま続けていたら心と体に悪影響を来す環境にいるなら、すぐに転職した方が良いと思います。健康を犠牲にする仕事を無理に続けるなんて、とても辛いことです…。

今の仕事がやりたいことじゃないのかな?違和感があるな…と思っている方は、徹底的に自己分析をしてみましょう。先ほども少しお伝えした通り、管理栄養士・栄養士の求人数と一般企業の求人数は雲泥の差です。世の中には驚くほどたくさんの仕事があります。

学生時代はやってみたい!と思ったけど、自分のやりたいことはコレじゃなかったのかもしれない…。そうと思ったときは、キャリアチェンジも視野に入れてみましょう。

最近は、web面談で一次面接ができる会社もあるほど、気軽に転職活動の第一歩を踏み出せるようになりましたよ。

実際に転職したり、転職活動をして外の世界を見ることで、私のように「やっぱり栄養士がいい」と思うきっかけになるかもしれません。

5.【前編】まとめ

今回は、私が一般企業に転職した理由を中心にお伝えしました。次回は、嫌でたまらなくなって辞めた栄養士なのに、どうして戻ってきたくなったのかを中心にお話ししたいと思います。

エイチエには、「もう栄養士やめたい…」と悩んでいる栄養士・管理栄養士さんからの相談がたくさんありますが、相談の数以上にたくさんの応援やアドバイスがあります。

栄養士を辞めたいのに辞められません

栄養士辞めたいって思ったことありますか?

委託栄養士として働く新社会人ですが仕事辞めたいです。

私は「栄養士が嫌なら離れよう、今の環境が嫌なら転職しよう!」と考える派ですが、質問の回答には、その職場を続けるための改善策や、他の職場で栄養士として活躍するためのアドバイスをくれる先輩もたくさんいます。

エイチエでのやりとりでは顔は見えませんし、名前もわかりません。でも、だからこそ優しさにも厳しさにも本音が出ると思います。悩んだときの参考に、エイチエQ&Aも活用してみてください。

また、本記事の作成元であるエイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』では管理栄養士・栄養士経験を活かし、転職サポートの場で活躍できる方を募集しています。

一般企業への転職をお考えの方は、栄養士人材バンクのキャリアパートナー職募集もチェックしてみてくださいね。

日本の医療介護を支えるキャリアパートナー募集! / 株式会社エス・エム・エス

▼後編はこちらから

【後編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

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