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2023.08.17

【後編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

カバー画像:【後編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

こんにちは。現役老健管理栄養士のえぬこです。
今回の記事は、“【前編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~“の続きです。

前編では、私が管理栄養士を辞めるまでを中心にお話しました。後編では、管理栄養士の仕事に戻ってくるまでのお話しと、同じような悩みを抱えている人に向けたエールとアドバイスを送りたいと思います。


▼前編はこちらから

【前編】私も一度栄養士を辞めました。~一般企業からの出戻り体験記~

1.「将来を見据えたキャリア作りをしたかった」から管理栄養士に戻ってきた!

栄養士の世界から外へ出てみると『事務職もいいな~ITもいいな~』と色々興味を持ちましたが、結局どの仕事も「コレだ!」と決めて、先のキャリアを思い浮かべることができませんでした。

外の世界を経験し、無限に広がる選択肢の中で、私が具体的なキャリアプランを描けた仕事は管理栄養士だけだと気付いたのです。

加えて、一般企業の仕事では将来のキャリアが見えないということは、本質的に適性のある仕事ではないのかな?とも感じました。

また、一般企業では、結婚や妊娠・出産後に正社員で復帰・転職することの難しさを目の当たりにすることが多く、資格職の強みについて考える機会にもなりました。

例えば、このような対比です。
私は年齢を重ねても、結婚などでライフスタイルが変わっても、自立できる働き方を続けたかったので、管理栄養士の世界へ戻りたい気持ちが高まっていきました。

2.管理栄養士を諦められなかった3つの気持ち

次に、管理栄養士を諦められなかった3つの気持ちについてお伝えしたいと思います。

1)管理栄養士として思い描いていた未来を諦めたくなかった

共感してくれる方も多いと思うのですが、私は新卒の頃「給食委託会社で3年働き、その後病院で栄養指導やNSTに従事する管理栄養士になる!」というキャリアプランを思い描いていました。

新卒で就職した給食委託会社がブラック企業だったため急いで転職してしまったけれど、実は心の奥底で「勿体なかったかもなあ…」という気持ちがずっとありました。

『栄養士の労働環境=全てが悪』ではない。『典型的なブラック企業に就職してしまった=劣悪な労働環境だった』のだと、若い頃の私は気付けなかったのです。

しかし、一般企業に転職したおかげで「会社が変わるだけでこんなに環境が違うなんて!」と、新卒時の就職先の異常な部分にたくさん気付けました。

そして

働きやすくて管理栄養士として活躍できる場所は必ずある!あんなブラック企業に学生時代の夢を潰されるなんて悔しい!

という思いが沸々と湧いてきて、再度管理栄養士としての転職を決意しました。

夢を叶えたことで自信にも繋がりましたし、転職をして数年たった今でも、夢を潰されなくてよかった!!と、強く思います。

2)給食委託会社から転職して栄養管理をするキャリアを叶えたかった

『給食管理⇒栄養管理』のキャリアプランを考えていたものの、実は私の周りにはそのキャリアを叶えた人がほとんどいませんでした。

クライアント側の管理栄養士さんは委託経験がない人が多く、大学時代の同級生で管理栄養士を続けているのは新卒時に医療法人や社会福祉法人に就職した子ばかり。給食委託会社へ就職した同級生や新卒採用の同期も、ほとんどが退職して栄養士をしていなかったり…。

周りにいないからこそ、学生時代に描いた「給食委託会社で給食管理を学んだ後、栄養管理ができる職場へ転職というキャリアプランは間違っていたのか?いや…そんなことはないはず!絶対に実現したい!という気持ちがどんどん大きくなっていきました。

3)自分に合った栄養士の職場は必ずある!と信じたかった

前述の通り、私が栄養士を辞めた理由は、栄養士の仕事が嫌いだったからではなく、ブラック企業に就職してしまったからです。

では仮に、自分に合った環境で栄養士ができたら…?

・管理栄養士としてやりたい仕事があったのに…!
・それが叶う環境は必ずあるはず!絶対に見つかる!
・職場が違えば労働環境も違う…つまり、委託時代とは違った栄養士の働き方がきっとあるはず!


一般企業でも毎日楽しく仕事をしていたのですが、こういった気持ちが栄養士に戻りたい・転職したい気持ちや悩みに変わり、自分に合った栄養士の職場を探したいなと思いました。

3.管理栄養士に戻ってきてからの心境

管理栄養士の世界に戻るときに不安だったことは、「もしもまた、ブラック企業だったらどうしよう…」という1点だけでした。

スキル不足やブランクについては、努力でなんとかなる!という気持ちでしたね。その辺りは、何故か変な自信を持っていたと思います。

でも、不思議と管理栄養士としての転職が失敗するかもしれないという気持ちは、小さかった。また休みがとれない職場だったら、自分に合った職場をもう一度探せばいいから大丈夫!と思えていたのも、メンタルの支えになっていたと思います。

転職に失敗したらもう一度転職活動をしよう…そう思えたポジティブな理由は
・自分のキャリアとしっかり向き合った結果、踏ん切りがついたから
・自分に合う環境はある!と強く信じようと決意したから
です。

一方、ちょっと強気な理由もありますよ(笑)
・最初の就職先が劣悪すぎたから、それ以上に悪い環境なんてない!
・環境が悪いのは私のせいじゃないから、環境が悪いならトコトコいい環境を探してやる!
という思いも持っていましたね。

また、管理栄養士に戻ってきてからは、自分に裁量があることのやりがいとありがた味を強く感じることが多いです。

これは、クライアント優先の委託栄養士や、一般企業で一番下の社員の経験があるから、かな…?と思っています。

私のキャリアは「介護施設のひとり管理栄養士」をしている年数が1番長いのですが、この仕事は自分の裁量が大きくとてもやりがいがあります。自分の考えや意見をダイレクトに反映できる仕事って、意外と少ないんですよ。

4.栄養士を辞めようかな…と思っている方々へのアドバイス

次に、栄養士を辞めるか悩んでいる方たちへのアドバイスです。

1)栄養士を辞めてみて広がる世界もある

私は栄養士職から距離を置いたおかげで、心の底から『やっぱり栄養士が好きだ!』と思えました。

外の世界を知ったことで驚くほど視野が広がり、色々な考え方と視点で物事を見られるようになりました。その結果、栄養士の世界のいい面が見えてくるようにもなりましたね。

栄養士業界を離れるきっかけがネガティブな理由でもポジティブな理由でも、一般企業で働くことで見える別世界を経験するのは、今後の人生で必ず糧になりますよ。

2)栄養士の世界は免許があれば戻って来られるよ!

管理栄養士・栄養士の免許は一生ものです。仕事として栄養士をしていなくても、免許を持っている限り私たちは、永遠に管理栄養士・栄養士です。

私が戻ってこられた通り、一度栄養士を辞めても、この業界の仕事にはいつでも戻ってこられます。特に一般企業への転職は若い方が有利ですから、栄養士を辞めてみたいなと考えているのであれば、できるだけ若いうちに動いてみてください。

ましてや、未経験の一般企業で働くなら、若いことは大きな武器になりますよ。

3)現職やこれから目指す場所が「席の少ない職場」なら慎重に

今、管理栄養士として働いている場所が人気の職場であれば、退職は慎重になったほうが良いかもしれません。例えば急性期病院大学研究職などが挙げられます。

人気求人は10人同時応募が当たり前…。私の友人曰く、大学病院は1枠に50名も応募がくることもあるそうです。栄養士の世界は免許があればいつでも戻って来られますが、希少な職場に戻れるかは別の話ですから、決断は慎重にしましょう。

今後も大規模な急性期病院やアカデミックな職場で働きたいのなら、キャリアの一貫性はより一層重要になります。

逆に、慢性期病院、高齢者施設、保育園、給食委託会社などであれば、比較的採用枠は多い傾向です。私の周りでは、未経験の50代だったけれど、正社員採用されて活躍している知り合いもいますよ。

4)管理栄養士受験資格の実務経験を積んでいる途中のキャリアチェンジは慎重に

実務経験中に辞めてしまうと、管理栄養士になれる未来が少し遠くなりますから、本当に離れて良いか?を、今一度考えてみてください。

栄養士から管理栄養士になると、受けられる求人数は格段に増えます。エイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』の取り扱い求人によると、栄養士に比べて管理栄養士が応募できる求人数は、なんと1.35倍。既卒での管理栄養士合格はハードですし、できれば実務経験年数をクリアしてからのキャリアチェンジがおすすめです。

私は比較的ホワイトな法人に転職できましたが、管理栄養士免許がなければ今の環境に戻ってこられていません。もちろん、栄養士免許だけでも転職は可能ですが、選択肢は多いほうが良いですよ。

国家試験対策については別の記事でも解説していますので、よかったら参考にしてくださいね。

【社会人向け】働きながら栄養士から管理栄養士へ!一発合格を目指す既卒・社会人の国家試験対策!

管理栄養士国家試験の受験者数や合格者数を徹底解析!先輩からのアドバイスも公開!

5.さいごに

今回は、2つの記事にわたり、「管理栄養士→一般企業→管理栄養士」と転職してきた私の話と、一般企業へ転職を考える方々へのアドバイスをお話ししました。

私は、管理栄養士・栄養士の仕事を嫌だなあと思いながら働いている人には「一度別の職種も経験してみたら?」というエールを送ることが多いです。いつまでも隣の芝生は青く見える状況では、精神的にしんどい上に、未経験の職種への挑戦は年齢とともにハードルが上がります。

何度もお伝えの通り、管理栄養士・栄養士の業界は、免許があれば戻ってこられる業界です。別職種でチャレンジしたいことがある人だけでなく、今の仕事を続けるのがしんどいなあ…と思う人も、一度離れてみることで、私のように管理栄養士・栄養士の良さにも気付けるかもしれません。

それはそれで、とてもいい人生経験だと思いませんか?

もちろん、戻ってくるときは、本記事の作成元であるエイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』のキャリアアドバイザーが全力で相談に乗ってくれますよ!

ぜひ、後悔のないキャリアができるように、応援しています。

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えぬこ

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