高齢者の低たんぱく質栄養状態をみる新たな指標に
森永乳業グループの森永乳業株式会社(以下、森永乳業)と、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは19日、共同研究で高齢者のたんぱく質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスとの間に関連性があることを発見、高齢者の低たんぱく質栄養状態を反映する新たな健康指標になる可能性を示した。
この研究成果は、ヨーロッパ臨床栄養・代謝学会が発行する学術雑誌「Clinical Nutrition ESPEN」に2024年6月22日付で掲載された。
高齢者は食欲の低下や加齢に伴う食の嗜好性の変化により、たんぱく質やエネルギーの不足に陥りやすい傾向がある。これによりサルコペニアやフレイルの症状も発現しやすくなり、疾病リスクが高まることが判明している。
一般に栄養指標として用いられている血中アルブミンには、「酸化型」と「還元型」があるが、食事からのたんぱく質摂取量が充足すると、血中アルブミンの還元型が増加し、酸化型が減少する。反対に不足すると、血中アルブミンの酸化型が増加し、還元型が減少する。
近年、この血中アルブミンの酸化還元バランスが、たんぱく質の栄養状態をより早期に、かつ正確なかたちで反映する栄養指標となり得ることが基礎研究及び臨床研究で明らかとされてきたが、高齢者の低たんぱく質栄養状態チェックにも有用かどうかは検証されていなかった。
この研究成果は、ヨーロッパ臨床栄養・代謝学会が発行する学術雑誌「Clinical Nutrition ESPEN」に2024年6月22日付で掲載された。
高齢者は食欲の低下や加齢に伴う食の嗜好性の変化により、たんぱく質やエネルギーの不足に陥りやすい傾向がある。これによりサルコペニアやフレイルの症状も発現しやすくなり、疾病リスクが高まることが判明している。
一般に栄養指標として用いられている血中アルブミンには、「酸化型」と「還元型」があるが、食事からのたんぱく質摂取量が充足すると、血中アルブミンの還元型が増加し、酸化型が減少する。反対に不足すると、血中アルブミンの酸化型が増加し、還元型が減少する。
近年、この血中アルブミンの酸化還元バランスが、たんぱく質の栄養状態をより早期に、かつ正確なかたちで反映する栄養指標となり得ることが基礎研究及び臨床研究で明らかとされてきたが、高齢者の低たんぱく質栄養状態チェックにも有用かどうかは検証されていなかった。
低栄養状態の早期発見と栄養改善指導の活用に期待
今回、東京都健康長寿医療センターと森永乳業は共同研究を実施し、同センターが行うコホート調査「板橋健康長寿縦断研究」の検診に酸化した地域に在住する高齢者、1,011人を対象に、たんぱく質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスとの関連について検証を行った。
2020年版の日本人の食事摂取基準をベースに、65歳以上で推奨される1日当たりのたんぱく質摂取量を満たしているかどうかで不足か充足かを判断、ロジスティック回帰分析を用い、血中アルブミン酸化還元バランス、血中アルブミン濃度とどう関連するか、それぞれについて調査を実施したという。
2020年版の日本人の食事摂取基準をベースに、65歳以上で推奨される1日当たりのたんぱく質摂取量を満たしているかどうかで不足か充足かを判断、ロジスティック回帰分析を用い、血中アルブミン酸化還元バランス、血中アルブミン濃度とどう関連するか、それぞれについて調査を実施したという。
するとその結果、血中アルブミン酸化還元バランスは、たんぱく質摂取量が基準の推奨量未満で低値であることと統計学的に有意な関係性があることが見出された。
これに対し、臨床現場で広く用いられている血中アルブミン濃度には有意な関係性が認められなかった。
今回の研究を通じ、血中アルブミン酸化還元バランスは、高齢者のたんぱく質栄養状態を反映し、不足すると酸化型が増加、低たんぱく質栄養状態に伴うサルコペニアやフレイルを防ぐために寄与する健康指標になる可能性が示された。
森永乳業らは、今回の研究内容を応用し、血中アルブミン酸化還元バランスを指標とした高齢者の低栄養状態の早期発見と栄養改善指導への活用に向けた検討を積極的に進めていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
これに対し、臨床現場で広く用いられている血中アルブミン濃度には有意な関係性が認められなかった。
今回の研究を通じ、血中アルブミン酸化還元バランスは、高齢者のたんぱく質栄養状態を反映し、不足すると酸化型が増加、低たんぱく質栄養状態に伴うサルコペニアやフレイルを防ぐために寄与する健康指標になる可能性が示された。
森永乳業らは、今回の研究内容を応用し、血中アルブミン酸化還元バランスを指標とした高齢者の低栄養状態の早期発見と栄養改善指導への活用に向けた検討を積極的に進めていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)