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2022.08.23

2022.08.23

現場の衛生管理と感染予防対策②~施設の衛生管理~

カバー画像:現場の衛生管理と感染予防対策②~施設の衛生管理~

2020年の新型コロナウイルス感染症をきっかけに、施設内の衛生管理に余念がなくなったのは言うまでもありません。クラスターを発生させないため、徹底した衛生管理に奔走した栄養士・管理栄養士も多いことでしょう。

ここで改めて、医療・介護施設における正しい衛生管理をおさらいしていきたいと思います。

1.医療・介護施設における衛生管理体制

現場の衛生管理と感染予防対策としては、空調設備、給湯設備等、施設内感染対策および施設に有用な設備の適切な整備や、施設内の清掃などを行い、施設内の環境管理を適切に行う必要についてはコロナ禍で経験したところであります。

この環境管理・整備の基本は清掃ですが、その際一律に広範囲の環境消毒を行わないこと。特に医療施設においては 、血液もしくは体液による汚染がある場合は、汚染局所の清拭除去及び消毒を基本とするなどの注意が必要です。

施設における衛生管理体制について、厚生労働省より平成26年通達の「医療機関における院内感染対策に関する留意事項」から抜粋した内容では、院内感染は人から人へ直接、又は医療従事者、医療機器、環境等を媒介して発生します。

特に、免疫力の低下した患者、未熟児、高齢者等の易感染者は、通常の病原微生物のみならず、感染力の弱い微生物によっても院内(施設内)感染を起こす可能性があります。

このため、院内(施設内)感染対策については、個々の従事者ごとの判断に委ねるのではなく、医療(施設)機関全体として対策に取り組むことが必要であるとしています。その一つの例ですが、図3.なども参考にして院内(施設内)感染予防のため衛生管理の体制整備に心がけましょう。

2.院内感染対策の体制については

1)感染制御の組織化

病院長等の医療機関の管理者が積極的に感染制御に関わるとともに、診療部門、看護部門、薬剤部門、臨床検査部門、洗浄・滅菌消毒部門、給食部門、事務部門等の各部門を代表する職員により構成される「院内感染対策委員会」を設け、院内感染に関する技術的事項等を検討し、従業員の雇用形態にかかわらず全ての職員に対する組織的な対応方針の指示、教育等を行うこととされています。

2)感染制御チーム Infection Control Team (ICT)

入所規模の大きい医療機関(目安として病床が300床以上)においては、医師、看護師、薬剤師及び検査技師からなる感染制御チームを設置し、定期的に病棟ラウンド(感染制御チームによって医療機関内全体をくまなく、又は必要な部署を巡回し、必要に応じて、それぞれの部署に対して指導・介入等を行います。

この病棟ラウンドについては、可能な限り1週間に1度以上の頻度で感染制御チームのうち少なくとも2名以上の参加の上で行うことが望ましいとされます。

3.基本となる院内(施設内)感染対策のまとめ

1)標準(基本)予防策

感染防止の基本として、例えば手袋・マスク・ガウン等の個人防護具を、感染性物質に接する可能性に応じて適切に配備し、医療従事者にその使用法を正しく周知した上で、標準予防策(全ての患者に対して感染予防策のために行う予防策のことを指し、手洗い、手袋・マスクの着用等が含まれる。)を実施していきましょう。

2)感染経路別(施設内)予防策

上記1)を実施するとともに、必要に応じて院内部門、対象患者、対象病原微生物等の特性に対応した、感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策及び接触予防策など)を実施することも必要で、基本となる施設内感染予防対策では、易感染者を防御する環境整備に努めることが大切となります。

3)手指衛生について

①手洗い及び手指消毒のための設備・備品等を整備するとともに、患者処置の前後には必ず手指衛生を行うのは周知のとおりです。
②速乾性擦式消毒薬(アルコール製剤等)による手指衛生を実施していても、アルコールに抵抗性のある微生物も存在することから、必要に応じて石けん及び水道水による手洗いを実施することなど手洗いマニュアルなど掲示する必要があります。

4)職業感染防止

その他医療施設においては注射針を使用する際、針刺しによる医療従事者等への感染防止の手順書や従事者の教育など、職業に特化した感染予防対策が必要になります。

5)環境整備及び環境微生物調査

私たちの職場は毎日稼働している環境であり、空調設備、給湯設備など、院内感染対策に有用な設備を適切に整備するとともに、院内(施設内)の清掃等を行い、環境管理を適切に行いましょう。

6)アウトブレイク(感染症の突発的発生、集団的発生)の考え方と対応

アウトブレイクに対する感染対策を実施した後で、新たな感染症の発病症例を認めた場合には、院内感染対策に不備がある可能性があると判断します。そして速やかに通常時から協力関係にある地域医療機関や保健所の専門家に、感染拡大の防止に向けた支援を依頼することが重要です。


以上のとおり、基本となる施設内感染の注意事項が詳細に通達されおり、感染予防対策は厚生労働省ホームページを参照したうえで、施設における感染対策を構築する必要が求められます。
※院内(施設内)感染対策について近年の知見から(参考)

①消毒薬の噴霧、散布、薫(くん)蒸や、紫外線照射などは効果が不確実であるだけでなく、作業者への危険性もあることから、病室等を無菌状態とすることを目的としては慎重に判断すること。また、管理栄養士・栄養士の職務場所である厨房や事務所においては漫然と実施しないこと。

②粘着マット及び薬液浸漬マットについては、感染防止効果が認められないことから、原則として院内(施設内)感染防止の目的としてこれらを使用しないこと。
以上のように、院内(施設内)感染は、人から人へ直接、又は従事者、設備機器、環境等を媒介して発生します。特に、通常の病原微生物のみならず、感染力の弱い微生物によっても施設内感染を起こす可能性があると認識しましょう。

この院内(施設内)感染対策については、個々の従事者の判断に委ねるのではなく、施設全体として対策に取り組む必要があります。

また、地域の医療機関でネットワークを構築し、院内感染発生時にも各医療機関が適切に対応できるよう相互に支援する体制の構築も求められるでしょう。

そして感染症の発生した際は、規定された届出を適切に行うことは当然ですが、その他の院内(施設内)感染発生を疑う事例がある場合には、保健所等の行政機関に適時相談し、技術的支援を得るよう努めることと記されています。

4.最後に

栄養士・管理栄養士の仕事は、従来までのノロウイルス感染、食中毒感染などだけでなく、2020年からCOVID-19感染において、各施設の感染拡大を予防対策として経験した事と思われます。

食事栄養管理における感染予防対策は、食を巡る社会環境の変化も大きく、国民のニーズも多様化しているなか、広範囲な(食品衛生法、栄養機能性表示)の情報整理や、関係者が連携したHACCP衛生管理、大量調理施設衛生管理マニュアルを駆使した、衛生管理と感染予防の実践にあります。

以上のように、医療機関や介護施設における感染予防対策2021が、厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症に関する医療機関向け情報(治療ガイドライン、臨床研究など)」として掲載されています。

栄養管理を安全に施行する必要のある医療・介護施設の現場での取り組みは、この厚生労働省からの「衛生管理、感染予防対策」情報を確認しましょう。
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▼執筆者
所属:人間総合科学大学 人間科学部 健康栄養学科 学科長
役職:教授
白石 弘美 先生

▼編集者
渡部 早紗(管理栄養士)
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