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2022.07.07

介護老人保健施設で働く管理栄養士・栄養士とは? 仕事内容や待遇などを紹介!

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管理栄養士歴約10年のえぬこです。

これまで、給食委託会社、ケアハウス、病院、介護老人保健施設などでお仕事をしてきました。

今回の記事は、介護老人保健施設で働く管理栄養士の仕事内容や待遇などを紹介していきます。現在も介護老人保健施設でお仕事をしていますので、詳しく解説していきますね。

1.介護老人保健施設(老健)とは?

介護老人保健施設は介護保険で運用されている高齢者施設の一つで、略して「老健」といわれます。

高齢者の自立を支援するための施設で、入所者さんは医師による医学的管理の下、介護や看護、リハビリテーションなどを受け、在宅復帰を目標に生活をしています。

入所には要介護1以上の介護認定が必要となり、通所(デイケア)と短期入所(ショートステイ)も提供している施設が一般的です

老健と特養との違い

介護保険で運営している高齢者施設は他にも、特別養護老人ホーム(特養)、軽費老人ホーム、養護老人ホームなどがあります。

その中で管理栄養士が栄養ケアマネジメントを行って活躍している施設は、主に「老健」と「特養」です。

老健が在宅復帰を目標とするのに対し、特養は在宅復帰は目標とせず、要介護3以上の高齢者が「終の棲家」として入居する施設です。ここが、老健と特養の大きな違いです。

もう1つ、老健と特養の違いとしては「医学的な管理のレベル」があります。

老健は医師が常勤職員として1名以上勤務していますが、特養の医師は嘱託医、いわゆる非常勤でも構いません。そのため、特養よりも老健の方が、細かく医学的な管理がされています。

特養についてはこちらで詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

特別養護老人ホームで働く管理栄養士・栄養士とは? 仕事内容や待遇などを紹介!

2.老健で働く管理栄養士・栄養士 の役割と仕事内容とは?

次に、老健で働く管理栄養士・栄養士の役割をお伝えします。

役割

老健栄養士の役割は「栄養ケア」と「給食提供」を通じて利用者の健康管理を行い、利用者の目標や在宅復帰達成にむけたケアを行うことです。

老健では、利用者に安心安全でおいしく食べられる食事提供が欠かせません。そのために、献立や調理方法、食事形態などを検討し、給食を提供します。

同時に利用者に必要な栄養量を計算し、提供している給食で利用者が必要な栄養を摂れているか確認します。

これが、老健における給食と栄養ケアを通じた栄養士の役割です。

仕事内容

老健における栄養ケアマネジメントでは
・栄養スクリーニング
・アセスメント
・モニタリング
を行い、利用者ひとりひとりに合わせた栄養ケア計画を作成して行います。

栄養ケア計画書は管理栄養士だけでは作成できず、医師の指示のもと多職種との連携が必須です。

なお、
・計画書は3か月に1回のペースでの見直す
・家族へ現状を説明するサービス担当者会議への出席
など、基本的なルールは介護保険法で決められています。

給食提供業務は、厨房を委託しているか直営で運営しているかで大きくことなります。

厨房を委託している場合は、厨房業務を直接行うことはなく、委託業者の管理、業者への指示だしが主な仕事です。直営の場合は、献立作成、発注、衛生管理などの給食業務全般にも従事します。

介護福祉施設における管理栄養士の重要性と需要

老健栄養士の仕事は、介護報酬改定のたびに大きな影響を受けます。直近では、2021年の介護報酬改定において、管理栄養士が栄養ケアマネジメントを行うことがすべての老健に義務付けられました。

これまでは、管理栄養士が栄養ケアマネジメントを行ったときに加算形式で報酬がもられました。ところが、現在は管理栄養士が栄養ケアマネジメントを行わなければ減算です。

栄養士免許だけでも、給食業務をベースに食事を通した楽しみや嚥下食作り、栄養管理の基礎的な部分など多くの業務を担えますが、管理栄養士の需要が非常に高まった改定になりました。

今後、管理栄養士は病院では病棟、介護分野ではフロアや在宅など、活躍の場が増えていくことが予想されます。

2021年の介護報酬改定では、施設内での管理栄養士の活躍の場が増えたのはもちろん、介護施設に勤務する管理栄養士が在宅への訪問栄養指導ができる制度もできました。

今、栄養士免許を持って現場で活躍されている方は、ぜひ管理栄養士へのステップアップも考えてみてはいかがでしょうか。

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3.老健における管理 栄養士・栄養士の給与やお休みなどの待遇面

次に、老健における管理栄養士・栄養士の待遇面をお伝えします。

給与

■正社員
月給 18万~22万
年収 250万~300万
一般的に年収300万円程度です。厨房を委託しているか、直営か、病院併設かによっても変わってきます。

最もメジャーな管理栄養士1名体制、厨房を委託しているという場合は、役職がつきにくいため、年収250~300万円程度。

法人が大きく病院も運営していて、給与体系が病院と同じという施設や、厨房が直営で主任や課長といった役職がつくケースでは、もう少し高収入を狙うこともできるでしょう。

勤務時間

日勤帯 9:00~18:00
厨房を委託しているか直営かで大きく異なります。

厨房を委託している場合は、給食提供業務に従事しないため、9:00~18:00の日勤帯が一般的です。

お休み

勤務時間と同じく厨房を委託しているか直営かで大きく異なります。厨房を委託している場合は、年末年始、土日祝休みという施設も少なくありません。

4.老健で働く管理栄養士・栄養士のやりがいと大変なこととは?

やりがい

老健で働く管理栄養士のやりがいは「利用者の目標達成に繋がる栄養ケアの提供」です。

例えば、回復期リハビリテーション病院より老健入所になった方が、老健での介護や看護、リハビリテーションや栄養ケアを受け、無事在宅復帰ができたとき。

さらに、その入所者さん が在宅に戻り、自施設の通所介護で要支援まで状態が良くなったところを見たときは、とてもうれしい気持ちになります。

老健に入所する高齢者さんの中には
・歩けるようになれば家に帰れる
・子供に迷惑をかけないように排泄は自立したい
といった目標を持っている人

・ADL(日常生活動作)が上がれば年金の範囲で入れる施設に入れるのに…
といった悩みを抱えている人などがいます。

老健を退所した後、その人らしい暮らしができるよう支援するための課題は様々です。その課題を多職種で解決していく中での栄養ケアの提供には、非常にやりがいを感じます。

大変なこと

一方、介護度が重く、状態が悪化してきた入所者さんの看取りにも関わることがあります。そのようなときは、医療・介護従事者としての倫理観に基づいた対応が求められるのです。

看取りをしている老健栄養士は、人の最期に関わるとても重たい仕事と向き合うこともあります。  

5.老健で働く管理栄養士・栄養士に求められることとは?

次に、老健で働く管理栄養士・栄養士に求められることを解説します。

多職種連携

老健に限らず、病院や特養でもですが、多職種連携が欠かせません。

給食を提供し、栄養ケア計画を作成することは管理栄養士・栄養士の仕事ですが、特に栄養ケアは管理栄養士・栄養士だけでは完結しません。

食事の指示を出す医師、食事介助を行う看護師や介護士、嚥下リハを行う言語聴覚士や、自助具の評価を行う作業療法士などがいて、食事の環境が整うのです。

これらの意見をまとめて、利用者さんにとって最適な栄養ケアの提供の中心的な存在となるため、多職種連携が欠かせません。

栄養ケアに対する責任感

老健栄養士は1名職場となることほとんどで、多くても2名程度です。そのため、栄養ケアの中心的な業務は管理栄養士が責任をもって取り組まなければなりません。

例えば、5年に1回の食事摂取基準の改定や、食品成分表が改訂されたときは、栄養基準が変わりますよね。

そのような情報は他の職種からは入ってきませんので、管理栄養士が常にアンテナを張って情報収集をしなければ、施設の栄養ケアが古いものになってしまいます。

正確でスピーディーな書類作成・処理能力

介護保険施設は介護報酬で運営されているため、国で決められたたくさんの書類を作成しなければなりません。

ブラインドタッチができることはもちろん、Excelでの栄養計算やカルテの書類整理などが素早くできると、仕事を効率よく行えます。

また、2021年の介護報酬改定でLIFEへの情報提出を行っていくことが決まりました。LIFEは国へ提出するデータベースのことで、利用者の情報を細かく入力していかなければなりません。

栄養に関する項目数も多いので、データ入力が苦手な管理栄養士はLIFEのデータ入力に苦戦している人も多いようです   。

6.まとめ

老健栄養士の仕事は、栄養ケアを通して利用者の目標達成を支援する仕事です。多職種連携をとりながら、責任をもって栄養ケアを担える人に向いています。

老健への就職を検討している人は、介護保険制度や介護報酬で定められている栄養ケアマネジメントの流れを勉強しておくと良いでしょう。

ネットで検索すると、厚生労働省が公表している資料を見ることができ、老健協会のサイトにも情報がまとまっているので、一度探してみてくださいね。

本記事の作成元であるエイチエが提供する転職サポートサービス『栄養士人材バンク』では、老健の求人も多数取り扱っています。全国各地の求人がありますので、転職をお考えの方はお気軽にご相談くださいね。

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えぬこ

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