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2024.03.12

メーカーで働く管理栄養士の仕事内容とは?給料相場や向いている人の特徴を解説

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こんにちは!管理栄養士の渡部 早紗です。

「メーカーで働きたい!」「研究や商品開発をしたい!」という管理栄養士さんは多いのではないでしょうか?食品メーカーや製薬会社で、自分が開発した商品がお役に立つのは素敵ですよね。

とはいえ、ご存知の方も多いですがメーカーで働くのは自衛隊や行政栄養士並み、またはそれ以上の狭き門です。転職の場合も、医療や介護、給食業務といった経験は畑違いとなり、経験としてカウントされない場合もあります。

そこで今回はメーカーの管理栄養士のお仕事内容や求められるスキルについて解説していきます!

メーカーへの就職を希望されている学生さんはもちろん、「やっぱりメーカーの道へ進みたい!」と思っている既卒の方もぜひ読んで参考にしてくださいね。

1.管理栄養士が在籍するメーカーといえば?

管理栄養士が在籍するメーカーは、主に食品メーカーと製薬会社に分かれます。

食品メーカーとは?

食品メーカーは、お弁当や離乳食などの食品をはじめ健康食品、サプリメントを開発している企業です。例えば大手では明治や森永、キューピー、ローソンなどがあります。

最近では管理栄養士考案・開発のお弁当もコンビニで出回るようになりましたよね!飲食業界のなかでも健康への意識が高い企業では管理栄養士のニーズがあるといえますね。

製薬会社とは?

製薬会社とは、主に医薬品を研究開発・販売する企業です。とはいえ医薬品だけではなく、健康食品やサプリメントといった食品に分類されるものも研究開発されています。例えば大手では大正製薬、大塚製薬、小林製薬などがあります。

ほかにも、資生堂やファンケル、DHCなど化粧品メーカーで健康食品やサプリメントを開発している企業もあり、管理栄養士が活躍しています。

管理栄養士になるには?資格の取り方や栄養士との違いを解説!

2.メーカーで働く管理栄養士の仕事内容とは?

メーカーで働く管理栄養士の仕事は、商品の開発はもちろん、企画や広報活動もあります。具体的な仕事内容をみていきましょう。

1)商品の企画

マーケティング部門が中心となって行う商品の企画・立案。消費者が求めているものを調査し、新しい商品の企画を考えていきます。

自分たちが作りたい商品でも消費者に求められていないものは売れないので、マーケティングのスキルが求められます。各部門と連携しながら、商品の中身やパッケージを作っていくのです。

2)商品開発

マーケティング部門から依頼を受け、新商品やリニューアル商品の商品設計を行います。

開発は味や見た目を作るイメージが強いですが、それだけでなく商品開発はどのような材料どのように配合して作り、どんな機械・手順・工程にして工場で作るかまで考えます。最終的に工場で安定して生産できるよう調整するところまでが開発のゴールです。

さらに、職場内の衛生チェックや細菌検査、栄養素の分析の仕事などもあります。

3)品質管理

メーカーで働く管理栄養士の仕事として、品質管理があります。

安心・安全な商品を届けるためには、商品の安全性や品質に問題がないことを証明する必要があります。食品メーカーや製薬会社の商品は、食品やサプリメントなど身体の中に入れるものが多いので、品質管理の仕事は消費者の健康を守る大切な仕事といえるでしょう。

品質管理の主な仕事は、衛生管理や製品の検査、原材料受け入れ検査、微生物検査・分析業務などです。また、HACCP書類の作成や管理などもあります。他にも、トラブル・クレームが起きたときの対応や原因調査などがあります。手洗い講習やノロウイルス対策など、品質管理に関連する社員教育を行うこともあるでしょう。

品質管理のほかにも、規格書の作成の仕事もあります。規格書とは、商品の情報をまとめた資料であり、原材料やアレルゲン、栄養成分などを記載する書類です。規格書作成では、食品の表示や食品衛生に関する知識が求められます。

4)カスタマーサービス

食品メーカーの仕事として、お客様からの問い合わせに応じるカスタマーサービスの仕事もあります。

カスタマーサービスの主な仕事内容として、商品に対するお客様からの問い合わせ対して、電話やメール、チャットやSNSなどで対応します。ほかにも、お客様の声の収集やクレーム対応などを行い、顧客満足度を高めることも仕事の一つです。

栄養に関する問い合わせにでは専門的な知識が求められるため、健康食品やサプリメントのメーカーでは、管理栄養士の募集があることもあります。食・栄養の知識はもちろん、コミュニケーション能力や問題解決能力が求められます。

5)広報活動

広報活動では、商品を置いてくれる得意先への営業やお客様に商品を知ってもらうための宣伝を行います。CMやネット広告などによる宣伝はもちろん、最近はSNSでの広報も活発になっています。


大手の食品メーカーなどは、開発職の採用であっても最初の1~3年は営業や工場の管理部などへの配属になることも多いです。

また、開発職で入社しても他部署への異動がある場合もあります。反対に中小など規模が小さいメーカーでは、企画から広報まで一貫して行うこともあるようです。

エイチエのQ&Aに、実際にメーカーで働いている方々からの回答もありますので、ぜひ参考にしてくださいね!

管理栄養士は食品開発の仕事につけれますか?

商品開発をするには・・・

食品メーカーでの栄養士の役割

栄養士で分析の仕事

3.メーカーで働く管理栄養士の待遇は?

では、メーカーで働く管理栄養士の待遇をみていきましょう。

1)給与

月給:15~25万円
年収:350~800万円
メーカーの場合、給与の差が大きく月給・年収ともに差があり、会社の規模や役職によって異なります。また、大学卒と大学院卒によっても給与に差が出ます。

大手企業のほうが年収は高くなる傾向があります。ちなみに、病院や施設と比較して住宅手当や食事手当が手厚いことが多いのはメリットですね!

一方で、メーカーは勤続年数よりも会社の売り上げへの貢献度が、基本給やボーナスの査定に影響するケースが多めです。実力で勝負する職種であり、責任も大きいといえます。

2)勤務時間

メーカーによって勤務時間は異なります。フレックスタイム制度のある会社もありますが、場所によって、発売時期の前には日付が変わるまで仕事をする…といったケースもあるのです。

そのため、家庭や育児と両立しやすい会社もあれば、難しくなる会社もあります。育児をしながら働く女性がいるかチェックしておくといいですね。

3)お休み

基本は土日祝日がお休みの企業が多めです。一方で、メーカーでは開発職採用でも1年間は工場勤務になり、土日関係なく生産するため休日が少ないこともあります。

4.メーカーで働くための知識やスキルは?

メーカーとして働くためには、食品学や化学の知識が求められます。管理栄養士の養成課程では、生化学や食品学の基本的な部分のみを扱いますが、研究開発職を目指す場合は食品系や微生物関連のより深い知識が求められます。

食品メーカーの採用は、一般企業と同様の試験になることが多いので、SPIやTOEICの点数も加味されることもあるでしょう。さらに、基本的なビジネスマナーはもちろん市場調査や事務作業もあるので、ビジネススキルやマーケティング能力も必要です。

アスリートのサプリメントやプロテイン

5.メーカー勤務が向いている管理栄養士の特徴

メーカー勤務が向いている管理栄養士の特徴として、食や栄養への興味・関心の高さが挙げられます。商品企画・開発・広報・品質管理のいずれの仕事においても、「食が好き」「食を通して人に喜んでもらいたい」という気持ちは、仕事のモチベーションになるでしょう。商品開発の場合は官能評価試験があるため、普段から食へのこだわりを持ち、味覚・嗅覚を鍛えることも求められます。

売れる商品を世に届けるためには、チャレンジ精神や探求心が必要です。既存の考えにとらわれず柔軟に考えられる人や、「より良い商品を届けたい」という向上心がある人が向いているといえます。新しいものが好きで、普段から食へのアンテナを高く持ち、食のトレンドや流行に敏感になる必要もあるでしょう。

また、仕事の責任感や誠実さも求められます。商品の安心・安全はメーカーの信頼に直結するため、責任を持って仕事に取り組む必要があるでしょう。食や栄養の専門家として責任を持ち、常に情報をアップデートすることも求められます。

管理栄養士に求められる一般的な知識やスキルについては、こちらの記事で解説しています。

管理栄養士にしかできないことは?仕事内容・求められていることを解説

6.求人はどこで見つけるの?

なかなか見つけにくいメーカーの求人、探し方のコツをお伝えします。

1)公式サイトへ直接アクセスする

メーカーの募集は、会社の公式サイトから探した方がアクセスしやすいこともあります。

また、メーカーの場合、管理栄養士としての採用ではなく、あくまで総合職扱いでの採用になることがほとんどです。

そのため、「管理栄養士 メーカー」のように調べると求人が見つかりにくいこともあるので、「○○(企業名) 管理栄養士」「○○(企業名) 採用」といったキーワードで企業を探してみるといいですね。

ただし、メーカーの正社員枠の場合は倍率が100倍、200倍は当たり前…しかもライバルは超理系や大学院卒といった場合が多いです。覚悟して挑みましょう。

2)Linkdinを活用する

中小企業の場合は、企業の公式サイトではなく、Linkdinなどに募集されている場合が多いですが、即戦力となる開発・研究経験が必須となることが多いです。  

無料ですし、登録してみてはいかがでしょうか。経歴を見てお声が掛かるかもしれません!

3)派遣からスタートする

正社員以外の方法として、派遣の開発職があります。人材派遣会社に登録してから派遣求人に応募し、大手の食品メーカーなどで新製品開発のアシスタントとして働きます。

「学生のころの実習経験しかない…」「ずっと畑違いの職場だった」といった場合は、まず派遣で経験を積むのもいいですね!

登録後に付いてくれる担当の営業さんに「管理栄養士資格を活かした開発や研究がしたい」と伝えると、希望の案件を探してくれますよ。

そもそも派遣ってどういう働き方?どこで探せばいいの…?など、派遣について気になる方は下記の記事をご覧くださいね。

管理栄養士・栄養士は派遣で働ける?禁止業務と派遣で探せるお仕事をご紹介!

また、こちらの記事では、転職活動の流れや対策、準備物について詳しく解説しています。初めて転職活動をする場合、やるべきことやスケジュールを知っておくとスムーズに動けますので、ぜひ参考にしてくださいね。

転職って何から始める?管理栄養士・栄養士の転職まるわかりガイド!

7.管理栄養士として活躍できる場所を見つけるなら栄養士人材バンク

「管理栄養士としてメーカーで活躍したい」「ネットでメーカーの求人を探してもうまく見つからない」という方は、転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。

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6.まとめ

今回はメーカーの管理栄養士のお仕事について解説しました。

メーカーは商品開発だけでなく、企画や販売といったスキルが求められます。さらに、開発ではより高度な研究スキルが求められることもあります。

メーカーは華やかなイメージがありますが、まず「自分はなぜメーカーがいいの?」「開発以外の仕事もできる?」などいま一度考えてみましょう!

管理栄養士のスキルに+αが求められている職種であり、競争率も厳しめ。とはいえ、大手だけでなく中小やベンチャーなど商品開発をしている会社はたくさんありますし、派遣社員の道もあるので、幅広く調べてみるといいですね!



参考文献・サイト

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渡部 早紗

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