群馬大学とクイーンズランド大学の共同研究で明らかに
国立大学法人群馬大学(以下、群馬大学)は12月3日、オーストラリアのクイーンズランド大学との共同研究において、2型糖尿病発症に関する人種・民族別の女性グループ比較を行い、得られた見解を発表した。この研究の成果は国際専門誌「Diabetes Care」に掲載されることとなっている。
白人と比較してアジア人や黒人では、生活習慣病である2型糖尿病のリスクが高いといわれてきた。今回、群馬大学未来先端研究機構の海外ラボラトリー研究グループは、女性の一生涯の健康を考える、ライフコースアプローチ研究を目的とした国際的コホート研究プロジェクト「インターレース(Inter LACE)」のデータを用い、日本人のほか白人、中国人、南アジア/東南アジア人、黒人、複数の人種・民族的背景を持つ人の6グループに関し、それぞれの2型糖尿病発症リスクと肥満度(BMI)との関係を検討、人種・民族間での違いを定量的に明らかにした。
糖尿病患者は世界的に増加傾向で、2050年には13億人に到達するとの予測もある。2021年時点で年齢調整有病割合は6.1%とされているが、国や地域、とくに多様な人種や民族の間でその割合は大きく異なっているという。
女性は男性と比較して世界における糖尿病有病割合は、わずかに低いとされているものの、生涯を通じた女性ホルモン変動などにより、発症リスクのひとつである体重変化が起こりやすいため、肥満に直面することも多くなっている。これら女性ホルモンの変化に伴う体重変化は、妊娠・出産や更年期などと深い関わりがあり、またこれらの事象は人種・民族間でも遺伝的・社会的・環境的要因などとの関わりも深いことから、肥満を通じて糖尿病発症リスクとの関連を反映する可能性があると考えられてきた。
これまで女性における人種・民族とBMIの組み合わせが糖尿病発症リスクに及ぼす影響は不明瞭なままであったことから、今回の研究では3つのアジア人サブグループを含む女性の人種・民族と2型糖尿病発症リスクとの関連を調査することとした。さらにアジア人における出身国に居住している女性と、西洋諸国に居住している女性との間のリスク比較も行っている。
研究では、日中豪と欧米で暮らす女性73万408人を追跡調査しているデータが用いられた。追跡期間は最長20年超となっている。
白人と比較してアジア人や黒人では、生活習慣病である2型糖尿病のリスクが高いといわれてきた。今回、群馬大学未来先端研究機構の海外ラボラトリー研究グループは、女性の一生涯の健康を考える、ライフコースアプローチ研究を目的とした国際的コホート研究プロジェクト「インターレース(Inter LACE)」のデータを用い、日本人のほか白人、中国人、南アジア/東南アジア人、黒人、複数の人種・民族的背景を持つ人の6グループに関し、それぞれの2型糖尿病発症リスクと肥満度(BMI)との関係を検討、人種・民族間での違いを定量的に明らかにした。
糖尿病患者は世界的に増加傾向で、2050年には13億人に到達するとの予測もある。2021年時点で年齢調整有病割合は6.1%とされているが、国や地域、とくに多様な人種や民族の間でその割合は大きく異なっているという。
女性は男性と比較して世界における糖尿病有病割合は、わずかに低いとされているものの、生涯を通じた女性ホルモン変動などにより、発症リスクのひとつである体重変化が起こりやすいため、肥満に直面することも多くなっている。これら女性ホルモンの変化に伴う体重変化は、妊娠・出産や更年期などと深い関わりがあり、またこれらの事象は人種・民族間でも遺伝的・社会的・環境的要因などとの関わりも深いことから、肥満を通じて糖尿病発症リスクとの関連を反映する可能性があると考えられてきた。
これまで女性における人種・民族とBMIの組み合わせが糖尿病発症リスクに及ぼす影響は不明瞭なままであったことから、今回の研究では3つのアジア人サブグループを含む女性の人種・民族と2型糖尿病発症リスクとの関連を調査することとした。さらにアジア人における出身国に居住している女性と、西洋諸国に居住している女性との間のリスク比較も行っている。
研究では、日中豪と欧米で暮らす女性73万408人を追跡調査しているデータが用いられた。追跡期間は最長20年超となっている。
アジア人や黒人でリスク高の傾向
分析の結果、対象全体のうち、5.1%(37,329人)の女性が2型糖尿病と診断され、70歳までの累積発生割合は南アジア/東南アジアの女性が最も高く24.6%、次いで黒人女性の23.6%だった。日本人は約18%で、この上位2グループに比べると低かったが、中国人での12%や白人での7%などに比べると高い結果となっている。
女性が研究に初めて参加したベースライン時の肥満とされるBMIの女性の割合は、南アジア/東南アジアで40.0%、黒人で45.6%だった。
このベースライン時における年齢、出生年、教育歴、喫煙状況、BMIを調整したCox比例ハザードモデルによる解析で、白人女性と比較した南アジア/東南アジアの女性における2型糖尿病発症リスクは4.13倍となった。黒人、中国人、日本人の女性においても白人女性に比べ高い傾向があり、それぞれ発症リスクは2.61倍、2.77倍、2.29倍だったという。
女性が研究に初めて参加したベースライン時の肥満とされるBMIの女性の割合は、南アジア/東南アジアで40.0%、黒人で45.6%だった。
このベースライン時における年齢、出生年、教育歴、喫煙状況、BMIを調整したCox比例ハザードモデルによる解析で、白人女性と比較した南アジア/東南アジアの女性における2型糖尿病発症リスクは4.13倍となった。黒人、中国人、日本人の女性においても白人女性に比べ高い傾向があり、それぞれ発症リスクは2.61倍、2.77倍、2.29倍だったという。
人種・民族とBMIの組み合わせによる検討では、白人でBMIが18.5~22.9の女性を基準とすると、同じBMIカテゴリの女性において、南アジア/東南アジア女性では5.08倍、黒人女性では4.83倍、中国人女性で4.10倍、日本人女性で3.03倍と、標準体型とされるBMIの範囲内でも2型糖尿病発症リスクが高いことが判明した。
アジア人でのBMI基準で肥満とされる27.5以上のカテゴリにあたる、BMI27.5~29.9の範囲の女性では、同じく白人のBMI18.5~22.9の女性を基準とすると、白人女性では2型糖尿病発症リスクが4.88倍であるのに対し、南アジア/東南アジアの女性では23.17倍と顕著に高く、黒人女性でも14.24倍、中国人女性で10.13倍、日本人女性で9.04倍とリスクが高い結果になった。
欧米基準で肥満とされるBMI30.0以上とすると、白人BMI18.5~22.9の女性を基準にした場合、白人女性では10.48倍リスクが高くなるものの、南アジア/東南アジアの女性では35.52倍とさらに高くなり、黒人女性でも24.15倍、日本人女性で19.67倍、中国人女性では13.88倍、白人と比べて大幅な2型糖尿病発症リスクの上昇が見られた。
日本においてはとくにBMI30.0以上の女性における発症リスクの上昇が顕著になっている。また、中国在住の中国人女性と日本在住の日本人女性では、それぞれ西洋諸国に居住している女性より糖尿病発症リスクが高い可能性も示されたという。
今回の結果からは、肥満が人種・民族を問わず2型糖尿病の主要危険因子であることが改めて示されたほか、アジア人や黒人では白人と比べて2型糖尿病発症リスクが高いことが明確に示された。
研究グループでは、社会経済的地位や食事、身体活動、ストレスや医療へのアクセスといった、今回の研究で考慮に入れていない社会文化的要因が女性における糖尿病リスクの人種・民族間差に影響を与えている可能性があるとしつつ、アジア人女性の糖尿病へのなりやすさが他の人種・民族と異なる可能性があるとも指摘。それらに特化した予防や治療戦略の必要性を示しているとしている。
BMIが標準体型の範囲であるにもかかわらず、アジア人では脂肪量が白人などに比べて多いといわれ、除脂肪筋肉量の増加・維持や代謝の健康改善のための介入など、民族特有のアプローチも不可欠とされた。
今回の研究成果はBMIが高めの女性に対し、とくにアジア人では糖尿病に対するスクリーニング、早期介入の必要性を強く示しており、その実施が糖尿病の予防、または関連合併症の予防・減少に寄与する可能性があるともした。
(画像はプレスリリースより)
アジア人でのBMI基準で肥満とされる27.5以上のカテゴリにあたる、BMI27.5~29.9の範囲の女性では、同じく白人のBMI18.5~22.9の女性を基準とすると、白人女性では2型糖尿病発症リスクが4.88倍であるのに対し、南アジア/東南アジアの女性では23.17倍と顕著に高く、黒人女性でも14.24倍、中国人女性で10.13倍、日本人女性で9.04倍とリスクが高い結果になった。
欧米基準で肥満とされるBMI30.0以上とすると、白人BMI18.5~22.9の女性を基準にした場合、白人女性では10.48倍リスクが高くなるものの、南アジア/東南アジアの女性では35.52倍とさらに高くなり、黒人女性でも24.15倍、日本人女性で19.67倍、中国人女性では13.88倍、白人と比べて大幅な2型糖尿病発症リスクの上昇が見られた。
日本においてはとくにBMI30.0以上の女性における発症リスクの上昇が顕著になっている。また、中国在住の中国人女性と日本在住の日本人女性では、それぞれ西洋諸国に居住している女性より糖尿病発症リスクが高い可能性も示されたという。
今回の結果からは、肥満が人種・民族を問わず2型糖尿病の主要危険因子であることが改めて示されたほか、アジア人や黒人では白人と比べて2型糖尿病発症リスクが高いことが明確に示された。
研究グループでは、社会経済的地位や食事、身体活動、ストレスや医療へのアクセスといった、今回の研究で考慮に入れていない社会文化的要因が女性における糖尿病リスクの人種・民族間差に影響を与えている可能性があるとしつつ、アジア人女性の糖尿病へのなりやすさが他の人種・民族と異なる可能性があるとも指摘。それらに特化した予防や治療戦略の必要性を示しているとしている。
BMIが標準体型の範囲であるにもかかわらず、アジア人では脂肪量が白人などに比べて多いといわれ、除脂肪筋肉量の増加・維持や代謝の健康改善のための介入など、民族特有のアプローチも不可欠とされた。
今回の研究成果はBMIが高めの女性に対し、とくにアジア人では糖尿病に対するスクリーニング、早期介入の必要性を強く示しており、その実施が糖尿病の予防、または関連合併症の予防・減少に寄与する可能性があるともした。
(画像はプレスリリースより)
