高齢者施設での実証実験で判明
株式会社フィッツコーポレーション(以下、フィッツコーポレーション)は5日、高齢者の嗅覚低下に関する実態調査を、埼玉県上尾市にある高齢者施設「リハビリデイサービス アクティ」の2施設の協力を得て実施、その結果を公開した。
2施設は、いずれも総合病院での知見を活かし、地域においても質の高いリハビリを提供できるよう設立されたもので、株式会社ケアフォレストにより運用されている。
実験は、2023年10月9日~10月23日と、2024年4月29日~5月31日の期間、アクティ上尾、アクティフィジオラボ イオンモール上尾店で実施された。対象者は62歳~93歳の利用者で、のべ65人となっている。なお実験は、人間健康科学博士の田代雄斗氏が代表を務める、株式会社HILUCOの協力のもと行われた。
2施設は、いずれも総合病院での知見を活かし、地域においても質の高いリハビリを提供できるよう設立されたもので、株式会社ケアフォレストにより運用されている。
実験は、2023年10月9日~10月23日と、2024年4月29日~5月31日の期間、アクティ上尾、アクティフィジオラボ イオンモール上尾店で実施された。対象者は62歳~93歳の利用者で、のべ65人となっている。なお実験は、人間健康科学博士の田代雄斗氏が代表を務める、株式会社HILUCOの協力のもと行われた。
高齢者と嗅覚
嗅覚は、視覚や聴覚などと同じく、やはり加齢と共に衰えていくものだが、一般的な健康診断に嗅覚検査のような項目はなく、その機能を定期的に確認できる機会は乏しいのが現状である。
一般に嗅覚機能は50歳代から徐々に低下するとされ、男性では60歳代から、女性では70歳代から有意に低下、80歳を超えると75%以上の人が重度の嗅覚障がいを呈するようになるとみられている。
嗅覚障がいが進むと、有害な煙やガス漏れ、食べ物の腐敗に気づかないなど生活上の危険な状況に適応しづらくなる。またその機能低下はさまざまな疾患や障がいと深く関わりがあることが明らかになってきており、とくに認知機能との関連が深いともされる。
軽度認知障がいと嗅覚低下との関連については、先行研究でも複数の論文発表があるほか、国内外の前向きコホート研究などでも、嗅覚テストと認知機能障がいに有意な関連性があったことが指摘されているという。嗅覚の低下は認知機能の障がいの早期兆候である可能性もある。
さらに健常者でも、においを感じづらくなると味が分からなくなるように、味覚の大部分は嗅覚の影響を受ける。よって嗅覚機能が低下すると、味覚が十分に働かなくなり、食事を美味しく摂取できなくなる。食事への関心の低下はQOLの大幅な低下、低栄養状態やサルコペニアの一因にもなるため、早期の対応が欠かせない。
一般に嗅覚機能は50歳代から徐々に低下するとされ、男性では60歳代から、女性では70歳代から有意に低下、80歳を超えると75%以上の人が重度の嗅覚障がいを呈するようになるとみられている。
嗅覚障がいが進むと、有害な煙やガス漏れ、食べ物の腐敗に気づかないなど生活上の危険な状況に適応しづらくなる。またその機能低下はさまざまな疾患や障がいと深く関わりがあることが明らかになってきており、とくに認知機能との関連が深いともされる。
軽度認知障がいと嗅覚低下との関連については、先行研究でも複数の論文発表があるほか、国内外の前向きコホート研究などでも、嗅覚テストと認知機能障がいに有意な関連性があったことが指摘されているという。嗅覚の低下は認知機能の障がいの早期兆候である可能性もある。
さらに健常者でも、においを感じづらくなると味が分からなくなるように、味覚の大部分は嗅覚の影響を受ける。よって嗅覚機能が低下すると、味覚が十分に働かなくなり、食事を美味しく摂取できなくなる。食事への関心の低下はQOLの大幅な低下、低栄養状態やサルコペニアの一因にもなるため、早期の対応が欠かせない。
衰えは多くに確認されるも自覚者は少数
こうした栄養摂取や認知機能など多様な健康面と深い関わりのある嗅覚機能について、フィッツコーポレーションでは高齢者の実態を明らかにすべく、実証実験を行った。
実験はA・Bの2施設で行い、A施設では「空間の香りに気がついたか」どうかを聴取、B施設では「嗅覚の不調を自覚しているか」をアンケート調査で調べるものとした。
実験はA・Bの2施設で行い、A施設では「空間の香りに気がついたか」どうかを聴取、B施設では「嗅覚の不調を自覚しているか」をアンケート調査で調べるものとした。
すると、施設内のディフューザーによる香りに気がついたかどうか尋ねた結果では、「香りに気がついた」人は33.0%にとどまり、67.0%の人は「香りに気がつかなかった」と回答した。
また、B施設でのアンケートにより、ここ最近でにおいの感じ方に気になる点はあるか尋ねたところ、「最近感じづらくなった」とした人は20.0%、「以前から感じづらい」とした人が3.0%で、全体の4分の1弱の人は不調を感じていたものの、27.0%の人は「よく感じられている」としたほか、半数にあたる50.0%の人は「気になることはない」と回答していた。
A施設において、設置されたディフューザーの香りに気がついていない人が多いにもかかわらず、B施設でのアンケートで2割程度の人しか嗅覚の不調を自覚していなかったことを考えると、香りの感じ方に異常を覚えていなくても嗅覚が低下している人が、高齢者においては少なくないと推測された。
この結果を受け、フィッツコーポレーションでは、主観的なにおいの感じ方だけでなく、定期的な検査などを通じ、客観的に嗅覚感度を確認、自身や周囲が嗅覚レベルを的確に把握していく必要があるとした。
また、嗅覚機能は可塑性があるため、トレーニングによって一定程度改善できるものでもあることを指摘、日々の生活の中で香りを意識し、継続的に嗅ぐ習慣を訓練として取り入れていくことで機能の維持向上を図れるともした。
同社は今後、この嗅覚機能向上支援により、高齢者の健康機能の改善やQOL向上に寄与していきたいとする。味覚や栄養摂取とも深い関わりがあるだけに、今後の取り組みが注目される。
(画像はプレスリリースより)
A施設において、設置されたディフューザーの香りに気がついていない人が多いにもかかわらず、B施設でのアンケートで2割程度の人しか嗅覚の不調を自覚していなかったことを考えると、香りの感じ方に異常を覚えていなくても嗅覚が低下している人が、高齢者においては少なくないと推測された。
この結果を受け、フィッツコーポレーションでは、主観的なにおいの感じ方だけでなく、定期的な検査などを通じ、客観的に嗅覚感度を確認、自身や周囲が嗅覚レベルを的確に把握していく必要があるとした。
また、嗅覚機能は可塑性があるため、トレーニングによって一定程度改善できるものでもあることを指摘、日々の生活の中で香りを意識し、継続的に嗅ぐ習慣を訓練として取り入れていくことで機能の維持向上を図れるともした。
同社は今後、この嗅覚機能向上支援により、高齢者の健康機能の改善やQOL向上に寄与していきたいとする。味覚や栄養摂取とも深い関わりがあるだけに、今後の取り組みが注目される。
(画像はプレスリリースより)