千葉大学が3万人超のデータをもとに研究
国立大学法人千葉大学は24日、同大大学院医学研究院中川良特任准教授らの研究グループが、健診受診者のリアルワールドデータを用い、ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)とメタボリックシンドローム(以下、メタボ)の有病率と関連性にかかる解析を実施、その研究成果をまとめた論文を発表した。2025年4月19日付で、国際学術誌の「Scientific Reports」に掲載されている。
ロコモは、運動器障がいなどにより、立つ・歩くといった基本的な移動機能が低下した状態を指す。加齢に伴う進行性の運動機能低下として知られるが、将来的なフレイルや要介護状態につながる重要な前兆でもあり、早期からの予防介入が欠かせない。
中でも勤労者のロコモは腰痛や転倒とも密接な関係性があるとされ、健康的な社会生活を維持していくためにも積極的な対策が必要となっている。
一方、メタボは内臓脂肪型肥満のほか、高血圧・高血糖・脂質異常のうちの2項目以上を併せもった状態で、心血管疾患や糖尿病など生活習慣病の発症リスクを高めることで知られる。国内では特定健診などを通じて積極的な検出と介入が進められているが、なお対策における課題も多い。
今回の研究では、医療法人大宮シティクリニックの健診データベースを用い、ロコモとメタボがどの年代からとくに重なって出現するのかといった点などを分析、効果的な予防介入の可能性を検討していった。
ロコモは、運動器障がいなどにより、立つ・歩くといった基本的な移動機能が低下した状態を指す。加齢に伴う進行性の運動機能低下として知られるが、将来的なフレイルや要介護状態につながる重要な前兆でもあり、早期からの予防介入が欠かせない。
中でも勤労者のロコモは腰痛や転倒とも密接な関係性があるとされ、健康的な社会生活を維持していくためにも積極的な対策が必要となっている。
一方、メタボは内臓脂肪型肥満のほか、高血圧・高血糖・脂質異常のうちの2項目以上を併せもった状態で、心血管疾患や糖尿病など生活習慣病の発症リスクを高めることで知られる。国内では特定健診などを通じて積極的な検出と介入が進められているが、なお対策における課題も多い。
今回の研究では、医療法人大宮シティクリニックの健診データベースを用い、ロコモとメタボがどの年代からとくに重なって出現するのかといった点などを分析、効果的な予防介入の可能性を検討していった。
50代から重複出現しやすい傾向
研究では、2021年度に健診を受けた35,059人のデータが活用された。対象者の平均年齢は50歳、標準偏差プラスマイナス9.6歳、男女比は6対4となっている。
ロコモは日本整形外科学会の「ロコモ度テスト(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25)」に基づいて評価するものとし、メタボは米国のNational Cholesterol Education ProgramのAdult Treatment Panel IIIが提唱するガイドラインに準じた判定としたという。
ロコモは日本整形外科学会の「ロコモ度テスト(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25)」に基づいて評価するものとし、メタボは米国のNational Cholesterol Education ProgramのAdult Treatment Panel IIIが提唱するガイドラインに準じた判定としたという。

分析の結果、ロコモは全体の約15%、メタボは約7.5%で該当しており、ロコモ該当者の割合はメタボ該当者の場合に限定すると約24%にまで上昇した。これは非メタボ該当者の場合の約15%に比べ、有意に高い。
多変量解析においても、年齢や性別を調整した上で、メタボ該当者ではロコモリスクが1.87倍に上昇すると算出された。
また、メタボの有無に関係なく加齢に伴いロコモの割合は増加、全年齢でメタボのある人はない人に比べ、ロコモの割合が高いことも確認された。
多変量解析においても、年齢や性別を調整した上で、メタボ該当者ではロコモリスクが1.87倍に上昇すると算出された。
また、メタボの有無に関係なく加齢に伴いロコモの割合は増加、全年齢でメタボのある人はない人に比べ、ロコモの割合が高いことも確認された。

とくに50代男女でロコモとメタボの重複率が高く、50代メタボ該当者の場合では、男性の32.0%、女性の53.2%がロコモを併発していた。非メタボ該当者の場合の男性15.2%、女性25.3%と比較すると、2倍以上になっている(男性で2.11倍、女性で2.10倍)。
さらにロコモとメタボを合併している50代男女では、腹囲と血糖値の有意な上昇とともに、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療をしている人の割合も有意に高くなることが判明した。
ロコモは高齢者の足腰の衰えとみられがちだが、今回の研究で中高年期におけるメタボがロコモのリスク因子となることが統計的に確認された。
ロコモとメタボの合併は、肥満や高血圧、糖尿病、高脂血症といった代謝性疾患を悪化させるとともに、高齢期における要介護リスクをさらに高める可能性があり、中年期の段階で早期にリスク者を発見、指導・介入していくことが有効と考えられた。研究グループでは、メタボとロコモの同時健診導入を提唱したいとしている。
そして今回得られた知見をもとに、中年期からの包括的な健康評価システムの構築や、生活習慣指導の標準化を進めていく予定ともした。
(画像はプレスリリースより)
さらにロコモとメタボを合併している50代男女では、腹囲と血糖値の有意な上昇とともに、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療をしている人の割合も有意に高くなることが判明した。
ロコモは高齢者の足腰の衰えとみられがちだが、今回の研究で中高年期におけるメタボがロコモのリスク因子となることが統計的に確認された。
ロコモとメタボの合併は、肥満や高血圧、糖尿病、高脂血症といった代謝性疾患を悪化させるとともに、高齢期における要介護リスクをさらに高める可能性があり、中年期の段階で早期にリスク者を発見、指導・介入していくことが有効と考えられた。研究グループでは、メタボとロコモの同時健診導入を提唱したいとしている。
そして今回得られた知見をもとに、中年期からの包括的な健康評価システムの構築や、生活習慣指導の標準化を進めていく予定ともした。
(画像はプレスリリースより)