植物による新たな食育にもつながる意外な発見
学校法人明治大学農学部農芸化学科栄養生化学研究室の金子賢太朗准教授と博士前期課程2年の神﨑華子氏、明治大学農学部植物制御化学研究室の瀬戸義哉准教授らの研究グループはこのほど、植物ホルモンであるジャスモン酸をマウスに経口摂取させると、精神的ストレスの緩和がみられることを発見した。9日、明治大学より発表されている。
またこの成果は2025年4月3日付で、国際学術誌「Scientific Reports」にも掲載された。研究は明治大学化学技術研究所重点研究A、JST FORESTプログラム、科研費基盤研究B、三島海雲記念財団の一部支援を受けて行われている。
またこの成果は2025年4月3日付で、国際学術誌「Scientific Reports」にも掲載された。研究は明治大学化学技術研究所重点研究A、JST FORESTプログラム、科研費基盤研究B、三島海雲記念財団の一部支援を受けて行われている。

ジャスモン酸は植物が虫害や病害に対する防御応答のために生成する物質として知られてきたが、これまでの研究では植物ホルモンが動物で効果を発揮するとは考えられてこなかった。植物ホルモンを介した動植物のコミュニケーション機構として、新たな概念を得るきっかけになることも期待されるほか、植物を用いた新しい食育にもつながるとみられている。
植物ホルモンは、植物の体内で生成されるシグナル伝達分子で、化学的なメッセンジャーとして作用、植物の成長を調節し、生物的ストレスに対する応答を媒介することが分かっている。また、昆虫の食害や物理的損傷によるダメージに対し、植物ホルモンを解した独自の防御機構をもって対応していることも知られてきた。
今回の研究で着目されたジャスモン酸は、傷害反応で中心的な役割を果たすもので、植物が傷害関連ストレスにさらされると、該当部位で直ちにジャスモン酸が生合成され、防御応答関連遺伝子の発現が誘導される。この応答は傷害を受けた葉はもちろん、傷害を受けていない健全な葉でも観察されるという。
よって傷害シグナルが植物体内で伝達されているとは考えられてきたが、それが動物個体において影響を与える、生体調節機能を発揮しているとはおよそ考えられておらず、ほとんど報告例もない状態だった。
植物ホルモンは、植物の体内で生成されるシグナル伝達分子で、化学的なメッセンジャーとして作用、植物の成長を調節し、生物的ストレスに対する応答を媒介することが分かっている。また、昆虫の食害や物理的損傷によるダメージに対し、植物ホルモンを解した独自の防御機構をもって対応していることも知られてきた。
今回の研究で着目されたジャスモン酸は、傷害反応で中心的な役割を果たすもので、植物が傷害関連ストレスにさらされると、該当部位で直ちにジャスモン酸が生合成され、防御応答関連遺伝子の発現が誘導される。この応答は傷害を受けた葉はもちろん、傷害を受けていない健全な葉でも観察されるという。
よって傷害シグナルが植物体内で伝達されているとは考えられてきたが、それが動物個体において影響を与える、生体調節機能を発揮しているとはおよそ考えられておらず、ほとんど報告例もない状態だった。

スムージーや葉野菜摂取で期待される効果の秘密?
研究では、ジャスモン酸がマウスにおいて精神的なストレス緩和作用(抗不安様作用)を発揮するかどうか、代表的な不安様行動の試験系である高架式十字迷路試験(EPM)、オープンフィールド試験(OFT)、新奇環境摂食抑制試験(NSFT)を用いて検証が進められた。
EPMによる試験では、ジャスモン酸をマウスに腹腔内投与したところ、オープンアームでの滞在時間と滞在頻度を増加させることが判明、抗不安様作用があると確認された。
さらにOFT、NSFTにおいても同様に、ジャスモン酸の腹腔内投与を行ったマウスでは、センターエリアでの滞在時間と滞在頻度が増加することが分かったという。
加えてマウスに対し、ジャスモン酸を経口投与、または脳室内投与することによっても、EPMでオープンアームでの滞在時間が増加することを確認した。これらから研究チームでは、マウスの不安を評価する複数の評価系を用い、ジャスモン酸が抗不安様作用を発揮することが判明したと結論づけられるとしている。
中枢神経系において情動行動制御に関わる神経伝達物質では、セロトニンやドーパミンが有名だ。そこでジャスモン酸の抗不安様作用の基礎メカニズムを調べるべく、ドーパミン系とセロトニン系に注目して研究を進めた。
EPMによる試験では、ジャスモン酸をマウスに腹腔内投与したところ、オープンアームでの滞在時間と滞在頻度を増加させることが判明、抗不安様作用があると確認された。
さらにOFT、NSFTにおいても同様に、ジャスモン酸の腹腔内投与を行ったマウスでは、センターエリアでの滞在時間と滞在頻度が増加することが分かったという。
加えてマウスに対し、ジャスモン酸を経口投与、または脳室内投与することによっても、EPMでオープンアームでの滞在時間が増加することを確認した。これらから研究チームでは、マウスの不安を評価する複数の評価系を用い、ジャスモン酸が抗不安様作用を発揮することが判明したと結論づけられるとしている。
中枢神経系において情動行動制御に関わる神経伝達物質では、セロトニンやドーパミンが有名だ。そこでジャスモン酸の抗不安様作用の基礎メカニズムを調べるべく、ドーパミン系とセロトニン系に注目して研究を進めた。

すると高選択的セロトニン5-HT1A受容体拮抗薬であるWAY100135を腹腔内投与した結果、ジャスモン酸によるセンターエリアでの滞在時間と進入回数の増加が明らかに阻害されることが分かった。またドーパミンD1受容体アンタゴニストであるSCH23390をマウスの脳室内に投与することでも、ジャスモン酸によるセンターエリア滞在時間の増加は阻害されたという。
よって研究チームは、ジャスモン酸による抗不安様作用は、中枢のドーパミン及びセロトニン系が関与していると結論づけている。
この研究結果から、人の調理による植物(野菜)の破砕や破断、スムージー化といった摂取の食事過程においても、ジャスモン酸などの植物ホルモンが生成され、作用しているのではないかとの仮説が立てられた。
すでに実際に市販のほうれん草の破砕により、ジャスモン酸内生量が増大することは確認されている。
これまでに経口摂取された植物ホルモンが動物で生理機能を示した報告はほとんどなく、大いに注目される結果となった。
今後は植物ホルモンをターゲットとした新しい抗不安薬開発戦略が提示可能になると期待されるほか、植物を破砕することに焦点を当てた新たな食育の実現可能性についても検討可能になるのではないかとみられている。
植物(野菜)の新たな健康機能解明としても注目される取り組みで、機能性食品開発などにも活かされる可能性がある。
(画像はプレスリリースより)
よって研究チームは、ジャスモン酸による抗不安様作用は、中枢のドーパミン及びセロトニン系が関与していると結論づけている。
この研究結果から、人の調理による植物(野菜)の破砕や破断、スムージー化といった摂取の食事過程においても、ジャスモン酸などの植物ホルモンが生成され、作用しているのではないかとの仮説が立てられた。
すでに実際に市販のほうれん草の破砕により、ジャスモン酸内生量が増大することは確認されている。
これまでに経口摂取された植物ホルモンが動物で生理機能を示した報告はほとんどなく、大いに注目される結果となった。
今後は植物ホルモンをターゲットとした新しい抗不安薬開発戦略が提示可能になると期待されるほか、植物を破砕することに焦点を当てた新たな食育の実現可能性についても検討可能になるのではないかとみられている。
植物(野菜)の新たな健康機能解明としても注目される取り組みで、機能性食品開発などにも活かされる可能性がある。
(画像はプレスリリースより)