明治大学が発表、新たな食育に期待
学校法人明治大学は8月6日、同大学農学部の金子賢太朗准教授、同大学院農学研究科の博士前期課程学生らの研究グループが、あぶらの構造の違いにより、抗肥満ホルモンであるレプチンの作用が変化することを発見したと発表した。
健康に悪いイメージのあるあぶらであっても、その構造に着目することで、ライフイベントやライフステージに沿った最適なあぶらとして摂取できる可能性があり、新たな食育提案などへの活用も期待されている。
なお、今回の研究成果は7月21日付で国際学術誌「PLOS One」に掲載されている。
健康に悪いイメージのあるあぶらであっても、その構造に着目することで、ライフイベントやライフステージに沿った最適なあぶらとして摂取できる可能性があり、新たな食育提案などへの活用も期待されている。
なお、今回の研究成果は7月21日付で国際学術誌「PLOS One」に掲載されている。

肥満は2型糖尿病や心血管疾患、特定のがんの発症リスクを高め、平均寿命を短縮するなど深刻な問題につながっている。レプチンは、食欲を抑制し、正常体重を維持するための重要な抗肥満ホルモンだが、高脂肪食摂取などの過栄養状態では視床下部におけるレプチンの感受性が低下し、肥満が引き起こされることが判明している。
研究グループでは、昨今の取組の中で、グリセロールsn-2位にパルミチン酸が結合した2-モノパルミチン酸(βパルミテート)を高脂肪食誘導肥満マウスに脳室内投与すると、視床下部レプチン感受性が向上し、抗肥満効果が発揮されることを確認した。
この2-モノパルミチン酸は、自然界では動物性脂質のラードに豊富に含まれることが知られている。一方で牛脂は、ラードとよく似た脂肪酸組成をもっているものの、2-モノパルミチン酸の含有量は少ない。
こうした事実から、今回の研究ではラードと牛脂の摂取による過栄養状態が、視床下部のレプチン感受性やエネルギーバランスにどのような影響を及ぼすのか、詳細にわたり検討したという。
研究グループでは、昨今の取組の中で、グリセロールsn-2位にパルミチン酸が結合した2-モノパルミチン酸(βパルミテート)を高脂肪食誘導肥満マウスに脳室内投与すると、視床下部レプチン感受性が向上し、抗肥満効果が発揮されることを確認した。
この2-モノパルミチン酸は、自然界では動物性脂質のラードに豊富に含まれることが知られている。一方で牛脂は、ラードとよく似た脂肪酸組成をもっているものの、2-モノパルミチン酸の含有量は少ない。
こうした事実から、今回の研究ではラードと牛脂の摂取による過栄養状態が、視床下部のレプチン感受性やエネルギーバランスにどのような影響を及ぼすのか、詳細にわたり検討したという。
従来の脂質イメージが変わる研究結果に注目
研究グループは、ラードもしくは牛脂によって誘導した過栄養状態の時、ラードは牛脂に比べ、体重増加の抑制と体脂肪量の減少効果を示すことを確認した。

さらにラードを摂取した場合での過栄養状態では、牛脂摂取に比べて空腹時及び満腹時血糖値の低下や高い耐糖能、インスリン感受性も示された。血中インスリン濃度が低く、高い血中GLP-1濃度も示されたという。これらの結果から、ラードは牛脂と比較して、過栄養状態でグルコースバランスを維持しやすいと結論づけた。

研究グループでは、さらにラードが牛脂よりも摂取による体重増加が抑制される原因を明確にするため、体重を一致させた条件下で、小動物総合モニタリングシステム解析、視床下部サンプルを用いたRT-qPCR解析を実施、するとラード摂取マウスでは、活動期の摂食量の低下や呼吸商の低下が示されること、視床下部における摂食促進AgRP遺伝子の発現低下がみられることが分かった。
ここから視床下部において、摂食抑制に関わる重要ホルモン、レプチンの作用に着目、研究を進めると、ラード摂取マウスでは、牛脂摂取マウスに比べ、脳室内投与したレプチンによる体重減少作用や摂食抑制作用が示され、レプチン抵抗性の発症が抑制されていることを確認した。
さらに視床下部でのレプチンシグナルの中核経路であるSTAT3リン酸化を測定したところ、ラード摂取マウスではレプチン依存的なSTAT3リン酸化が確認された。
ラードまたは牛脂の30kcalパーセントfat条件下では、通常食飼育マウスと比べ体重に差が生じていないにもかかわらず、ラード摂取マウスは牛脂摂取マウスに比べ、視床下部レプチンの感受性が高いことも分かった。
ここから視床下部において、摂食抑制に関わる重要ホルモン、レプチンの作用に着目、研究を進めると、ラード摂取マウスでは、牛脂摂取マウスに比べ、脳室内投与したレプチンによる体重減少作用や摂食抑制作用が示され、レプチン抵抗性の発症が抑制されていることを確認した。
さらに視床下部でのレプチンシグナルの中核経路であるSTAT3リン酸化を測定したところ、ラード摂取マウスではレプチン依存的なSTAT3リン酸化が確認された。
ラードまたは牛脂の30kcalパーセントfat条件下では、通常食飼育マウスと比べ体重に差が生じていないにもかかわらず、ラード摂取マウスは牛脂摂取マウスに比べ、視床下部レプチンの感受性が高いことも分かった。

続いてレプチン欠損肥満モデルob/obマウスにラードまたは牛脂を摂取させたところ、野生型マウスで認められた体重増加の抑制や呼吸商の低下といった表現型が消失、ラード摂取依存的なエネルギー代謝制御作用におけるレプチンの関与が確認されたという。
ラード摂取マウスの視床下部では、レプチンシグナルの阻害因子であるSOCS3遺伝子の発現が、牛脂摂取マウスに比べ有意に抑制されることも明らかとなっている。
こうした一連の結果から、研究グループでは、肥満や糖尿病を誘導する過栄養状態において、ラードは牛脂に比べ、視床下部のレプチン感受性や全身のグルコースバランスを維持しやすい脂質である可能性を見出した。
近年、地中海式の高脂肪食が低脂肪食より高い体重減少効果をもつと示されるほか、米国で総脂質摂取量の上限撤廃が決定し、飽和脂肪酸摂取量についての議論も進むなど、従来の脂質イメージを変える発見や事象が続いている。
今回の研究で着目された動物性脂質は、長鎖飽和脂肪酸を多く含むため、健康への悪影響が長年、懸念されてきたものである。しかし、研究グループは脂質の構造に着目するとともに、さまざまな評価系を用いた検討を実施することで、動物性脂質にも多様な機能性が存在することを見出し、それが健康長寿への新たな戦略になり得る可能性を示してきた。
今回はラード優位の結果であったが、牛脂摂取によるポジティブな効果も見出しており、ラードや牛脂に着目した別の実証実験も進めているという。
研究グループでは、あぶらの構造に着目した一連の研究をさらに発展させ、ライフイベントに添った最適なあぶらの選択を助けることで新たな食育につなげていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)
ラード摂取マウスの視床下部では、レプチンシグナルの阻害因子であるSOCS3遺伝子の発現が、牛脂摂取マウスに比べ有意に抑制されることも明らかとなっている。
こうした一連の結果から、研究グループでは、肥満や糖尿病を誘導する過栄養状態において、ラードは牛脂に比べ、視床下部のレプチン感受性や全身のグルコースバランスを維持しやすい脂質である可能性を見出した。
近年、地中海式の高脂肪食が低脂肪食より高い体重減少効果をもつと示されるほか、米国で総脂質摂取量の上限撤廃が決定し、飽和脂肪酸摂取量についての議論も進むなど、従来の脂質イメージを変える発見や事象が続いている。
今回の研究で着目された動物性脂質は、長鎖飽和脂肪酸を多く含むため、健康への悪影響が長年、懸念されてきたものである。しかし、研究グループは脂質の構造に着目するとともに、さまざまな評価系を用いた検討を実施することで、動物性脂質にも多様な機能性が存在することを見出し、それが健康長寿への新たな戦略になり得る可能性を示してきた。
今回はラード優位の結果であったが、牛脂摂取によるポジティブな効果も見出しており、ラードや牛脂に着目した別の実証実験も進めているという。
研究グループでは、あぶらの構造に着目した一連の研究をさらに発展させ、ライフイベントに添った最適なあぶらの選択を助けることで新たな食育につなげていきたいとしている。
(画像はプレスリリースより)