世界でも珍しい研究で関連性が明らかに
京都大学は8日、同大学の明和政子教育学研究科教授、松永倫子同特定講師らの共同研究グループが行った検証により、産後女性のうつ症状が腸内細菌叢と食習慣に関係していることが判明したと発表した。検証・研究の成果は9月2日付けで国際学術誌「PNAS Nexus」にオンライン掲載されている。
いわゆる産後うつの症状がみられる産後女性は、国内調査で25~30%にものぼり、その発症時期や罹患期間は、周産期のみならず産後4~5年にわたって長期間持続する可能性があるなど、大きな問題になっている。
うつは意欲低下や抑うつ気分などの心理症状だけでなく、睡眠障害や食欲不振、体調の悪化などにも現れる。とくに診断初期には身体症状のみを報告する患者も多く、こころの不調を身体的側面から包括的に検討するという視点や方法が必要とされてきた。
これまでの研究により、うつ病患者の腸内細菌叢の多様性や組成は、健常者のそれとは異なる特徴を持つことが知られており、野菜や果物、魚の摂取を中心とする食習慣がうつ病の緩和に関連する可能性があることも示されてきている。
しかし、産後女性を対象とした研究は世界的にみても少なく、中でも未診断・未治療のうつ病早期発見や重症化の予防を目的とした研究は行われていなかった。
いわゆる産後うつの症状がみられる産後女性は、国内調査で25~30%にものぼり、その発症時期や罹患期間は、周産期のみならず産後4~5年にわたって長期間持続する可能性があるなど、大きな問題になっている。
うつは意欲低下や抑うつ気分などの心理症状だけでなく、睡眠障害や食欲不振、体調の悪化などにも現れる。とくに診断初期には身体症状のみを報告する患者も多く、こころの不調を身体的側面から包括的に検討するという視点や方法が必要とされてきた。
これまでの研究により、うつ病患者の腸内細菌叢の多様性や組成は、健常者のそれとは異なる特徴を持つことが知られており、野菜や果物、魚の摂取を中心とする食習慣がうつ病の緩和に関連する可能性があることも示されてきている。
しかし、産後女性を対象とした研究は世界的にみても少なく、中でも未診断・未治療のうつ病早期発見や重症化の予防を目的とした研究は行われていなかった。
大豆や発酵食品、きのこ、海藻などの摂取もポイント
今回、研究グループは0~4歳の乳幼児を養育中の女性344人を対象に、うつ症状と腸内細菌叢、食生活習慣との関連を検証した。手法としては、便の採取と質問紙の評定をもって進めている。
採取した便については次世代シーケンサーを用い、16SrRNA解析を実施、腸内細菌叢の多様性と各菌が全体の菌の中で占める割合を算出していったという。またうつ症状の度合いは、Beck Depression Inventory-IIによって評価した。また関連要因として、身体症状をMultidimensional Physical Scale尺度によって評価し、睡眠の状況や食習慣についても質問紙を通して調べている。
これらの検証の結果、精神疾患や身体疾患のない産後女性では、うつ症状が高い人ほど腸内細菌叢の多様性が低いことが分かった。とくに短鎖脂肪酸の中でも酪酸の産生に関わる、Lachnospira属やFaecalibacterium属、Subdoligranulum属などの菌の相対量が少なかった。
また、参加者の食事パターンを探索的に検討すると、野菜や肉、魚を摂取するだけでなく、大豆食品や発酵食品、海藻、きのこなどを積極的に摂取すると、産後女性のうつ気分や身体症状の緩和、腸内細菌叢の健康な状態の維持に良い影響を与える可能性が示唆されたという。
研究グループでは、野菜や肉、魚をバランスよく食べるだけでなく、大豆製品や発酵食品、海藻、きのこの摂取などが心身の健康に寄与する可能性が示され、日本で古くから築かれてきた和食文化の奥深さも感じることができたとしている。今後もさらに研究を積み重ねていく方針といい、将来的に個別型の支援方法の開発につなげていきたいとした。
(画像はプレスリリースより)
採取した便については次世代シーケンサーを用い、16SrRNA解析を実施、腸内細菌叢の多様性と各菌が全体の菌の中で占める割合を算出していったという。またうつ症状の度合いは、Beck Depression Inventory-IIによって評価した。また関連要因として、身体症状をMultidimensional Physical Scale尺度によって評価し、睡眠の状況や食習慣についても質問紙を通して調べている。
これらの検証の結果、精神疾患や身体疾患のない産後女性では、うつ症状が高い人ほど腸内細菌叢の多様性が低いことが分かった。とくに短鎖脂肪酸の中でも酪酸の産生に関わる、Lachnospira属やFaecalibacterium属、Subdoligranulum属などの菌の相対量が少なかった。
また、参加者の食事パターンを探索的に検討すると、野菜や肉、魚を摂取するだけでなく、大豆食品や発酵食品、海藻、きのこなどを積極的に摂取すると、産後女性のうつ気分や身体症状の緩和、腸内細菌叢の健康な状態の維持に良い影響を与える可能性が示唆されたという。
研究グループでは、野菜や肉、魚をバランスよく食べるだけでなく、大豆製品や発酵食品、海藻、きのこの摂取などが心身の健康に寄与する可能性が示され、日本で古くから築かれてきた和食文化の奥深さも感じることができたとしている。今後もさらに研究を積み重ねていく方針といい、将来的に個別型の支援方法の開発につなげていきたいとした。
(画像はプレスリリースより)