高齢者施設向けに完全調理済みの冷凍食品献立を提供するクックデリ株式会社（以下、クックデリ）は19日、「クックデリの介護食」シリーズの本格展開を開始すると発表した。ソフト食やミキサー食を提供し、誰もが最後まで口から食べる喜びを感じられるような介護食（嚥下食）の提案を進めていく。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」結果によると、65歳以上の約6人に1人は低栄養傾向にあり、その約半数がフレイル予備軍にあたるという。フレイルとは、加齢によって心身の機能が低下した状態で、放置すると要介護につながる可能性が高い。

フレイル予防には、しっかりとした栄養の摂取と適度な運動、社会参画などがポイントとされるが、中でもバランスのとれた日々の食事は重要となる。一方で高齢になると筋力や神経の衰えが生じ、噛む・飲み込むといった基本の食事動作にかかる機能が低下、栄養摂取そのものが困難となったり、食事に意欲がわかなくなったりすることも多い。

加えて心身機能の低下により嚥下機能が低下した高齢者向けの介護食・嚥下食では、水っぽく見た目が悪いためにいっそう食欲が減退する、食感や味に乏しく完食できない、とろみ剤などでかさが増えた結果、量が多く食べきれない、食事介助の手間も増大するといった問題が多発している。

クックデリでは、これを受け、嚥下機能の低下には介護食が不可欠であるにもかかわらず、その品質が低いためにさらに栄養摂取が不十分となって低栄養やフレイルをますます進行させるという悪循環に陥っていると指摘、現場悩みと社会課題を一挙に解決させる、味や量、栄養バランスの全ての要素を備えた新たな介護食シリーズの提供を本格化させ、さらなる社会貢献を進めていきたいと考えたという。

「クックデリの介護食」では、UDF区分で「舌でつぶせる」に相当するソフト食と、UDF区分の「かまなくてよい」に相当するミキサー食の2種類を提供する。

ソフト食はやわらかく飲み込みやすいように工夫した介護食で、ミキサー食はなめらかなペースト状にした介護食だ。

どちらも十分に栄養を摂取できるよう、栄養強化を施したが、それに伴う苦味やえぐみの発生を徹底的に抑え、美味しさと栄養価を両立させるべく、試作を重ねて完成させたという。

食べたくなる見た目にもこだわり、とくにソフト食では、舌でつぶせるやわらかさが求められる一方、時間が経過してもそのやわらかさを保持できること、形状も保てることが重要となるため、素材の特性や独自の製法を駆使、いつ摂取しても飲み込みやすいやわらかさとなるようにした。

また、栄養価が十分に満たされていても、摂食者が食べきれなければ意味がない。よって提供重量の適正化を進め、無理なく完食できることにこだわって商品化した。多すぎない量で介助者の負担軽減を図るほか、「食べきれた」という利用者本人の満足感や達成感も大切にする。

クックデリでは、この介護食シリーズにより、食欲低下や接種料不足、介助者負担など、長年現場で指摘されてきた多くの課題に対応、新たなソリューションとして広く提案を進めていきたいとした。

（画像はプレスリリースより）