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2022.09.22

2022.09.22

臨床現場での多職種との連携とコミュニケーションのコツ

カバー画像:臨床現場での多職種との連携とコミュニケーションのコツ

2010年から厚生労働省も不可欠と報告書を提示している「チーム医療」。

多職種連携については、2020年診療報酬でもリハビリテーション計画書に管理栄養士の欄が設けられており、退院時共同指導料でも同様、多職種連携が必要とされております。

必要とはわかっていながらも、「人とコミュニケーションを取るのは苦手…」と、困っている方は意外と多いのではないでしょうか。

今回は、自身の管理栄養士経験も踏まえた『他職種連携に活かせるコミュニケーションのコツ』をお伝えしていきます。

難しいことはありませんから、みなさんの実業務に取り入れてみてくださいね。

1.多職種連携とは?

英語表記はInterprofessional Workとなり、昨今では『IPW』と表現されています。

このIPWとは「複数の領域の専門職者がそれぞれの知識と技術を提供し合い、相互作用しつつ、共通の目標の達成を患者・利用者とともに目指す協働した活動」を指します。

2.多職種連携(IPW)を実践するためのポイント

多職種連携(以下IPW)を実践している専門職には、共通する実践力(コンピテンシー)が欠かせません。

IPWを実践する専門職個人のコンピテンシーの構成要素は、「セルフコントロール」「コミュニケーション」「パートナーシップ」「リフレクション」「コーディネーション」「マネジメント」「リーダーシップ」「ファシリテーション」の8つが挙げられます。

これらを構造的な総合力として「対人援助の基本となる力」「多職種と協働する力」「チームを動かす力」に示すことができます。

3.IPWに必要な専門職のコンピテンシー

1)対人援助の基本となる力:セルフコントロール

セルフコントロールとは、自分の感情や行動を自分の力でコントロールすることであり、患者・利用者との信頼関係を築き援助的人間関係を結ぶ基本ともいえる能力です。

自己理解、他者理解に基づいた冷静な分析力と「人は変化できる」という価値観をもって自分の感情をコントロールする力が求められています。

2)対人援助の基本となる力:コミュニケーション

コミュニケーションは対人援助の基本となり、相手を知り、相手に意図を伝えるスキルです。

多職種で情報を共有し、ディスカッション、目標や援助内容の合意形成を行うための相互理解、情報や知識、意思、価値観、感情などを分かり合うことが必要となります。

3)対人援助の基本となる力:リフレクション

リフレクションとは、「内省」という意味で使われます。

単なる反省ではなく、「あの時の発言は正しかったのか」「別の立ち居振る舞いもできたのではないか」など、出来事と自分の理解について考えることといわれています。

「状況との対話」と同時に「自己との対話」を行うだけでなく、他者を介してリフレクションすることにより、さらに深いリフレクションが可能となります。

4)多職種と協働する力:パートナーシップ

コミュニケーションとともに、チームを形成し、対等な仲間として尊重するといったパートナーシップが必要となります。その他に相互理解、相互支援、合意形成なども含まれます。

5)チームを動かす力:コーディネーション、マネジメント、リーダーシップ、ファシリテーション

チームを動かすには
・専門職間の関係を調整し(コーディネーション
・意見を統合してチームの方針や問題解決プロセスを管理し(マネジメント
・時に意見を統合しチームの方針を示し(リーダーシップ
・チーム活動を円滑に進める(ファシリテーション
この4点が必要となります。

これら全てを専門職種が同じように身につける必要はありませんが、チーム全体ではこれらの力があることが望ましいです。

患者・利用者に合わせて最も適切な専門職が力を発揮することが大きな力を発揮することにつながります。

4.多職種連携に最も欠かせない能力:コミュニケーションとは?

コミュニケーションとは「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達、言語・文字その他・聴覚に訴える各種のものを媒介とする」と広辞苑に記されています。

Communicationの言葉は、ラテン語のcommunis「共有」からきており、英語のcommon(共通の、一般的)やcommunity(地域、一般社会)と語源は同じといわれています。

コミュニケーションには、文字や言語などのコミュニケーションだけでなく、非言語コミュニケーションも含まれます。

言語コミュニケーションには、「正確さ」「分かりやすさ」「ふさわしさ」「敬意と親しさ」の4つの要素があります。

加えて、声の大きさ、高さ、強さ、抑揚、滑舌、速さ、言葉と言葉の間、など準言語コミュニケーションもメッセージを送るために欠かせない要素といわれています。

非言語コミュニケーションには、外見、表情、身振り、姿勢、視線、対象者との距離などがあります。いずれにおいても、対象者を理解し、対象者に適した内容を選択することが重要です。

5.多職種連携に必要なコミュニケーションスキル

他職種とかかわるために以下の4つのスキルが必要といわれています。

① 自分の職種の専門的な特徴を分かりやすく説明する
管理栄養士の専門性を分かりやすく説明できる力が必要です。

② 自分の考えや意思を明確に伝える
相手にわかりやすく、自分の考えや思いを伝える力を身につけましょう。簡潔にまとめる力も必要となります。

③ 意見が異なる関係者の話を感情的にならずに聴く
相手の伝えたい話を最後までしっかり聴くという姿勢や態度が必要です。カウンセリングの傾聴や受容(支持、肯定)が欠かせません。冷静な態度、つまり非言語コミュニケーションの態度を意識することも必要です。

④ 客観的かつ建設的に意見を述べる
相手の意見を肯定した後に、客観的な事実や状況から導いた自分の意見を述べることを意識しましょう。

6.多職種連携に管理栄養士の強みを生かす

管理栄養士は、対象者に対して栄養指導を行うのが本業です。栄養指導を行うには、カウンセリングやコーチングのスキルが欠かせません。

特に、傾聴はカウンセリング・コーチングともに最も基本となるスキルです。

傾聴とは、単に相手の話を「聞く」のではなく、相談者の話に耳を傾け、何をいいたいのかその気持ちを「聴く」ことです。

傾聴では、話の内容だけでなく、相手のしぐさや表情などにも注意を向ける必要があります。相手の話を傾聴することは話し手にとって
① 自分が受け入れられていることを認識する
② 自分の話の価値に自信を持つ
③ 自分の価値を肯定する
④ 自分の現在の状態を正しく理解することに役立ち、積極的な連携
を、促進することになります。相手の話を「聴く」ことに注力しましょう。

7.雑談力

栄養指導でも欠かせないのが雑談力です。

あいさつは基本中の基本ですが、天気の話など、当たり障りない会話も時には必要となります。

対象者の何気ない会話の中から、課題解決の糸口が見つかることはありませんか?

誰もが忙しい時間帯の雑談はNGです。しかし、なんとなく業務中に緊張がほぐれている場面に遭遇することがあるはずです。相手を労う気持ちを忘れずに、たわいのない話をしてみましょう。

私はコミュニケーションには雑談力が欠かせないと思っております。ニュースや時事ネタを日々意識することに加え、クスっと笑えるネタを準備しておくのもいいかもしれません。

8.人とのつながりを広げる意識

現在は、さまざまな職種のコミュニティ、「食べる」ことを支える専門職や学会のSNSが多数存在します。

私自身、10年以上前に保健指導に従事する専門職のSNSに登録をして、全国の管理栄養士の仲間と繋がり、産業保健に従事する医師、保健師、編集者など他領域で活躍する方々と出会うことができました。

インターネット上での出会いでしたが、直接お目にかかって交流を持てた方も多数いらっしゃいます。今でも困った時には、SNS仲間に助言を求めることがあります。

異なる職種の方の助言は本当に貴重です。まさかの時の友こそ真の友、的を射た意見をいただけ、たくさんの気づきが得られます。

コロナ禍でオンラインでの交流は当たり前となりました。人とのつながりは、SNSを通じて無限大に広げることが可能です。医療職の方との交流が持てるよう趣味や嗜好が近い方との接点が持てるといいのではないでしょうか。

嗜好が似ていると、ほかにも共通項が見つかりやすく、近しい間柄になれる可能性は高いです。

SNSには賛否両論あります。くれぐれも個人情報の管理を徹底した上で、ご自身が納得できる場合のみ活用されることをお勧めいたします。

9.最後に

多職種連携とコミュニケーションのコツとは、相手を理解するために話を聴く、「傾聴」これに尽きるのではないでしょうか。

相手を知りたい、理解したいから会話は成り立ちます。自分の伝えたいことは脇に置き、まず目の前の仲間を理解するために話を聴くことから意識してみませんか。

相手の言いたいことを引き出すことができれば、次に繋がる大きな一歩になるはずです。聴く力が備われば、伝える力も自ずと磨かれていくと思います。

みなさまの参考になれば幸いです。
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▼執筆者
所属:人間総合科学大学 人間科学部 健康栄養学科
役職:助教
大出 理香 先生

▼編集者
エイチエ編集部
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参考文献・サイト

  • 諏訪さゆり、中村丁次編:「食べる」ことを支えるケアとIPW-保健・医療・福祉におけるコミュニケーションと専門職連携-、建帛社、2012、P28(2022/9/8)
  • 大塚眞理子:KAKEN-インタープロフェッショナルワークに必要な専門職のコンピテンシーに関する研究[Internet].2010.(2022/9/8)
  • 春田淳史:専門職連携コンピテンシー、保健医療福祉連携9巻2号、P110(2022/9/8)
  • 埼玉県立大学編:IPWを学ぶ-利用者中心の保健医療福祉連携、中央法規出版、2009、P41(2022/9/8)
  • 諏訪さゆり、中村丁次編:「食べる」ことを支えるケアとIPW-保健・医療・福祉におけるコミュニケーションと専門職連携-、建帛社、2012、P33~34(2022/9/8)
  • 広辞苑無料検索サイト(2022/9/8)
  • 村山伸子、武見ゆかり編:第1巻 管理栄養士論 専門職として求められる10の基本的な資質・能力、医歯薬出版株式会社、2021、P80(2022/9/8)
  • 赤松利恵、永井成美:栄養カウンセリング論、㈱化学同人、2015、P10~11(2022/9/8)
  • 村山伸子、武見ゆかり編:第1巻 管理栄養士論 専門職として求められる10の基本的な資質・能力、医歯薬出版株式会社、2021、P84~86(2022/9/8)

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