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2024.01.11

栄養ケア・マネジメントの実際<高齢者施設の事例をみてみよう>

カバー画像:栄養ケア・マネジメントの実際<高齢者施設の事例をみてみよう>

高齢者施設に入所する方々は、健康状態や生活習慣の変化により、栄養管理が必要になる場合があります。

栄養ケア・マネジメントは、食事内容や食事の提供方法、栄養バランスなどを考慮し、入所者の健康維持や疾病予防に役立ちます。しかし、高齢者の口腔や嚥下機能の低下、食欲不振などの課題もあるため、栄養ケア・マネジメントは簡単なものではありません。

本記事では、高齢者施設の栄養ケア・マネジメントの特徴とポイントを見ていきましょう。

1.令和3年の介護報酬改定について

「令和3年の介護報酬改定」において、介護保険施設における栄養ケア・マネジメントの取組を一層強化する観点から、栄養マネジメント加算を廃止し、栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行うことになりました。

栄養マネジメント加算の要件を包括化することを踏まえ、「入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行わなければならない」ことが規定されました¹⁾。

つまり、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)において、栄養ケア・マネジメントは義務となったということです。

栄養ケア・マネジメントを実施していない施設は利用者1名あたり14単位(1単位10円なので1名あたり140円×入所人数50名×30日=210,000)が減算されることになります(3年の経過措置期間あり、令和6年度から減算対象)²⁾。
⑴ 栄養ケア・マネジメントの体制
⑵ 栄養ケア・マネジメントの実務
ア 入所(院)時における栄養スクリーニング
イ 栄養アセスメントの実施
ウ 栄養ケア計画の作成
エ 入所(院)者及び家族への説明
オ 栄養ケアの実施
カ 実施上の問題点の把握
キ モニタリングの実施
ク 再栄養スクリーニングの実施
ケ 栄養ケア計画の変更及び退所(院)時の説明等
コ   帳票の整理

厚生労働省が明示している栄養ケア・マネジメントの実務⁴⁾を示しました。次からは栄養ケア・マネジメントの実際について再度、確認していきましょう。

2.栄養スクリーニング

栄養スクリーニングは入所後遅くとも1週間以内に、関連職種と共同して低栄養状態のリスクを把握します

下記、紙様式4-1の様式⁵⁾例参照。

3.栄養アセスメント

栄養スクリーニングを踏まえ、入所者毎に解決すべき課題を把握します栄養スクリーニングを行い、低リスク、中リスク、高リスクに分類された場合は、その理由のアセスメントを行います。

この栄養アセスメントの結果が、その方の低栄養に対する課題となります。上記の別紙様式4-1の様式例⁵⁾を参照し、入所者の栄養に関する問題を洗い出し、それをもとに栄養ケア計画書を作成します。
(例1)BMIが基準値以下:やせていることが栄養課題
 やせている原因の一つに食事摂取量が少ないことが考えられます。
 食事摂取量が少ない要因として考えられること⁶⁾は以下のとおりです。
嗜好、摂食嚥下機能低下、認知機能低下、精神的要因、体力低下、気力低下、痛み、吐き気などの疾患的要因など

(例2)褥瘡あり:「褥瘡」が栄養課題

4.栄養ケア計画の作成

関連職種と共同して、下記の別紙様式4-2の様式例⁵⁾を参照の上、栄養ケア計画を作成します

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